世界人口の半分以上が旧約聖書を信じています。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、という「一神教信仰」の中で、どのような違いがあるのかをちょっとだけお裾分け。ついでに大雑把な内容も呟いてみたものの…さすがの39巻。長いです!
もう少し手っ取り早く創世記〜黙示録までの聖書の全体像を把握したい方は、こちらをどうぞ。
聖書の学びをしていると、時々耳にする言葉のなかに、「七十人訳」「セプトアンギュンタ」があります。どちらも【旧約聖書】のことですが、ヘブル語からギリシャ語に訳された旧約聖書のことです。
あれ!? ユダヤ人の聖書なのに、何故にギリシャ語訳?と思われるかもしれませんね。BC606、597、586年の3回にわたりバビロニヤに包囲され、ユダヤ人の多くはバビロンへ捕囚の民となったり、エジプトに移り住んだりしました。
BC3世紀頃、エジプトのアレクサンドリアには多くのユダヤ人が住んでいました。彼らは、当時の世界語であったギリシャ語を話していたため、ヘブル語の聖書を理解出来なくなっていました。BC250年頃まずモーセ五書が、その後百年位かけて残りの書がギリシャ語に翻訳されました。
【七十人訳】エジプトの王プトレマイオスニ世が建てた王立図書館にユダヤの「律法」を納めるため、ユダヤから72人の長老を呼んで翻訳させたところから付けられたことばです。
【旧約聖書の区分】
1)モーセ五書ー創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記。
2)歴史書ーa) 部族政治の期間…ヨシュア記、士師記、ルツ記。
b) 王朝の興起と没落…サムエル記第一、第二、列王記第一、第二、歴代誌第一、第二。
c) 捕囚からの帰還…エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記。
4)預言書ー a)大預言書…イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書。
b)小預言書…ホセア書、ヨエル書、アモス書、オバテヤ書、ヨナ書、ミカ書、ナホム書、ハバクク書、ゼパニヤ書、ハガイ書、ゼカリヤ書、マラキ書。
【ユダヤ人が使うヘブル語聖書の区分】
1)トーラー…律法ー創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記。
2)ネビイーム…預言書。
b) 後預言書ーイザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、十二預言書(キリスト教でいう小預言書)
3)ケスビーム…諸書(聖文書)ーお祭りの時に読む。フォークダンスで有名な「マイムマイム」は水乞いの歌でここからです。
b) メギロテ…巻物。雅歌、ルツ記、哀歌、伝道者の書、エステル記。
c) 歴史書ーダニエル書、エズラ・ネヘミヤ記、歴代誌。
さてさて、旧約聖書を教典としているのは、カトリックやプロテスタントと言われるキリスト教だけではありません。区分こそ違えど、ユダヤ教も教典としています。ユダヤ教の場合、聖書=ヘブル語聖書(旧約聖書)を正典として、口伝律法とその諸解釈であるタルムードを教典としています。
旧約聖書は、イスラム教とも関係が深いのです。イスラム教と旧約聖書、ユダヤ教と旧約聖書の関係とキリスト教が教典とする旧・新約聖書の終末の預言を抜きに昨今の中東情勢、世界情勢を正しく理解することはできないのです。
イスラム教徒は原本では、旧約聖書を教典として信じるけれども、現在ある書物としては唯一コーランだけを教典としているのです。イスラム教の預言者マホメットの教えは、旧約聖書と福音書の思想とメッカにあった聖石信仰を結びつけたものです。
