サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

ピレモンへの手紙

異邦人への使徒として召されたパウロ書簡は、異邦人の教会、もしくは、異邦人信者個人に宛てたものです。
信者個人宛ての中でも『Ⅰ、Ⅱテモテへの手紙』『テトスへの手紙』が、牧会書簡と呼ばれる公な内容となっているのに対し、『ピレモンへの手紙』はあくまでもピレモン個人に対する内容となっています。
しかし、その中でパウロとオネシモとの関係が、イエスと私個人の関係の縮図のようになっていることは、とても興味深いことだと思います。
 
 
1
 キリスト・イエスの囚人であるパウロ、および兄弟テモテから、私たちの愛する同労者ピレモンへ。
 
*キリスト・イエスの囚人であるパウロ…この手紙は『エペソ人への手紙』『ピリピ人への手紙』『コロサイ人への手紙』への手紙と同じ、AD61年頃にローマの獄中で書かれた「獄中書簡」と呼ばれています。
 
かつては熱心なユダヤ教パリサイ派であり、キリスト教会を迫害していたパウロが、キリスト・イエスを信じる信仰により迫害される立場になっていました。
 
使徒22:3~4ー「私はキリキヤのタルソで生まれたユダヤ人ですが、この町で育てられ、ガマリエルのもとで私たちの先祖の律法について厳格な教育を受け、今日の皆さんと同じように、神に対して熱心な者でした。
私はこの道を迫害し、男も女も縛って牢に投じ、死にまでも至らせたのです。
 
*兄弟テモテ…『兄弟』ということばは、主にある神の家族、つまり『信者』を指して使われています。パウロはAD50年頃、小アジアのルステラでテモテと出会い、愛弟子として霊的成長を助けました。
 
使徒16:1~3ーそれからパウロはデルベに、次いでルステラに行った。そこにテモテという弟子がいた。信者であるユダヤ婦人の子で、*ギリシャ人を父としていたが、
ルステラとイコニオムの兄弟たちの間で評判の良い人であった。
パウロは、このテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシャ人であることを、みなが知っていたからである。
 
*ギリシャ人を父とし…聖書的には、父方がユダヤ人でないとイスラエルの民とは認められません。そのため、テモテは異邦人扱いとして、異邦人への使徒となったパウロが書簡を送っています。しかし、テモテの母方はユダヤ人であったため、信仰的にユダヤ人として生きる選択肢がありました。
 
*ピレモンパウロの伝道によって回心した人。ピレモンへの手紙1:19参照
 
 
2
また、姉妹アピヤ、私たちの戦友アルキポ、ならびにあなたの家にある教会へ。
 
*あなたの家にある教会…ピレモンは自宅を解放して、集会を開いていました。
初代教会時代は、信者個人の自宅を解放し、家の教会として集会を開いていました。
 
1コリント16:19ーアジアの諸教会がよろしくと言っています。アクラとプリスカ、また彼らの家の教会が主にあって心から、あなたがたによろしくと言っています。
 
コロサイ4:15ーどうか、ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会に、よろしく言ってください。
 
姉妹アピヤと戦友アルキポは、その家の教会に集う人々でした。アピヤがピレモンの妻だったかどうかは、聖書に記述が他にないのでわかりません。 
 
 
3
私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。
 
パウロの挨拶
*恵み…神から来るもの
 
*平安…主にある平安
 
ヨハネ14:27ーわたしは、あなたがたに平安を残します。わたしはあなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います。あなたがたは心を騒がしてはなりません。恐れてはなりません。
 
 
4
 私は、祈りのうちにあなたのことを覚え、いつも私の神に感謝しています。 
5  それは、主イエスに対してあなたが抱いている信仰と、すべての聖徒に対するあなたの愛とについて聞いているからです。
6
私たちの間でキリストのためになされているすべての良い行いをよく知ることによって、あなたの信仰の交わりが生きて働くものとなりますように。
7
私はあなたの愛から多くの喜びと慰めとを受けました。それは、聖徒たちの心が、兄弟よ、あなたによって力づけられたからです。
 
*4~7節…ピレモンの日頃の主にある働きは、パウロの耳にも届いていました。それは、パウロ自身を励ますものであり、パウロだけでなく、他の聖徒たちを力づけるものでした。
と同時に、パウロは『ピレモンの信仰の交わりが生きて働くものとなる』ことを望んでいました。
 
