マタイ4章の荒野でのサタンの試みの箇所です。サタンの巧妙な手口や、誘惑に対する勝利の秘訣など、学びに役立てていただければと思います。
普段 何気なく呼んでいる聖書箇所が、ある時(あれっ!?)と気づくことってありますよね?マタイ4:1がそうだったこと、その理由を理解した時の「なるほど!」感はすごかった。
マタイ4:1ーさて、イエスは、悪魔の試みを受けるため、御霊に導かれて荒野に上って行かれた。
えっ!?悪魔の誘惑を受けるのに、なんで御霊が導くの?ってね。ビックリでした。
これはね、神さま側と悪魔側と双方の目的があったから。
神さま側ー(アダムは負けたけど…)イエスは罪の誘惑に打ち勝った申し分のない「神の子」であることを証明するため。
悪魔側ー(アダムの時と同様に)イエスに罪を犯させ、メシアとして失脚させるため。
マタイ4:2ー「四十」という数字は、聖書では「試みの数」と言われています。モーセがシナイ山に四十日四十夜いた間に、アロンと民は偶像礼拝に陥りました。イスラエルの民は四十年間荒野を旅しました。
ここでは、主イエスが試みを受けられています。四十日四十夜断食した後、「空腹を覚えられた」ーここにイエスの「人間性」が出ています。100%神であるだけなら、空腹になることはないからです。
サタンからの誘惑を受けられたのは、イエスがヨルダン川でバプテスマのヨハネから洗礼を受けられた直後です。人々からナザレの大工ヨセフの子と思われ、長男として父ヨセフの仕事を継いで家計を支え、幼い弟や妹たちの成長を助けてこられた人間としての私的生涯の期間は終わりました。
これからは神の御子、長子として、メシヤとして、御父の仕事を継いで「公生涯」が始まるのです。その転換点での「サタンからの誘惑」であり「御父からの試練」だったのです。
御子がサタンからの誘惑を受けられたのであれば、当然その御子に従おうとするクリスチャンにも「誘惑」は来ます。
その「時」は、
①人がイエスを主を受け入れ、信仰に入ろう(滅びの子から神の子になろう)とする時。
②信仰が成長する時。(聖化のステップアップ)
③サタンの手口、正体を他の人にバラされそうな時など、サタン側が不利益となる時などです。
マタイ4:3ー肉体の弱みにつけ込んで、試みる者(サタン)が最初の誘惑「あなたが神の子なら…」を仕掛けます。
サタンはもともと神の御使い(最高級の天使:ケルブ)であり、イエスが神の子であることは百も承知です。イエスが神の御子であることを「証明させる」ように見せかけつつ、実は「肉を持つただの人間」であり、人間としての必要を優先させようとしているのです。
マタイ4:4ー完璧なる神の子イエスは、サタンの思惑を見抜いた上でみことばにより切り返します。
申命記8:3ー人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる。
パンー地のちりから造られた肉体を生かすため。
主の口から出るすべてのもの→神の口から出る一つ一つのことば(イエスの解説)ー心の内側「霊」の部分の糧。両方食して初めて神の前に「生きている」と見なされるのです。
マタイ4:5ー聖なる都ーエルサレムのこと。「神殿」があるのはエルサレム。その他の場所にあるのは「会堂」。
マタイ4:6ー一回戦、みことばの引用によりイエスの勝ち。二回戦目は、サタンも負けじとみことばを引用して「こう書いてある」と誘惑してきます。しかも再び「あなたが神の子なら…」と。
詩篇91:11~12ーまことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。彼らは、その手で、あなたをささえ、あなたの足が、石に打ち当たることのないようにする。
マタイ4:6と詩篇91:11~12を読み比べてみてください。サタンは、正しく引用しているでしょうか?
みことばの引用には鉄則があります。
申命記4:2ー私があなたがたに命じることばに、つけ加えてはならない。また、減らしてはならない。わたしがあなたがたに命じる、あなたがたの神、主の命令を、守らなければならない。
サタンは、詩篇91:11~12のみことばから「すべての道で」を減らして引用しています。みことばをただ何となく覚えているだけだと、この誘惑に負けてしまいます。正しく意味を理解し、覚えることが大切になってくるのはそのためです。
しかもサタンは、マラキ3:1から、イエスが神殿の頂から飛び降りて、神殿の庭に着地すればイスラエルの人々は皆、イエスを神の子、メシアとして信じる、ということを念頭において誘惑しました。
マタイ4:7ー再びイエスは申命記のみことばにより勝利します。
申命記6:16ーあなたがたがマサで試みたように、あなたがたの神、主を試みてはならない。
マタイ4:8ーサタンは人間の肉が喜ぶ、権力欲、支配欲等に誘惑してきます。主イエスはいずれ「王の王」としてすべての国々を支配されますー黙示録19:16。しかしそれは、十字架以前ではありません。
マタイ4:9ーこの世のすべての国々とその栄華をすべて、あなた(イエス)に差し上げましょう。ルカ4:6ー「この、国々にいっさいの権力と栄光とをあなたに差し上げましょう。それは私に任されているので、私がこれと思う人に差し上げるのです。」
いつ、これらのものが、サタンのものになったり、サタンに任されたでしょうか?
神は出エジプト記でこう言われました。「今、もしあなたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたはすべての国々の民の中にあって、わたしの宝となる。全世界はわたしのものであるから。」ー19:5
そう、サタンは嘘つきなのだ!イエスさまも「悪魔は真理に立っていない」と言われていますーヨハネ8:44。だから、だまされないようにしましょう。
マタイ4:10ーイエスの勝利!極めつけの“神としての権威”による命令!「引き下がれ!サタン」
『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』これも申命記6:13からの引用です。申命記では「主」は太文字になっているので、御父を意味します。
マタイ4:11ーイエスさまに「下がれ!サタン」と言われた悪魔は、イエスから離れて行きました。
サタンは正体を見破られ、イエスの名によって命令すれば、しばらくの間退散するのです。主の御名には力があるのです!
「主にだけ仕えよ」ーさて、サタンの退散後、誰がイエスのもとに来て仕えましたか?
マタイ4:11ー見よ、御使いたちが近づいて来て仕えた。
もし、イエスが100%人間だけであるなら、御使いはここで罪を犯すことになります。「あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ」ーつまり、御使いはイエスを「神である主」として、イエスに仕えたのです。ハレルヤ!イエスこそ主です!
こうしてイエスは、申し分のない神の子であり、救い主メシアであることを証明されたのです。肉によって神の子としての試験に落ちたアダムから、信仰によって勝利された神の子イエスに結びつくことが、私たちの肉体が生きている間になすべき最善です!