その上に、コーランが乗っています。マホメットは、アブラハムのエジプロ人のそばめであるハガルの子イシュマエルの子孫だと主張しています。コーランによれば、メッカのカーバ神殿は、アブラハムとその子イシュマエルが建設したことになっていますーコーラン2:125~127。
こういう理由で、
A)ユダヤ人とイスラム教徒であるアラブ人との関係は、アブラハムの正妻サラから出たイサクの子孫とそばめであるハガルの子孫イシュマエルの子孫という「血肉の争い」、
B)イスラエルのあの土地はAD70~1948年まで住んでいたパレスチナ人のものか、四千年前に神がアブラハムになされた約束、三千年前のダビデ王による遷都によるユダヤ人のものかという「土地争い」
C)ユダヤ教の神、イスラム教のアッラー、キリスト教のメシヤという「エルサレム帰属問題」が深く絡み合った問題なのです。このことを抜きにして、中東問題を正しく理解することは不可能です。
難しい話はこの辺にして、大雑把に旧約聖書のご紹介をしてみますか。
【創世記】著者:モーセ
1)世界の始まりと諸民族の起源ー1~11章。
2)アブラハムの選びと族長たちの信仰ー12~50章。
神が結ばれた八つの契約のうち、
a)エデン契約、b)アダム契約、c)ノア契約、d)アブラハム契約
の四つが創世記に記されています。
メルキゼデクとイエスの類似点 〜創世記14:18~20, 詩篇110:4, ヘブル7:1~3〜 - サザエのお裾分け
【出エジプト記】著者:モーセ
1)贖いのわざとしてのエジプト脱出ー1~18章。
(出エジプトの出来事は、養父ヨセフと母マリヤが幼いイエスを連れてエジプトから戻ってくることの『型』…ホセア11:1、マタイ2:19~23)
2)シナイ山での契約ー19~24章。
(十戒が与えられた時に山の麓では、アロンと民が偶像を造っていました。この時、偶像崇拝した者三千人が滅ぼされ、後に七週の祭りーペンテコステーの時に聖霊が下り三千人が救われました。出エジプト記32:27~28、使徒2:41)
3)幕屋の建設ー25~40章。
十戒は、奴隷生活からの解放と同時に、神の民としての生き方の指針を示したもの です。この神との契約が基礎となって、イスラエルの歴史が展開します。
この契約が、e)モーセ契約 です。
律法は全部で613あり、365の禁止命令と248の積極的な命令があります。
【レビ記】著者:モーセ
1)聖なる神との交わりを行なうための犠牲ー1~17章。
捧げ物は五種類。
a)全焼のいけにえ…1章ーすべて祭壇で焼かれ、神に対する全き献身を意味する。
キリストの完全な献身において成就。
b)穀物の捧げ物…2章ー『贈り物』を意味する。神へのささげ物、労働の聖別を表わす。唯一、血を流さないささげ物。材料は、小麦粉(自我が砕かれていることを意味)、油(聖霊)、塩(地の塩)…これらは、聖餐式で使う種なしパン“マッツァ”の材料。乳香(神へのよき香り。祈り、の意。)
キリストが聖霊に満たされて、人々に仕える生涯を送られたことにおいて完成。
c)和解のいけにえ…3章ー神と人との若い、平和、喜びを表わす。脂肪の部位が焼かれ、残りは祭司と奉献者によって食された。cf 創世記31:54、出エジプト記18:12
キリストの十字架においてなされた贖罪によって生まれ変わった者の交わりの回復において完成。(これを罪の口実に使ったのが、箴言7:14)
d) 罪のためのいけにえ…4章ー人が誤って罪を犯した時にささげる。罪を犯した者の社会的職務によってささげる動物が異なる。
祭司、民全体…雄牛。 上に立つ者…雄やぎ。 一般の人々…雄やぎ、または雌の子羊。 貧しい人々…山鳩か家鳩 二羽。
罪を犯した本人が犠牲の動物を連れて来て(罪の告白)、動物の頭に手を置き(自分の身代わりとして指定。罪の転嫁。)、自分で殺さなくてはならない。