 
8
 私は、あなたのなすべきことを、キリストにあって少しもはばからず命じることができるのですが、こういうわけですから、
 
*命じるパウロ主から召された『使徒』でありすから、使徒の権威を用いて命じることができる立場にいました。
 
 
9
むしろ愛によって、あなたにお願いしたいと思います。年老いて、今はまたキリスト・イエスの囚人となっている私パウロが、
 
*お願いしたい…しかしパウロは、使徒としての権威を使って命じるよりも、ピレモンの信仰による愛と決断を「お願いしたい」と言っています。 
 
*年老いて…この時のパウロは、ピレモンより年上であったため、年長者としても命じることができる立場にありました。
 
 
10
獄中で生んだわが子オネシモのことを、あなたにお願いしたいのです。
 
*獄中で…直訳:拘束の中で
 
*生んだわが子…オネシモはローマで拘束されているパウロを訪ね、そこで信仰を持ち、キリスト者になったということ。霊的比喩
 
使徒28:30~31ーこうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
 
*オネシモ…『役に立つ者』の意
16節によると、オネシモはピレモンの家の奴隷でした。
 
 
11
彼は、前にはあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにとっても私にとっても、役に立つ者となっています。
 
*役に立たない者…ピレモンの家の奴隷であったオネシモは、18節からピレモンの家に損害を与えたか、負債を負わせたため、逃亡していたと思われます。
 
*役に立つ者…『オネシモ』という名前の意味。ここには、パウロの言葉遊びがあります。
かつては、ピレモンにとって役に立たない奴隷だったオネシモですが、回心した今は奴隷としてだけでなく、信仰の友としても、主人であるピレモンにもパウロにとっても『役に立つ者』となりました。
 
 
12
そのオネシモを、あなたのもとに送り返します。彼は私の心そのものです。
 
*あなたのもとに送り返します…奴隷であるオネシモは、主人であるピレモンのものなので、主人のもとに送り返すということ。
 
*彼は私の心そのものパウロのオネシモに対する愛の深さを表現
 
 
13
私は、彼を私のところにとどめておき、福音のために獄中にいる間、あなたに代わって私のために仕えてもらいたいとも考えましたが、
 
パウロは、主にある『役に立つ兄弟』としてオネシモを自分のところにとどめて、福音伝道のための働きに仕えて欲しいとも考えていました。
 
 
14
あなたの同意なしには何一つすまいと思いました。それは、あなたがしてくれる親切は強制されてではなく、自発的でなければいけないからです。
 
しかし、オネシモはピレモンが所有する奴隷の身なので、主人であるピレモンの同意が必要だということ。
 
ピレモンが自発的に奴隷オネシモを、主にある兄弟としてパウロに仕えるようにするのが『親切』だということ。
 
 
15
彼がしばらくの間あなたから離されたのは、たぶん、あなたが彼を永久に取り戻すためであったのでしょう。
 
オネシモ(ピレモンの家の物を盗み、逃亡した…と言われています)が、ピレモンから離されたことにも、神様の摂理、ご計画があったことを示唆しています。
 
ローマ8:28ー神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。
 
 
16
もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、すなわち、愛する兄弟としてです。特に私にとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、肉においても主にあっても、そうではありませんか。
 
