マタイ2:13ー神様は夢で東方の博士たちにお告げを与えられ、幼子イエスを礼拝した彼らを、無事祖国へお帰しになられました。
今度は主の使いが夢で、幼子イエスの養父ヨセフに現われました。
立って…「朝になったら」とか「十分睡眠をとったら」とかの条件は何もありません。
幼子とその母を連れて…目的は、幼子イエスの身の安全とその世話をする母の身の安全です。
エジプトへ逃げなさい…BC30年にローマの支配下に置かれ、たとえユダヤの政治的支配者であっても手を出せない地域となっていました。これも神様の摂理ですね。
普段は『幼子とその母マリヤ』と記していますが、一家として決断、行動する時は必ず家長であるヨセフにお告げがあるのです。夫であり、父親である家長の責任は、家族を守るために神の前に謙遜であり、忠実、決断、行動力が求められています。
主の使いが再び知らせるまで、そこにいなさい…当時はTVやラジオ、インターネットなど無い時代ですから、ユダヤに戻るタイミングとして必要な情報は神が直接与えられる、ということです。
その理由は『ヘロデがこの幼子を捜し出して殺そうとしている』からでした。(「私も行って拝むから。」と言ってたのにね…。cf マタイ2:8。)
こうしてエジプトは、御子イエスにとっての『逃れの地』となりました。
マタイ2:14ーヨセフはすぐに行動に出ました。隣で寝ていたマリヤを起こし、荷物をまとめて『夜のうちに』出発したのです。
この『神のタイミング』が大事なのです。
エルサレムからベツレヘムまでは、わずか8km程の距離ですから、朝まで待って仕度してたらすぐにヘロデの部下たちに捕まり、幼子は殺されてしまいます。(サタンは常に、神の御子イエスが十字架以外のところで死ぬように狙ってきます。)
生後一ヶ月過ぎ頃、律法に従ってエルサレムの神殿で捧げた動物から、イエスの両親は貧しかったことが分かります。その彼らがどうやってエジプトまでの旅費やエジプトでの滞在費を捻出したのでしょう?
東方の博士たちからの高価な贈り物を売って、費用にしたと考えられます。まさに『主の山に備えあり』ですね。
マタイ2:15ーcf ホセア11:1ーイスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、
わたしの子をエジプトから呼び出した。
マタイ2:16ーエドム人でありながらユダヤ人の王となったヘロデ大王は、落ち着かないまま博士たちの報告を待っていたことでしょう。しかし、いくら何でも時間がかかり過ぎる…だまされた!とわかると『非常に怒った』とあります。
そして、あらかじめ博士たちから聞き出していた星の出現時間から『ベツレヘムとその近辺の2歳以下の男の子をひとり残らず殺せ。』と命じました。
祭司長や律法学者たちから『ユダヤ人の王は、ベツレヘムで生まれる』というミカ書の預言のことばを聞いていたにも関わらず、ヘロデは『ベツレヘムとその近辺』と私的解釈をしています。これにより何人の幼子が殺されたのかと思うと、胸が痛みますね。
マタイ2:17ーこのことにより、預言者エレミヤのことばが成就しました。
cf エレミヤ書31:15ー主はこう仰せられる。
「聞け。ラマで聞こえる。
苦しみの嘆きと泣き声が。
ラケルがその子らのために泣いている。
慰められることを拒んで。
子らがいなくなったので、
その子らのために泣いている。」
マタイ2:18ーラマ…エルサレムの北。ここでは、母たちがバビロン捕囚に引かれて行く息子たちとの生き別れを嘆き悲しんでいますが、それがベツレヘムとその近辺の2歳以下の男の子を持つ母たちの悲しみと重ねられています。
ラケル…ヤコブの妻、ヨセフとベニヤミンの母。ユダヤ人の母の代表。
マタイ2:19ーヘロデ大王が死ぬと、主の使いが再びヨセフに現われました。
マタイ2:20ー「立って、幼子とその母を連れて、イスラエルの地に行きなさい。」やはり主語は幼子とその母。
マタイ2:21ーそこでヨセフは、すぐにまた行動を起こし、イスラエルの地にはいって行きました。
出エジプト記の出来事は、御子イエスが『出エジプト』をすることの予表であり、影です。本体は、御子の『出エジプト』なのです。
マタイ2:22ーヘロデ大王の死後、彼の遺言に従ってイスラエルは三分割されて、彼の息子たちによって統治されました。
*ヘロデ大王と二番目の妻マリアンメⅠ 世の間に生まれた二人の息子、アレクサンドロスとアリストブロスはヘロデ大王によって殺されています。このことからもいかに残忍な王だったかが伺い知ることができます。
アケラオ…父のヘロデ大王と同じように残忍な支配者でした。ユダヤとサマリヤを統治。
ヘロデ・アンティパス…ガリラヤとペレヤを統治。cf マタイ14:1~10、ルカ3:1,19。
ヘロデ・ピリポ…パレスチナ北東部。cf マタイ14:3、マルコ6:17。
残忍な国主アケラオを恐れたヨセフに、神は再び夢で戒めを与え、ヘロデ・アンティパスが治めるガリラヤ地方へ立ち退きました。
マタイ3:23ーそしてナザレという町に住みました。
「この方はナザレ人と呼ばれる。」…預言書に記載はないが、『預言者たちをとおして』とあることから、複数の預言者たちによって『言われていた』ということです。その成就だと、聖書は記しています。
神のことばを素直に信じた母マリヤ、養父ヨセフ、ベツレヘムの羊飼いたち(ユダヤ人)、東方の博士たち(異邦人)とは対照的に、神のことばを私的解釈し、恐れ惑ったヘロデ大王、祭司長たち、律法学者たち…。
神のみことばに対する姿勢の違いは、祝福の違いへと響きます。
今年のクリスマスは、ひとりでも多くの方に神の和解の小羊である御子イエスを受け入れ、みことばを素直に受け入れる信仰が与えられますように。
主に在って、素敵なクリスマスをお過ごしください。