サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

旧約聖書の歴史 〜ヨシュア記9章〜

ヨシュア記9:1~2ーさて、ヨルダン川のこちら側の山地、低地、およびレバノンの前の大海の全沿岸のヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちはみな、これを聞き、

相集まり、一つになってヨシュアおよびイスラエルと戦おうとした。

 

ヨシュア記3:10とほぼ同じ民族ですが、『ギルガシ人』だけ抜けています。

ヨシュア記3:10ヨシュアは言った。「生ける神が、あなたがたのうちにおられ、あなたがたの前から、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、ギルガシ人、エモリ人、エブス人を、必ず追い払われることを、次のことで知らなければならない。

 

カナン人ノアの息子ハムの子孫創世記9:25, 10:6, 15:21

*ヘテ人カナン人の代表的存在ー創世記10:15, 15:21, ヨシュア記5:1

*ヒビ人…『ヒビ人』『ホリ人』『フルリ人』の間には、厳密な区別はなかったと思われるー創世記10:17, 36:2

*ペリジ人…カナンの地の先住民ー創世記13:7, 15:21

*ギルガシ人創世記10:16, 15:21

*エモリ人カナン人の代表的存在/元々は、ハツァツォン・タマルに住んでいる人々ー創世記10:16, 14:7

*エブス人創世記10:16, 15:21

 

ヨシュア記9:3~6ーしかし、ギブオンの住民たちは、ヨシュアがエリコとアイに対して行ったことを聞いて、

彼らもまた計略をめぐらし、変装を企てた。彼らは古びた袋と古びて破れたのに継ぎを当てたぶどう酒の皮袋とを、ろばに負わせ、

繕った古いはきものを足にはき、古びた着物を身に着けた。彼らの食料のパンは、みなかわいて、ぼろぼろになっていた。

こうして、彼らはギルガルの陣営のヨシュアのところに来て、彼とイスラエルの人々に言った。「私たちは遠い国からまいりました。ですから、今、私たちと盟約を結んでください。」

*ギブオンエルサレムの北西約10km、アイの南西約10kmに位置するアイより大きな町。

*変装七十人訳:食料品を準備した cf ヨシュア記9:12

*ギルガルヨシュア記4:19ー民は第一の月の十日にヨルダン川から上がって、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。

*遠い国から…ギブオンからギルガルまでのわずか十数キロ〜二十キロ程の距離を、あたかも遠方からやって来たかのように見せかけた。

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ヨシュア記9:7イスラエルの人々は、そのヒビ人たちに言った。「たぶんあなたがたは私たちの中に住んでいるのだろう。どうして私たちがあなたがたと盟約を結ぶことができようか。」

*ヒビ人…ギブオン人はエモリ人の生き残りであると言われている。

Ⅱサムエル記21:2ーそこで王はギブオン人たちを呼び出して、彼らに言った。ーーギブオンの人たちはイスラエル人ではなく、エモリ人の生き残りであって、イスラエル人は、彼らと盟約を結んでいたのであるが、サウルが、イスラエルとユダの人々への熱心のあまり、彼らを打ち殺してしまおうとしたのであった。ーー

*盟約ヨシュア記9:15の盟約

 

ヨシュア記9:8~11ーすると、彼らはヨシュアに言った。「私たちはあなたのしもべです。」しかしヨシュアは彼らに言った。「あなたがたはだれだ。どこから来たのか。」

彼らは言った。「しもべどもは、あなたの神、主の名を聞いて、非常に遠い国からまいりました。私たちは主のうわさ、および主がエジプトで行われたすべての事、

主がヨルダン川の向こう側のエモリ人のふたりの王、ヘシュボンの王シホン、およびアシュタロテにいたバシャンの王オグになさったすべての事を聞いたからです。

それで、私たちの長老たちや、私たちの国の住民はみな、私たちに言いました。『あなたがたは、旅のための食料を手に持って、彼らに会いに出かけよ。そして彼らに、私たちはあなたがたのしもべです。それで、今、私たちと盟約を結んでくださいと言え。』

*しもべどもは、あなたの神、主の名を聞いて…エリコの遊女ラハブの言った言葉と似たような謙遜さと信仰深さがあるように聞こえますが、続く『非常に遠い国からまいりました』は嘘!

 

ヨシュア記9:12~13ーこの私たちのパンは、私たちがあなたがたのところに来ようとして出た日に、それぞれの家から、まだあたたかなのを、食料として準備したのですが、今はもう、ご覧のとおり、かわいて、ぼろぼろになってしまいました。

また、ぶどう酒を満たしたこれらの皮袋も、新しかったのですが、ご覧のとおり、破れてしまいました。私たちのこの着物も、はきものも、非常に長い旅のために、古びてしまいました。」

*食料として準備したヨシュア記9:4a七十人訳:食料品を準備した

準備したものは、かわいてボロボロになったパンとぶどう酒を入れる破れた古い皮袋。

他には、古びた着物とはきもの。

 

ヨシュア記9:14ーそこで人々は、彼らの食料のいくらかを取ったが、主の指示をあおがなかった。

*彼らの食料のいくらかを取った…ギブオン神が用意した古くなってかわいてボロボロになったパンを食べてみて、彼らを信じてしまった。

相手のパンを取って食べるという行為は、和解と平和のしるし。

創世記31:54ーそうしてヤコブは山でいけにえをささげ、一族を招いて食事を共にした。食事をしてから彼らは山で一夜を明かした。…ラバンとヤコブの和解

*主の指示をあおがなかったイスラルの問題点

 