キリストの十字架において完成。キリストは自ら十字架にかかってくださった。ヨハネ10:18
e)罪過のためのいけにえ…6〜7章ーある特定の罪を犯した場合と他人に対して損害を与えた場合(レビ記6:2~3)にささげる。
キリストの十字架により完成。
*a~c)は自発的、d~e)は強制的な捧げ物。
2)聖なる神との交わりの歩みをするための分離ー18~27章。
ほかには、祭司制度、聖なる民に関する諸規定等も記されています。
【民数記】著者:モーセ
1)シナイからカデシュ・バルネアへ(出エジプトを経験した古い世代)ー1~14章。
2)38年間の荒野放浪中の出来事(過渡的時代)ー15~20章。
3)カデシュからモアブへ(二世、新しい世代)ー21~36章。
*中心的出来事は、カデシュ・バルネアにおける民の不信仰。
【申命記】著者:モーセ
*「申命」…「重ねて命令する」の意。
神の約束された地を目前に見ながら足を踏み入れずに召されるモーセが、出エジプトを経験していない第二世代にこんこんと、重ねて命令をしているのが申命記です。
1)モーセの第一の説教ー1:6~4:43。
2)モーセの第二の説教ー5~26章。
3)モーセと長老による第三の説教ー27~28章。
4)モーセの第四の説教ー29~30章。
申命記のモーセの説教にあるように、イスラエルの民が神のみことばに聞き従うとき、人々は祝福され、イスラエルの所有する土地の面積も増えます。逆に、不信仰になると罰を受け、所有地が減らされたり、時に失ったりしました。
しかし、神は真実な方ですから、約束の地を追われている時でも、その所有権は常にイスラエル人のものでした。異邦人がそこに住んでいる時でも、神の目からは所有権はイスラエル人にあり、異邦人は借地権だったわけです。
歴史書を見ると、イスラエルの指導者(ソロモン王)の罪によって国が二つに分裂し、南北王朝時代に入ります。
*北イスラエル王国ーBC721年に滅亡。多くの民がアッシリヤに捕虜として連れ去られました。
*南ユダ王国ーBC586年にはバビロにヤによって滅ぼされ、バビロンに捕囚の民となりました。
【ヨシュア記】著者:ヨシュア
1)約束の地へ侵入するー1~5章。
2)約束の地を征服するー6~12章。
3)約束の地の部族への割り当てー13~22章。
4)ヨシュアの晩年ー23~24章。
【士師記】著者:サムエル
優れた指導者がいないと国や民族はどのようになるのかということを具体的に教えてくれるのが、士師記です。
内容としては、
ヨシュアーその同世代の死後、民は主から離れていき偶像礼拝を行なった。
→そのため主の怒りを招き、主は彼らを異邦人の手に渡した。
→人々は苦しみ、困った時の神頼みで主に助けを求めた。
→主の憐れみにより彼らのために士師を起こし、彼らを異邦人の手から助け出された。
→士師の生存中は平和を保てたが、偶像礼拝からは完全に手を引くことはかった。
→士師が死ぬと以前よりも悪い状態となった。
→神は再び異邦人により、イスラエルの民を苦しめた。
→民は神に助けを叫ぶ。
→その祈りに応えて士師を送る、の繰り返しです。
1)ヨシュアの死後の出来事と説明的序論ー1~2章。
2)6人(12人)の士師たち…a) オテニエル、エフデ、デボラ、ギデオン、エフタ、サムソンの活躍。
b) シャムガル、トラ、ヤイル、イブツァン、エロン、アブドンは名前のみ明記…の物語ー3~16章。
3)士師記の時代を例証する出来事と結語ー17~21章。
【ルツ記】著者:サムエル
注目すべき点は、ドラマ的に書かれていてもその内容は事実(新約時代の型)だという事です。異邦人、モアブの女ルツの信仰と愛が、どのように神に受け入れられダビデの系図に入ったかが記されてます。
エリメレク、マフロン、キルヨン…ユダヤ人のノンレムナントの型。
