サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

天の御国のかぎ 〜マタイ16:13~19〜

マタイ16:13さて、ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。「人々は人の子をだれだと言っていますか。」

*イエスは12弟子たちに『人々がイエスのことをどう認識しているか』を尋ねられました。これは非常に大事な質問です。

あなたの答えは何でしょう?

 

マタイ16:14彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人もあり、エリヤだと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤだとか、また預言者のひとりだとも言っています。」

*人々のイエスに対する認識は4種類ありました。

バプテスマのヨハネだと言っている人々。

エリヤだと言う人々。

エレミヤだと言う人々。

預言者のひとりだと言う人々。

 

現代ならば、エホバの証人のように⑤『神の子だけど、全知全能なる神ではなく、被造物なる神だ。』と言う人々もいるでしょう。

しかし①〜④も⑤も全て間違っています。

 

マタイ16:15イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」

*そこでイエスは、今度はいつもご自分に従っている弟子たちに『あなたがたは、わたしを誰だというのか?』ときいています。

 

マタイ16:16シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」

*あなたは、生ける神の子キリストです。…これをギリシャ語で表記した時の各単語の頭文字を、とって繋げると『ΙΧΘΥΣ (イクソス)=魚』になるわけです。

主が、ペテロに『人間をとる漁師にしてあげよう。』と言われた訳がわかる気がしますね。

 

マタイ4:18~19イエスがガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、二人の兄弟、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレをご覧になった。彼らは湖で網を打っていた。漁師だったからである。

イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。

 

マタイ16:17するとイエスは、彼に答えて言われた、「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。

*もっと詳しく解説するなら、こうなるでしょう。

『ペテロよ。天におられる父があなたに働きかけ、示さない限り、あなたは私を知り、キリストであると告白できなかったのである。神は、わたしが誰であるかを知らせたのであり、あなたは父なる神の行為に応えたのです。良くやった!!』

 

マタイ16:18ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの門もそれには打ち勝てません。

*ペテロ…ギリシャ語男性名詞ペテロス:小石、の意。(女性名詞ペトラ:岩山、の意。)

『ペテロ』という名は、この時イエスによってつけらた名前です。親から付けられた名前は『シモン』でした。『バルヨナ』の『バル』とは、『息子』の意味ですから、『ヨナの息子のシモン』という名前だったことがわかります。

 

問題はここです。『わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。』

旧約時代には『教会』は存在せず、奥義として隠されていました。cf エペソ3:5~6

ここで初めて『教会』という概念が明らかにされました。そして、その『教会』を建てるのは、キリストご自身だと言われています。

 

イエスが教会を建てると言われた『この岩』とは何のことでしょう?

『ペテロ』自身のことではないことは明らかでしょう。なぜなら、ペテロの死後にも世界中で教会は建ち続けているからです。

 

『この岩』とは、ペテロのイエスに対する認識である『あなたは、生ける神の御子キリストです。』という信仰告白なのです。

 

 

また『ペテロ』がギリシャ語で『小石』を意味することから、次のみことばとの関連も見えてきます。

エペソ2:20あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。

使徒も預言者もユダヤ人です。これは異邦人の使徒であるパウロが、エペソにいる異邦人信者に向けて書いた書簡ですから、『あなたがた=エペソの異邦人信者』ということになります。

 

続く21~22節では、キリストにあってユダヤ人信者と異邦人信者がともに、ペテロが信仰告白をしたように、『生ける神の御子キリスト』を土台に組み合わされて『聖なる宮』となるのが『教会=天の御国』だということがわかります。

 

エペソ2:21~22このかたにあって、組み合わされた建物の全体が成長し、主にある聖なる宮となるのであり、

このキリストにあって、あなたがたもともに建てられ、御霊によって神の御住まいとなるのです。

 

しかし日本の現実は、多くの教会が異邦人信者で成り立っていて、ユダヤ人信者はほとんどいません。それどころか、ユダヤ人に対して無関心、またはクリスチャンであっても反ユダヤ主義の思想を持ち、自分たちを『霊的イスラエル』とし高慢になっている人もいます。

 

私たちを信仰により救いに導いてくださった神は、まずユダヤ人に福音を宣べ伝え、彼らを通して異邦人に救いが及んだということを忘れないようにしたいものです。

 

マタイ16:19わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天でも解かれています。」

天の御国…この文脈では、信者が肉体の死後に行く『天国』のことではなく、霊的な王国である『教会』のこと。

 

御国のかぎ『あなたは、生ける神の御子キリストです。』という、イエスに対する認識こそが信仰の土台となる御国のかぎです。

 

*ペテロはこの時、人々を『教会』に招き入れる『鍵』となる権威を与えられました。

実際に、ペンテコステ以降、ペテロはまずユダヤ人に『イエスこそ、生ける神の子キリスト(メシア)である。』と宣教しー使徒2章、混血であるサマリヤ人にも宣べ伝えー使徒8章、異邦人コルネリオにも福音を伝えましたー使徒9章

 

*『つなぐ』『解く』…1世紀のラビ的用語で、使徒的権威をあらわします。cf 使徒5章のアナニヤとサッピラの件では、ペテロが有罪か無罪かを判断しています。