ヨシュア記9:15ヨシュアが彼らと和を講じ、彼らを生かしてやるとの盟約を結んだとき、会衆の上に立つ族長たちは、彼らに誓った。

*彼らを生かしてやるとの盟約を結んだヨシュアは、聖絶すべき民を主の指示をあおがずに『生かしてやる』と盟約を結んでしまった。

 

ヨシュア記9:16ー彼らと盟約を結んで後三日たったとき、人々は、彼らが近くの者たちで、自分たちの中に住んでいるということを聞いた。

*三日の後…ここにも『三』という完全数があります 。

盟約を結んで三日後に、イスラエルは彼らが『近くの者たちである』ことを知りました。

 

ヨシュア記9:17ーそれから、イスラエル人は旅立って、三日目に彼らの町々に着いた。彼らの町々とは、ギブオン、ケフィラ、ベエロテ、およびキルヤテ・エアリムであった。

会衆の上に立つ族長たちがすでにイスラエルの神、主にかけて彼らに誓っていたので、イスラエル人は彼らを打たなかった。しかし、全会衆は族長たちに向かって不平を鳴らした。

そこで族長たちはみな、全会衆に言った。「私たちはイスラエルの神、にかけて彼らに誓った。だから今、私たちは彼らに触れることはできない。

私たちは彼らにこうしよう。彼らを生かしておこう。そうすれば、私たちが彼らに誓った誓いのために、御怒りが私たちの上に下らないだろう。」

*それから…盟約を結んだ相手が遠方の者たちではなく、近くのギブオンの者たちだったことを知ってから。

旅立ってさらに『三日目』にギブオン人の町々に着いた。

*ケフィラエルサレムの北西13kmの高台にある町

*ベエロテエルサレムの北14kmの標高883mの岩石の丘にある町

*キルヤテ・エアリム…エルサレの西約11kmのエルサレムからヨッパへの道にある町。

バアラヨシュア記15:9~10』『キルヤテ・バアルヨシュア記15:60, 18:14』『マハネ・ダン士師記18:12』などいろんな呼び名があるバアル崇拝の中心地

 

イスラエルの神、【主】にかけて誓った…【主】の御名にかけて誓ったことは、必ず果たす必要があった。だからこそ、軽はずみに御名にかけて誓ってはいけないのです。

【主】に誓願が立てて悲しい思いをしたことでは、士師記のエフタがよく知られています。ー士師記11章

 

ヨシュア記9:21ー族長たちが全会衆に、「彼らを生かしておこう」と言ったので、彼らは全会衆のために、たきぎを割る者、水を汲む者となった。族長たちが彼らに言ったとおりである。

*たきぎを割る者、水を汲む者…身分の低い奴隷の仕事

申命記29:11ーあなたがたの子どもたち、妻たち、宿営のうちにいる在留異国人、たきぎを割る者から水を汲む者に至るまで。

*族長たちが彼に言ったとおりであるヨシュア記9:15で、会衆の上に立つ族長たちがギブオン人に「生かしてやる」と誓ったとおりに、の意。

 

ヨシュア記9:22~23ヨシュアは彼らを呼び寄せて、彼らに次のように言った。「あなたがたは、私たちの中に住んでいながら、なぜ、『私たちはあなたがたから非常に遠い所にいる』と言って、私たちを欺いたのか。

今、あなたがたはのろわれ、あなたがたはいつまでも奴隷となり、私の神の家のために、たきぎを割る者、水を汲む者となる。」

*あなたがたはのろわれ…ギブオン人たちがのろわれ、永遠の奴隷となることの宣言。

と同時に、ノアの息子カナンの子孫である彼らに対する創世記9:25の成就でもある。

創世記9:24~25ーノアが酔いからさめ、末の息子が自分にしたことを知って、

言った。

「のろわれよ。カナン。

兄弟たちのしもべとなれ。」

 

余談:創世記9:18には『セム、ハム、ヤペテ』と記されているが、24節から『ハムが末の息子である』ことがわかります。また創世記10:21には『セムは…ヤペテの兄であった』と記されていることから、ノアの息子は、長子セム、次男ヤペテ、三男ハムであったことがわかります。

 

ヨシュア記9:24~25ーすると、彼らはヨシュアに答えて言った。「あなたの神、主がそのしもべモーセに、この全土をあなたがたに与え、その地の住民のすべてをあなたがたの前から滅ぼしてしまうようにと、お命じになったことを、このあなたのしもべどもは、はっきり知らされたのです。ですから、あなたがたの前で私たちのいのちが失われるのを、非常に恐れたので、このようなことをしたのです。

ご覧ください。私たちは今、あなたの手の中にあります。あなたのお気に召すように、お目にかなうように私たちをお扱いください。」

ここで初めてギブオン人はラハブと同じ告白をします。

初めから正直にイスラエルの神を恐れたことを告白した遊女ラハブは、家族とともにイスラエルの中に住み、サルモンと結婚し、ルツ記のボアズの母となり、メシアの系図に異邦人の女性として名を連ねることになりました。

 

ヨシュア記9:26~27ヨシュアは彼らにそのようにし、彼らをイスラエル人の手から救って、殺さなかった。

こうしてヨシュアは、その日、彼らを会衆のため、また主の祭壇のため、主が選ばれた場所で、たきぎを割る者、水を汲む者とした。今日もそうである。

一方、変装し、嘘をついたギブオン人たちはいのちこそは助かりましたが、イスラエルの奴隷として仕えることになりました。