ナオミ…レムナントの型。
オルパ…異邦人の不信者の型。
ルツ…異邦人信者の型…後にキリストの型であるボアズと結婚していることから、キリストの花嫁となるクリスチャンの型。
ボアズ…キリストの型。
第一の買い戻しの権利を結うする者…ユダヤ教徒の型。
ヘブル語:ゴエール…買い戻しの権利のある親戚。異邦人の女ルツに対するボアズの愛が、異邦人をも救うイエス・キリストを予表しています。契約の外にある異邦人であっても信仰と、信仰による行ないを持って応答する時、神が報いてくださるということも教えています。
【第一サムエル記】著者:サムエル
士師(さばきつかさが)治める時代から、王制時代への転換期を記しています。
1)預言者サムエルの出現ー1~6章。
2)王制への願いとサウルが受けたテストー7~15章。
3)サウル王とダビデー16~31章。
【第二サムエル記】著者:サムエル
40年間にわたるダビデ王の治世の出来事ーサウルの死後ダビデがヘブロンで王座につき、年老いて死ぬ間際までのことが記されています。
1)ダビデ王国の確立と領土の拡大ー1~10章。
2)ダビデの罪とその結果ー11~20章。
3)付録ー21~24章。
【第一列王記】著者:不明
1)ソロモン王による40年間の統治ー1~11章。
ソロモンの神殿は金銀をふんだんに用いた壮麗なもので、7年の歳月をかけて多くの人々の地と汗によって建てられました。 ソロモンの700人の王妃と300人のそばめたちが、晩年の王の心を偶像礼拝へと向けさせました。
2)王国分裂後の80年間ー12~22章。
特に北イスラエル王国の出来事に焦点。ダビデ王によってなされた統一王国は、たった70年余で南北に分裂しました。北イスラエル王国は、ヤロブアムの反乱によって始まり、アッシリヤによって滅ぼされるまで211年間続きました。
【第二列王記】著者:不明
cf申命記30:17~18。シナイ契約を犯したイスラエルの民に対して、モーセを通して警告したことがどのように成就していくかを記しています。同時に神はダビデ契約を覚えておられることも記しています。
1)北イスラエル王国の年代記と預言者エリシャの働きー1~10章。
2)南北王朝の交互的年代記とイスラエル王国破滅への道ー11~17章。
3)南王国の年代記ー18~25章。
【第一歴代誌】著者:エズラ
1)イスラエル12部族の系図ー1~9章。
2)ダビデの神殿建築準備 ー10~29章。
【第二歴代誌】著者:エズラ
1)ソロモンの神殿建築ー1~9章。
2)南ユダ王国の王たちー10~36章。
【エズラ記】著者:エズラの弟子たち
BC586年、バビロンの王ネブカデネザルによってエルサレムが陥落、ソロモンの神殿も崩壊、そしてユダヤ人にとって最も大切な契約の箱も失われてしまいました。バビロンへ捕囚の民として送られた人々の生活は苦しく、また神のみことばを語る者もわずかでした。
詩篇137編には、捕囚の民の心の苦しみが描かれています。そんな彼らにエレミヤは「結婚をし、家を建てて住みぶどう園を作り、その町の繁栄のために祈れ」と勧めていますーcfエレミヤ29:5~6。 捕囚となった苦しみから彼らが学んだことは、偶像礼拝の罪の重さです。
その反省から彼らがしたことは、聖なる文書の収集とその正典化です。捕囚という出来事が旧約聖書という教典の誕生へのきっかけとなりました。神殿が崩壊したために、祭司たちの仕事もなくなり、彼らは律法や歴史などを筆写する書記の仕事をするようになりました。
また、国がなくなりバビロンでの捕囚生活を送ることになって、生活面ではヘブル語からアラム語になり、ヘブル語が口語から文語になりました。
*文語になったことにより、時代によって変化することもなくなり聖書が原文のまま保存されやすくなりました。すべてを益とされる神の知恵ですね。PTL!
