ルカ2:1ーイエス様がお生まれになった頃は、ローマ帝国の強大な軍事力が国の隅々まで及んでいた『ローマの平和』と言われる時代でした。ローマの皇帝アウグストは、徴税と徴兵のために帝国内の全住民に、住民登録をするように命じました。
ルカ2:2ークレニオがシリヤの総督であったときの最初の住民登録…正確にはいつかは不明。
ルカ2:3ー登録は、自分の部族の本拠地で行なわれました。
ルカ2:4ーヨセフはダビデの家系であり血筋でもあったので、ガリラヤの町ナザレからユダヤの地ベツレヘムというダビデの町へ上って行きました。
ナザレからベツレヘムまでは約120kmあります。
ルカ2:5ーいいなずけの妻マリヤもいっしょに登録するためとはいえ、大きなお腹を抱えての旅でした。現在のような交通手段はありません。殆どの旅程は徒歩で、道の険しいところだけはロバや馬に乗ったかもしれません。いずれにせよ、楽な旅ではなかったことは確かです。
ルカ2:6~7ーようやくのことでベツレヘムに着いたものの、住民登録をするために集まって来た人々でごった返し、泊まる所すらままならない状態でした。
長旅の刺激もあったのでしょう。ベツレヘム滞在中に、マリヤは産気づき、男の子を生みました。しかし、産院でも宿屋でもない…家畜小屋でした。
当時の家畜小屋は、洞窟を利用しているものもありました。民家に隣接したような家畜小屋というよりは、イエスの誕生は郊外の洞窟であったと言われています。洞窟はまた『墓』としても使われることがあったので、死体を包む布はそこに置かれていました。
神の御子が誕生し最初に身に着けた『布』とは、死体を包むための布だったのです。生まれた時から『死ぬ』ために来られたことを予表しているようですね。
ベツレヘムへの往復の道中ではなく、そこに滞在中に誕生されたというのは、ミカ5:2の預言の成就です。
ミカ5:2ーベツレヘム・エフラテよ。
あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、
あなたのうちから、わたしのために、
イスラエルの支配者になる者が出る。
その出ることは、昔から、
永遠の昔からの定めである。
両親は誕生したばかりのイエスを布にくるみ、飼い葉おけの中に寝かせました。
神の御子であり、王の王、主の主であり、全人類の救いのために来られたイエスが、死体をくるむ布にくるまれ、飼い葉おけの中でスヤスヤ眠っている…なんという謙遜でしょうか。ピリピのみことばを思い出しますね。
cf ピリピ2:6~7ーキリストは、神の御姿であられる方なのに、神のあり方を捨てることができないとは考えないで、
ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられたのです。
『仕える姿をとり、人間と同じようになられ』家畜小屋でお生まれになったからこそ、一番底辺のところで生きている人をも救うことがお出来になるのです。
このキリスト・イエスに栄光がありますように。