【八つの段階】
『ハルマゲドンの戦い』として広く知られている『ハルマゲドン』は、『メギドの平野』と呼ばれる所に、世界中から集まってくる反キリストに組みする異邦人たちの集合場所であって、実際の戦いの場所ではありません。
患難時代中期に、反キリストが「自分こそが神である」と自分の『獣の像』をエルサレムの神殿に設置すると、ユダヤ人たちは『山』に逃げます。多くは、エドム人の地『ボツラ(ペトラ)』に避難します。そこは『羊のおり』とも言われる入り口の狭い、何もない『岩』で囲まれた場所です。しかし、そこは神がイスラエルの『レムナント(残れる者)』のために備えられた『逃れの地』であり、おそらく神ご自身が荒野でイスラエルの民を養われたように、マナを降らせ、うずらを与え、岩から水を出して養われるのでしょう。そのような経験を通して、背信を重ねてきた『イスラエル』がメシアに立ち返ると思われます。
『レムナント(ユダヤ人の残りの者)』の回心は、八つの段階を経て成就します。
回心した彼らの祈りに応えて、キリストの地上再臨が起こります。
第一段階:軍勢の結集…黙示録16:13~14&16。
イスラエルで一番広い平野(谷)に反キリストの異邦人の軍勢が結集します。
ハルマゲドンーイスラエルのイズレエル平原の一番西の端に立つ山(メギドの山、の意)のこと。七年間続く患難時代の最後に起こる戦いです。
結集するのはキリスト信じない異邦人(ユダヤ人以外)、その軍勢を相手に戦われるのは『再臨されたキリスト』お一人です。
*患難時代については、ヨハネの黙示録に詳しく時系列にまとめて預言されています。
第二段階:バビロンの崩壊…イザヤ13~14章、エレミヤ50~51章、ゼカリヤ5:4~11、黙示録18章。
患難時代に入ってから信仰を持ち、患難時代末期にまだ生き残っている異邦人の信者によってなされます。
(教会時代の信者は、患難時代前に携挙によって天に上げられています。)
ユダヤ人の民族的回心による祈りによって、キリストの地上再臨が起こることをサタンは知っているため、生き残っているユダヤ人たちを根絶し、地上再臨を阻止しようと試みます。
イズレエル平原に反キリストの軍勢を集結させると、反キリストの政治的、宗教的拠点であるバビロンの守りが手薄になってしまいます。そこに、患難時代の異邦人信者たちが攻め込むのです。
第三段階:エルサレムの攻撃と崩壊…ゼカリヤ12:1~5、14:1~2。
イズレエルの谷に結集した反キリストの異邦人の軍勢は、そこからエルサレムの町に南下し、町を征服し滅ぼします。この時点で、エルサレムの町にはユダヤ人は誰もいません。エドム人の地、ペトラ=ボツラ(一部アモンやモアブ)に避難しています。
第四段階:エルサレムからボツラへ移動…エレミヤ49:13~14。
反キリストの異邦人の軍勢は、エルサレムからエドム人の地『ボツラ』へ移動します。ボツラとは、現在のヨルダン南部です。
ボツラに避難している生き残っているユダヤ人たちを根絶するのが彼らの目的です。何故なら、ユダヤ人たちの民族的回心が、キリストの地上再臨の条件だからです。彼らを回心前に根絶すれば、キリストの地上再臨は起こらないからです。
第五段階:イスラエルの民族的救い…ローマ11:26~27ーこうして、イスラエルはみな救われる、ということです。こう書かれているとおりです。
「救う者がシオンから出て、
ヤコブから不敬虔を取り払う。
これこそ、彼らに与えたわたしの契約である。
それは、わたしが彼らの罪を取り除く時である。」
ホセア5:15~6:3…ユダヤ人の指導者たちがまず主に立ち返り、今こそ何をなすべきか、誰を信頼すべきかを民に告げ、主の御名を呼び求めるように命じます。
*これはキリストの地上再臨三日前に起こる出来事です。二日間彼らは自らの罪を告白し、三日目にユダヤ人が民族的救いを得るのです。
イザヤ10:21ー残りの者、ヤコブの残りの者は、力ある神に立ち返る。
*力ある神…イエスのこと。イザヤ9:6。
これらの預言の成就が短時間のうちに起こるのです。cf イザヤ66:8、ゼカリヤ3:8~10。
第六段階:キリストの再臨…イザヤ34:1~7、ミカ2:12~13、ハバクク3:3。
キリストが地上に戻って来られる場所は、『ボツラ(または、ペトラ)です。しかしここでは着地せず、ユダヤ人を根絶させようと迫って来る反キリストの軍勢と戦うために来られます。
第七段階:反キリストの軍勢の敗北…ヨエル3:12~13、黙示録14:20。
反キリストの軍勢は、再びエルサレムに引き返しますが、エルサレムのヨシャパテの谷(ケデロンの谷)で最終的な敗北することになります。
そこはまた『羊と山羊の裁き』ーマタイ25:31~46ーが行われる場所です。
この時敵が流す血が馬のくつわに届くほどになり、約300kmに及びます。
第八段階:オリーブ山に『王の王』が立たれる…ゼカリヤ14:4~5。
これがキリストの『地上再臨』です。栄光の王としてオリーブ山の上に立たれます。この時大地震が起こり地形が激変し、オリーブ山が世界で一番高い山となります。
世界で一番高くなったオリーブ山の上に、千年王国の都『エルサレム』の町と『第四神殿』が建ちます。再臨のキリストは『王の王』としてそこから全世界を統治する『御国の時代』が、千年間この地にできます。これが『エデンの園』の回復であり、旧約時代の預言者たちが、メシアが統治する国を『新しい天と新しい地』と呼んで待ち望んでいたのです。
バビロン捕囚前に『シャカイナグローリー(神の栄光)』は、ソロモンの神殿の至聖所から神殿の入口→神殿の門→オリーブ山⇨天へと去って行かれました。
再臨の主は、オリーブ山から神殿の『東の門』→御国の時代に建つ第四神殿の入口⇨神殿の至聖所へと『栄光の王』として戻って行かれるのです。
これまで間違った『ハルマゲドン』がたくさん語られてきましたが、イスラエル抜きで『ハルマゲドン』は起こりません。
聖書解釈から『イスラエル』を排除せず、『イスラエル中心』で解釈することが重要ですね。