神殿がなくなったことにより、祭儀中心から律法を中心とする宗教に移行していきました。その結果、神を礼拝する場所として会堂が作られるようになりました。現在私たちが集う教会は、ユダヤ教のこの流れから来ています。
1)捕囚からの帰還と神殿の完成ー1~6章。
2)エズラの帰還と改革ー7~10章。
【ネヘミヤ記】著者:ネヘミヤ
1)城壁再建ー1~6章。
捕囚からの帰還後、ネヘミヤの指導のもとで民がどのようにエルサレムの城壁を 再建したかが記されています。
2)律法の再教育ー7~13章。
エズラの指導のもとにモーセの律法がどのように民に教えられていったかが記されています。
【エステル記】著者:ペルシャ在住のユダヤ人
神の民の危機に対する神の摂理のドラマが記された書。ユダヤ人の祭り「プリムの祭り」の起源。神の名はいっさい出て来ませんが、ペルシャで記されたことを考えれば理由は理解できます。
1)迫って来る危機ー1~5章。
2)覆された危機ー6~10章。
【ヨブ記】著者:不明
正しい人がなぜ苦しまなければならないのかをテーマに記されました。
1)問題提起ー1~2章。
ヨブは神を恐れる正しい人でしたが、サタンの挑戦によって“神の許された範囲で”試みに会いました。大事なのは、サタンがどんな試みをしかけてこようとも神の許された範囲内だということです。
2)友人との論争ー3~26章。
友人とヨブの論争は、ヨブが生まれた日を呪うところから始まります。
3)ヨブの独白ー27~31章。
「あなたがたを義と認めることは、私には絶対にできない。私は息絶えるまで、自分の潔白を離さない」ー27:5ーと、自らの高潔を強く主張します。
4)エリフの論述ー32~37章。
それまで黙って呼ぶと友人の論争を聞いていたエリフが発言します。神は人を訓練する崇高なお方である。人は神を理解することができないのだから、自らを賢いとせず、力と公正と正義の神を恐れよ、というのが彼の主張です。
5)主とヨブとの対話ー38~42章。
最後に神ご自身がヨブに語りかけます。しかし、ヨブの質問に直接には答えられません。むしろ、創造と摂理の中で、偉大な恵みと力を示す神を認識せよ、と迫ります。
6)問題の結末ー42:7~17。
神は悔い改めたヨブに、二倍の祝福をもって報いられました。ピリピ人への手紙でもそうですが、試練は形を変えた神様からの祝福なのです。そこに気付けば、試練は希望に変わります。この試練を通して、神は何を教えようとされているのか、すべては聖化の過程です。
【詩篇】著者:1/3 不明、ソロモン、ダビデ、モーセ、エズラ人へマン、エブス人エタン、指揮者アサフ
神の民のありのままの姿を、新生の喜び、悲しみ、恐れ、失望、落胆、迷い、疑いといった様々な経験を赤裸々に綴っています。
一番短い詩は、117編の2節。
一番長い詩は、119編の176節。
ハレルヤ詩篇…146~150篇。
王の詩篇…2, 21, 45, 72, 110, 132篇など。
メシア詩篇…2, 16, 22, 40, 45, 69, 72, 89, 110篇など。
おそらく一番有名な詩は。23編の「主は私の羊飼い」でしょう。
詩篇は全部で5巻にまとめられている。
第一巻…1〜41篇。(創世記)
第二巻…42〜72篇。(出エジプト記)
第三巻…73〜89篇。(レビ記)
第四巻…90〜106篇。(民数記)
第五巻…107〜150篇。(申命記)
律法の書と預言書を詩的にまとめたものでもあるため、新約聖書に詩篇が付録でついていることが多い。また五巻にまとめられた各巻が、モーセ五書に倣って編集されたともされている。
【箴言】著者:ソロモン
契約の民イスラエルに対する人生マニュアルです。神の律法に従って、どのように日常生活を歩むか、に焦点を当てているので、毎日1章ずつ読むと1ヶ月で1回、1年間に12回通読できます。
31章は妻たちにはちょっと厳しいので、時々読まなくてもいい日があるのかな!?…なんてね(^^;;
