マタイ24:9~14で患難時代前半の出来事を、15~28節で患難期中期から後半の出来事を語られたイエスは、ここで地上再臨の時に何が起こるのかを預言しておられ、35節で千年王国の後、どのようになるのかを少しだけ語っておられます。
『携挙』を知らない方、もしくは、『携挙』と『地上再臨』の区別がはっきりとついていない方には、少し理解するのが難しいかもしれません。
携挙の時のことと教会時代については、この後の36~51節で語られています。
マタイ24:29ーだが、これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。
*これらの日の苦難…七年間の患難時代
七年間の患難時代の終わりには、『暗黒』が起こります。
実は、終末における暗黒は全部で5回あります。
・患難時代前に一度…①ヨエル書2:31(新共同訳 3:4)ー主の大いなる恐るべき日が来る前に、
太陽はやみとなり、月は血に変わる。
・患難時代に四度…②黙示録6:12ー私は見た。小羊が第六の封印を解いたとき、大きな地震が起こった。そして、太陽は毛の荒布のように黒くなり、月の全面が血のようになった。
③ヨエル書2:10ーその面前で地は震い、天は揺れる。
太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。
黙示録9:2ーその星が、底知れぬ穴を開くと、穴から大きな炉の煙のような煙が立ち上り、太陽も空も、この穴の煙によって暗くなった。
④黙示録16:10ー第五の御使いが鉢を獣の座にぶちまけた。すると、獣の国は暗くなり、人々は苦しみのあまり舌をかんだ。
⑤ヨエル書2:14~15(新共同訳 4:14~15)ーさばきの谷には、群衆また群衆。
主の日がさばきの谷に近づくからだ。
太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。
*ヨエルが預言したこの⑤の暗黒が、マタイ24:29~30の『キリストの地上再臨』の時の預言となっています。
マタイ24:30ーそのとき、人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。
*人の子のしるし…大能と輝かしい栄光と雲に乗って来るということ。
使徒1:9~11ーこう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。
イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。すると、見よ、白い衣を着た人がふたり、彼らのそばに立っていた。
そして、こう言った。「ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります。」
*地上のあらゆる種族…イスラエルのレムナント(ユダヤ人の残りの者たち)は、全員イエスをメシアとして受け入れた結果、彼らの「ホサナ(主よ、救ってください)」の祈りに答えて、キリストの地上再臨が起こるため、『あらゆる種族』とは全員異邦人です。
*悲しみながら〜見る…『悲しみながら再臨の主を見る』のは、異邦人の不信者たちです。彼らは、地上再臨したキリストによって『羊と山羊のさばき』を受け、『山羊組』となって滅ぼされる人々です。(『5人の愚かな娘たち』と同じ)
*輝かしい栄光…シャカイナ・グローリー。暗黒の中に神の栄光が輝く、ということ。
劇場でスポットライトを当てる時、周りの電気をすべて消すのと似てますね。
*天の雲に乗って来る…詩篇68:4ー神に向かって歌い、御名をほめ歌え。
雲に乗って来られる方のために道を備えよ。
その御名は、主。その御前で、こおどりして喜べ。
*主…旧約の『主』は御父のこと。それが御子において成就します。
ヨハネ10:30ーわたしと父とは一つです。
また、『雲』は、神様の乗り物として記されています。
詩篇104:3ー水の中にご自分の高殿の梁を置き、
雲をご自分の車とし、
風の翼に乗って歩かれます。
マタイ24:31ー人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。
*大きなラッパの響き…贖われたイスラエルの民の召集の合図。
民数記10:7ー集会を召集するときには、長く吹き鳴らさなければならない。短くふきならしてはならない。
それはまた、イスラエルの最終的回復の時であり、『アブラハム契約』の成就でもある。
創世記15:18ーその日、主はアブラハムと契約を結んで仰せられた。
「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。
エジプトの川から、
あの大川、ユーフラテス川まで。
イザヤ27:12~13ーその日、
主はユーフラテス川からエジプト川までの
穀物の穂を打ち落とされる。
イスラエルの子らよ。
あなたがたは、ひとりひとり拾い上げられる。
その日、大きな角笛が鳴り渡り、アッシリヤの地に失われていた者や、
エジプトの地に散らされていた者たちが来て
エルサレムの聖なる山で、主を礼拝する。
*天の果てから果てまで…旧約時代の義人たちを復活させ、御国(メシア的王国/『アブラハム契約』の子孫と土地の条項の成就)を受け継がせるために召集します。
マタイ24:32ーいちじくの木から、たとえを学びなさい。枝が柔らかになって、葉が出て来ると、夏の近いことがわかります。
人は自然界の植物の成長具合を見て、季節を知ります。
マタイ24:33ーそのように、これらのことのすべてを見たら、あなたがたは、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。
*そのように…いちじくのたとえと同じように、『再臨のしるし』を見たなら、キリストの再臨が近いと悟りなさい、の意。
*あなたがた…特に、患難時代のイスラエルのレムナント。(及び、患難時代を生き延びた異邦人の聖徒たち)
マタイ24:34ーまことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。
*これらのこと…マタイ24:9~31の患難時代からキリストの地上再臨までの出来事すべて。
*この時代…別訳:民族
人間による統治の時代(人間の女から誕生する反キリストによる統治の3年半も含む)は、キリストの地上再臨をもって終わる。そして、キリストが御国の神殿の御座に着座されると、御国の時代(メシア的王国/千年王国 )の幕開けとなります。
そして、35節で千年王国の終わりについて語っておられます。
マタイ24:35ーこの天地は滅び去ります。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。
*この天地…創世記1:1で神が造られた『天と地』は、千年王国の後滅び去ります。
黙示録21:1ーまた私は、新しい天と新しい地とを見た。以前の天と、以前の地は過ぎ去り、もはや海もない。
イザヤ書65:17や66:22など、旧約聖書が伝える『新しい天と新しい地』は、再臨のキリストがエルサレムから統治される『千年王国/メシア的王国』のことを指します。
イザヤ65:17ー見よ。まことにわたしは新しい天と新しい地を、
創造する。
先のことは思い出されず、心に上ることもない。
イザヤ66:22ー「わたしの造る新しい天と新しい地が、
わたしの前にいつまでも続くように、
ーー主の御告げーー
あなたがたの子孫と、あなたがたの名も
いつまでも続く。
『永遠の秩序』としての『新しい天と新しい地』は、ガラテヤ4:26やヘブル人への手紙11:9~10で触れられた、黙示録21~22章に記されている『天の都エルサレム』のことです。
ガラテヤ4:26ーしかし、上にあるエルサレムは自由であり、私たちの母です。
ヘブル11:9~10ー信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに天幕生活をしました。
彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。
*わたしのことば…神のことばであるキリストのみことばは、すべて成就します。