『天使』『天の御使い』という存在をおとぎ話のように思っている方がおられますが、旧約聖書では18の書物にわたり108回、新約聖書では15の書物にわたり165回出ています。
特に福音書では、イエスの誕生、公生涯、復活、昇天、再臨、すべてにおいて天使たちの関与があります。イエス様ご自身も何度も天使の存在、その働きに言及されているので、天使の存在を疑ったり、否定することは、キリストの教えを疑い、否定する『不信仰』になります。
黙示録においては、65回その働きが記され、聖書の書の中で最多です。
天使…『メッセンジャー』の意。
へブル語:マルアック。
ギリシャ語:アンゲロス(複数形:アンゲロイ)…天的存在のすべてを指す言葉ですが、一般的には『下位の天的存在』のこと。
旧約聖書では『神の子ら=Sons of God』(へブル語:ベネイ・エロヒム)と常に複数形で記され、聖なる天使か墮天使かは文脈で判断します。
新約聖書で『神の子=Son of God』と記されている言葉は、殆どの場合、御子キリスト・イエスを指すのに用いられています。(*『アダム』や『信者』など、人間を指す場合もあります。)
『【主】の使い』…受肉前の第二位格の神(御子)を指します。
cf 創世記16:1~3、21:17~19、22:11~16
詩篇148:5ー彼らに【主】の名をほめたたえさせよ。
主が命じて、彼らが造られた。
コロサイ1:16ーなぜなら、万物は御子にあって造られたからです。天にあるもの、地にあるもの、見えるもの、また見えないもの、王座も主権も権威も、すべて御子によって造られたのです。万物は、御子によって造られ、御子のために造られたのです。
*天使はキリストによって造られた『被造物』です。
マルコ8:38ーこのような姦淫と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばを恥じるような者なら、人の子も、父の栄光を帯びて聖なる御使いたちとともに来るときには、そのような人のことを恥じます。
*罪を犯さなかった天使は『聖なる御使い』と呼ばれています。
1テモテ5:21ー私は、神とキリスト・イエスと選ばれた御使いたちとの前で、あなたにおごそかに命じます。これらのことを偏見なしに守り、何事もかたよらないで行いなさい。
*聖なる御使いは『選ばれた御使いたち』と呼ばれています。
ルカ20:34~36ーイエスは彼らに言われた。「この世の子らは、めとったり、とついだりするが、
次の世に入るのにふさわしく、死人の中から復活するのにふさわしい、と認められる人たちは、めとることも、とつぐこともありません。
彼らはもう死ぬことができないからです。彼らは御使いのようであり、また、復活の子として神の子どもだからです。
*天使の数は一定であり、増えたり減ったりしません。
イザヤ書14:14ー密雲の頂に上り、
いと高き方のようになろう。
黙示録12:4aーその尾は、天の星の三分の一を引き寄せると、それらを地上に投げた。
*最高位の天使が神のようになろうと反逆し『サタン』となった時に、天使界から1/3の天使たちがサタンに従い『墮天使』となりました。
黙示録5:11ーまた私は見た。私は、御座と生き物と長老たちとの回りに、多くの御使いたちの声を聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍であった。
*その後、聖なる天使たちは神の御座のある『第三の天』にいて、神に仕えています。
その働きは、神の礼拝が維持されるために働き、御使い自身も神を礼拝します。
神の御心を行い、神のみわざを喜び、神の裁きを行ないます。
一方、【墮天使たち】は、
エペソ2:2ーそのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいました。
*神の御座のある『第三の天』から落とされたサタンと墮天使たちは、第二の天(天体のある高さ)、第一の天(鳥や飛行機の飛ぶ高さ)という『空中の支配者』として限られた範囲でのみ活動することが許されています。
ヨブ記1:6ーある日、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンも来てその中にいた。
ヨブ記1:9~11ーサタンは主に答えて言った。「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。
あなたは彼と、その家とそのすべての持ち物との回りに、垣を巡らしたではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地にふえ広がっています。
しかし、あなたの手を伸べ、彼のすべての持ち物を打ってください。彼はきっと、あなたに向かってのろうに違いありません。
*サタンは時に、聖なる御使いの中に混じって神の御前に立って、信者を糾弾しています。
ユダの手紙6節ーまた、主は、自分の領域を守らず、自分のおるべき所を捨てた御使いたちを、大いなる日のさばきのために、永遠の束縛をもって、暗やみの下に閉じ込められました。
*神に造られた時は、第三に天にて神に仕える者たちでした。ところが、神に反逆し、第三の天から落とされ『空中の支配者』となりました。
創世記6:2ー神の子らは、人の娘たちが、いかにも美しいのを見て、その中から好きな者を選んで、自分たちの妻とした。
*さらに、墮天使の一部は空中(第二、第一の天)という領域を捨て、地上にまで下り立ち、人間の女たちと結婚しました。
*神の子ら…『神を信じる敬虔な者』と考える人もいますが、もしそうであるなら、神に祈らずに自分の好みだけで妻を選ぶということはしなかったでしょう。墮天使であるからこそ、このような罪を犯したのです。
創世記6:4ー神の子らが、人の娘たちのところにはいり、彼らに子どもができたころ、またその後にも、ネフィリムが地上にいた。これらは、昔の勇士であり、名のある者たちであった。
*墮天使と人間の女との間に『ネフィリム』が生まれました。彼らは天使でもなく、人間でもない『異種類』の間に産まれた『新種』であり繁殖することもなく、一代限りで滅びていきます。つまり、『女の子孫』ー創世記3:15ーが絶えることになり、メシアを誕生させないというところにサタンの目的があるのです。
Ⅱ ペテロ2:4ー神は、罪を犯した御使いたちを、容赦せず、地獄に引き渡し、さばきの時まで暗やみの穴の中に閉じ込めてしまわれました。
*暗やみの穴の中…ギリシャ語:タータラス。永遠の火の池に行くまでの『独房』のような場所。彼らはそこから出されることはなく、最後の『白い大いなる御座の裁き』のときに『火の池』に直行させられます。
*おるべき領域を捨て、女の子孫として来るメシアの誕生を妨害した罪は重い。
墮天使(悪霊)の働きの全盛期は、メシアの公生涯のときです。
創世記6章以外の墮天使のほとんどが、主イエスにより『底知れぬ所(穴)』に閉じ込められました。教会時代でもその働きはありますが、公生涯の時ほどではありません。
次に活発に働くのは、聖霊の内住のあるクリスチャンが、携挙により地上から取り除かれた後の『七年間の患難時代』です。
黙示録9:2~3ーその星が、底知れぬ穴を開くと、穴から大きな炉の煙のような煙が立ち上り、太陽も空も、この穴の煙によって暗くなった。
その煙の中から、いなごが地上に出て来た。彼らには、地のさそりの持つような力が与えられた。
*イエスの公生涯の時に閉じ込められた墮天使たちは、患難時代前半の第五のラッパの裁きで『底知れぬ穴』から出されます。そして地上再臨されたキリスト・イエスにより、サタンが『底知れぬ穴』に千年間閉じ込められます。そこから出された墮天使(悪霊)たちは、千年の間、バビロンとボツラの二カ所に閉じ込められることになるのです。
墮天使の働きは、誤った教理を広げて、教会に敵対し、霊的に堕落させます。
1テモテ4:1ーしかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります。
Ⅱ コリント11:14ーしかし、驚くには及びません。サタンでさえ光の御使いに変装するのです。
ですから、常に聖書のみことばにとどまり、霊的に覚醒し、悪魔の策略にひっかからないように注意していましょう。