【伝道者の書】著者:ソロモン
「伝道者」と訳されたヘブル語は、一つの職を表わし、「集会を招集する者」「説教者」「伝道者」等の意味があります。
この書の結論は、12:13~14ー結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。神は、善であれ悪であれ、すべての隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからだ。
【雅歌】著者:ソロモン
歌の中の最も優れた歌という意味。人間の愛の賛歌の形をとりながら、神とイスラエルの愛の関係、キリストと教会の関係として解釈される。過越の祭りの時に読まれます。
たまに「イエスはマグダラのマリアと結婚していた」などと、変なことを言う方がおられますが、イエス・キリストは天で教会(花嫁)と結婚する花婿なので、地上では結婚していません。
【イザヤ書】著者:イザヤ
第1部〜主権的支配者である唯一の主〜
1)ユダについての託宣とメシヤ預言ー1~12章。
2)諸国への宣言ー13~23章。
3)世界の裁きと終わりの日の救いー24~35章。
4)歴史的付加ー36~39章。
第2部〜解放(あがない)と終末の託宣〜
1)神による救い(あがない)と回復の約束ー40~56章。
2)神の王国の確立ー57~66章。
イザヤ書は「第五の福音書」(特に53章)と言われるほどキリストに関する預言を多く含みます。キリストの処女降誕、ダビデの子孫からのメシヤの誕生、聖霊による油そそぎ、神のしもべとしての活動、苦難のしもべ、罪のあがないなど、キリスト誕生の700年も前にはっきりと預言されています。
【エレミヤ書】著者:バルク
涙の預言者、悲しみに満ちた人物という表現が用いられるほど、南ユダ王国のヨシヤ治世13年に預言者として召され、エホアハズ、エホヤキム、エホヤキン、ゼデキヤの時代を経て、エルサレム陥落後まで活動した預言者です。
序)エレミヤの召命ー1章。
1)一般的な日付のない預言ー2~20章。
2)特定の日付のある預言ー21~39章。
3)エルサレム陥落後の預言ー40~51章。
4)付録ー52章。
【哀歌】著者:エレミヤ
エルサレムの城壁が破られて一月後、バビロンの王ネブカデネザルの侍従長ネブザルアダンがエルサレムに着き、主の宮と王宮とエルサレムの家々を焼き(この時、契約の箱も焼失したと考えられる)、城壁を打ち壊しました。
神殿の調度品や器具は戦利品として持ち去られ、祭司や軍民のつかさたち、一般市民たち60人をリブラにいるネブカデネザルのもとへ連れて行き、処刑しました。その時のことを歌ったのが哀歌です。
【エゼキエル書】著者:エゼキエル
きちんと年代順に整理されて記されているので分かりやすい反面、多くの幻による表現や象徴的用語が用いられているため難解でもあります。
1)エゼキエルの召命ー1~3章。
2)エルサレムへのさばきの預言と神殿を巡る幻ー4~24章。
3)諸国民についての預言ー25~32章。
4)イスラエルの回復の預言ー33~39章。
5)新しい神殿と相続地に関する幻ー40~48章。
【ダニエル書】著者:ダニエル
この書の解釈に大きく影響を与える、その著作年代についての立場がはっきりと分かれます。
A)批評学的な立場…BC167~165年頃、シリヤのアンティオコス・エピファネスの迫害の時代にユダヤ人の抵抗運動を励ますために、ダニエルの名を借りて記されたという考え方をします。
B)伝統的立場…この書に記された出来事は、本質的には捕囚の時代に実際に起きた歴史的事実であり、イスラエル民族が危機に直面しているときに、バビロンの宮廷に仕えていたダニエルを通してみわざを現されたという考え方です。
前半…主に、ダニエルと三人の友人に関する歴史。
1)ダニエルと三人の友人の教育ー1章。
2)巨大な像の夢とダニエルー2章。
3)金の像礼拝拒否と燃える炉の中の三人ー3章。
4)ネブカデネザルへのさばきー4章。
5)ベルシャツァルの祝宴とさばきー5章。
6)獅子の穴に投げ込まれたダニエルー6章。
後半…幻によるダニエルの預言。
1)四頭の獣の幻ー7章。
2)雄羊と雄やぎの幻ー8章。
3)ダニエルの祈りと七十週の預言−9章。
4)最後の幻と栄光の顕現ー10章。
5)地上での戦いー11章。
6)終末に関する預言ー12章。
【ホセア書】著者:ホセア
イスラエルへの神の愛と苦悩を説いた預言書。
1)ホセアの結婚と神の心ー1~3章。
2)神の告発ー4~5章。
3)避けえない審判ー6~10章。
4)さばきと恵みー11~14章。
【ヨエル書】著者:ヨエル
ヨエルは、ユダ王国を襲った恐るべきいなごの災害のさなかに、同胞の罪の悔い改めを迫り、主の日(さばきの日)の到来を告げた預言者。
ヨエルとは、「主は神」の意。
1)いなごの災害と祭司たちへの忠告ー1章。
2)警告と勧告…迫り来る主の日ー1:1~2:17。
3)ねたむほどの神の愛と約束…注がれる神の霊ー2:18~2:32。
4)諸国民の審判とユダの解放と祝福ー3章。
ヨエル書の概要
http://osusowake.hatenablog.com/entry/2014/08/11/104345
メッセージの中心…公義を水のように、正義をいつも水の流れる川のように、流れさせよー5:24。
「公義ーミシュパット」ー神のおきて、神のさばき、神との契約社会の規定、人間が生活するための大切な規定を意味する用語。
1)周辺諸国とユダ、イスラエルに対する宣告ー1〜2章。
2)イスラエルに他逸する宣告ー3〜6章。
3)幻による神の計画の啓示ー7:1~9:10。
4)回復の希望ー9:11~9:15。
【オバデヤ書】著者:オバデヤ
旧約聖書中 最も短い書。オバデヤは「主のしもべ」の意。
中心主題は、エドム王国に対するさばき。
年代は明らかではありませんが、エレミヤやヨエルがオバデヤ書から引用していることを加味すると、エレミヤたちよりも前に書かれたと考えられます。
*エドム人…アブラハムーイサクーエソウの子孫。イエス誕生の時代のユダヤの王「ヘロデ大王」もエドム人でした。
* ユダヤ人…アブラハムーイサクーヤコブの子孫。
バビロンのオプネブカデネザルがエルサレムを攻撃した時、エドムはネブカデネザルの忠実な手下として働き、エルサレムの陥落を喜んだといわれています
cf 詩篇137:7-主よ。エルサレムの日に、「破壊せよ、破壊せよ、その基までも。」と言ったエドムの子らを思い出してください。
1)エドムの運命ー1~9節。
2)エドムの悪行ー10~14節。
3)主の日におけるエドムとすべての国々への審判ー15~16節。
4)主の王国ー17~21節。
【ヨナ書】著者:ヨナの側近
異邦人に対する神の愛と憐れみを強く印象づける、旧約聖書の中で国外宣教の大切さを教えてくれる数少ない貴重な書です。
1)預言者の逃走と嵐の海ー1章。
2)大きな魚の腹の中での預言者の祈りー2章。
3)ニネベでの宣教とその結果ー3章。
4)預言者の怒りと神の訓戒ー4章。
【ミカ書】著者:ミカ
イザヤと同時代の南ユダ王国で活動した預言者。(北王国ではアモスに続いてホセア、ヨナも活動していました)
高尚なイザヤに対し、ミカが用いるへブル語は『田舎者』感が否めません。
モシェテ…エルサレムの南西約30kmのユダのシェフェアー丘陵地にあるちいさな町。
1)サマリヤとエルサレムに対する警告ー1章。
2)指導者たちへのさばきの宣告ー2〜3章。
3)シオンの回復の約束ー4章。
4)ベツレヘムから出る牧者ー5章。
5)主のイスラエルとの論争ー6〜7章。
【ナホム書】著者:ナホム
アッシリヤの首都ニネベに対するさばきの宣告の書。
ヨナがニネベに宣教活動をしたのは、ヤロブァム二世の時代(BC793~753年)。ナホムが預言者として登場した時代は、BC630~620年頃であったであろうと言われています。この間にどんな変化があったのでしょう?
アッシリヤは歴史上に見る帝國の中で、最も残酷な暴力行為を行なった国として知られています。ナホムはその残虐非道な行為をした首都ニネベに対して最終的な裁きの宣告をしました。
ナホムとは「慰め」という意味です。
1)復讐し、さばく神ー1章。
2)ニネベの包囲と滅亡ー2章。
3)ニネベの罪と罰ー3章。
【ハバクク書】著者:ハバクク
ハバククは、自分が生きている社会に悪と暴力が蔓延しているのに、なぜ神はそれを見過ごしておられるのかと問い、それに対し神は、ユダの不正と暴力に対して凶暴なカルデヤ人(バビロン人)を遣わすと答えました。神とのやりとりの中からこの書の中心主題の思想へと導かれていきます。
「正しい人はその信仰によって生きる」ーこれは新約聖書に記されている信仰義認のかぎとなることばでもあります。
1)神はなぜ暴力や不正を許すか…ハバククの問いかけー1:1~1:4。
2)神はカルデヤ人を起こしてユダを裁く…神の答えー1:5~1:11。
3)なぜ悪人が正しい者を罰するのか…ハバククの問いかけー1:12~2:1。
4)正しい人はその信仰によって生きる…神の答えー2:2~2:4。
5)悪者へのさばきー2:5~2:20。
6)ハバククの祈りと賛美ー3章。
【ゼパニヤ書】著者:ゼパニヤ
ゼパニヤが活動した時代は、真の宗教が死んでしまった暗い、困難な時代でした。アモスが言った「主のことばのききん」が南ユダ王国を襲ったのです。
1)エルサレムの破滅が迫っていることの宣告ー1:1~2:3。
2)周辺諸国の審判の宣告ー2:4~2:15。
3)ユダの回復と祝福ー3章。
【ハガイ書】著者:ハガイ
ハガイ…私の祭りの意。
エズラ5章と合わせて読むと理解しやすいです。4回のメッセージから成ってます。
1)神殿再建の命令と民の応答ー1章。
2)新しい神殿と未来の栄光ー2:1~9。
3)二つの問答と祝福の約束ー2:10~2:19。
4)ゼルバベルほの約束ー2:20~23。
【ゼカリヤ書】著者:ゼカリヤ
来るべきメシヤと王国の預言。ゼカリヤは、第二神殿の再建に関わった預言者で、工事を完成するために人々を戒め、励ますことが中心的なテーマです。
A)前半…同世代へのメッセージ。
1)悔い改めの勧告ー1:1~1:6。
2)夜の八つの幻ー1:7~6:8。
3)大祭司ヨシュアの象徴的戴冠ー6:9~6:15。
4)断食の問題と新時代の約束ー7〜8章。
B)後半…神殿再建後の未来に関するメッセージ。
1)王なるメシヤー9〜11章。
2)メシヤの到来と主の日ー12~14章。
【マラキ書】著者:マラキ
旧約最後の預言者。第二神殿建設後、イスラエルの民は信仰的なスランプ、干ばつによる生活苦、周辺の地には敵意を抱く民が大勢いました。マラキ…「わたしの使者」の意。
1)神のイスラエルに対する愛ー1:1~1:5。
2)イスラエルの不誠実な罪の糾弾ー1:6~2:17。
3)迫り来る神のさばきと悔い改めの勧めー3章。
4)主の日の到来と預言者エリヤー4章。
ホセア、アモス、ヨナ…記述預言者。
エリヤ、エリシャ…行動の預言者。
以上、旧約聖書39巻の大雑把な内容でした。
*参考文献…西 満『わかりやすい旧約聖書の思想と概説』:上〜下。いのちのことば社、2001年。