*もはや奴隷としてではなく…オネシモの身分は、今でもピレモンの家の奴隷であることに変わりありません。
 
*奴隷以上の者、すなわち、愛する兄弟として…しかし、信仰によって霊的にオネシモは生まれ変わり、キリストにある愛すべき兄弟となりました。
 
*私にとってパウロの伝道によって回心したオネシモは、パウロの奴隷ではなく、愛する兄弟であるということ。
 
*肉において…ピレモンにとってオネシモは、家の奴隷としての身分だけでなく
 
*主にあっても…信者として、主にある兄弟となったオネシモは、同じ主を信じるピレモンにとって単なる『奴隷』以上の存在になったということ。
 
1コリント7:22ー奴隷も、主にあって召された者は、主に属する自由人であり、同じように、自由人も、召された者はキリストに属する奴隷だからです。
 
 
17
ですから、もしあなたが私を親しい友と思うなら、私を迎えるように彼を迎えてやってください。
 
*親しい友パウロとピレモンの関係が『親しい友』であるのなら、パウロを迎えるように回心したオネシモを迎え入れてやって欲しいというお願い。
 
 
18
もし彼があなたに対して損害をかけたか、負債を負っているのでしたら、その請求は私にしてください。
 
オネシモがピレモンに与えた損害は、パウロが負うということ。
このパウロにキリストの姿が重なります。
 
マルコ10:45ー人の子がきたのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです。」
 
1コリント6:20ーあなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい。
 
1テモテ2:6キリストは、すべての人の贖いの代価として、ご自身をお与えになりました。これが時至ってなされたあかしなのです。
 
 
19
この手紙は私パウロの自筆です。私がそれを支払います――あなたが今のようになれたのもまた、私によるのですが、そのことについては何も言いません。――
 
*この手紙は私パウロの自筆です…当時の借用証書に用いられた形式
パウロ書簡には「パウロから◯◯へ」「パウロは自分の手であいさつを書きます」などという、パウロが筆者である証拠があります。(ヘブル書には、それがありません)
 
あなたが今のようになれたのもまた、私による…ピレモンが現在のような信仰に到達し、家の教会を開くほどにまで成長したのは、パウロによる弟子訓練があったため。
 
 
20
そうです。兄弟よ。私は、主にあって、あなたから益を受けたいのです。私の心をキリストにあって、元気づけてください。
 
*あなたから益を受けたいパウロの願いを聞き入れて欲しい、ということ。
 
*私の心をキリストにあって元気づけてください…願いが聞かれ、喜びに満たされること。
 
 
21
 私はあなたの従順を確信して、あなたにこの手紙を書きました。私の言う以上のことをしてくださるあなたであると、知っているからです。
 
*従順を確信して〜私の言う以上のことをしてくださるあなたである…ピレモンが信仰によって、主にあってどうすることが正しいのかを判断することができる、というパウロの確信と期待。
 

22 それにまた、私の宿の用意もしておいてください。あなたがたの祈りによって、私
   もあなたがたのところに行けることと思っています。
 
*私の宿の用意もしておいてくださいパウロは、近い将来釈放されると予想していました。
 
 
23
 キリスト・イエスにあって私とともに囚人となっているエパフラスが、あなたによろしくと言っています。
 
*エパフラスパウロの伝道によって回心し、コロサイ、ラオデキヤ、ヒエラポリスの教会の基礎を築き、迫害に耐え、偽りの教えと戦い、祈りの人でもありました。
ピレモンへの手紙が書かれたとき、エパフラスもパウロと共に囚人となっていました。
 
コロサイ1:7~8ーこれはあなたがたが私たちと同じしもべである愛するエパフラスから学んだとおりのものです。かれは私たちに代わって仕えている忠実な、キリストの仕え人であって、
わたしたちに、御霊によるあなたがたの愛を知らせてくれました。
 
コロサイ4:12~13ーあなたがたの仲間のひとり、キリスト・イエスのしもべエパフラスが、あなたがたによろしくと言っています。彼はいつも、あなたがたが完全な人となり、また神のすべてのみこころを十分に確信して立つことができるよう、あなたがたのために祈りに励んでいます。
私はあかしします。彼は、あなたがたのために、またラオデキヤとヒエラポリスにいる人々のために、非常に苦労しています。
 
 
24
私の同労者たちであるマルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからもよろしくと言っています。
 
*マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカ…コロサイ4:10, 14でも彼らの名前が列挙されています。
 
コロサイ4:10ー私といっしょに囚人となっているアリスタルコが、あなたがたによろしくと言っています。バルナバのいとこであるマルコも同じですーーこの人については、もし彼があなたがたのところに行ったなら、歓迎するようにという指示をあなたがたは受けています。ーー 
 
コロサイ4:14ー愛する医者ルカ、それにデマスが、あなたがたによろしくと言っています。
 
マルコはバルナバとサウロ(後のパウロ)と共に、最初の伝道旅行の任務を終えてエルサレムから帰って来たことがありました。
 
使徒12:25ー任務を果たしたバルナバとサウロは、マルコと呼ばれるヨハネを連れて、エルサレムから帰って来た。
 
ルカの福音書使徒の働きを記したルカは、パウロの第三回伝道旅行に同行しています。
 
デマスは最初のうちはパウロに忠実に仕えていましたが、途中でパウロを裏切ってしまいました。
 
Ⅱテモテ4:10ーデマスは今の世を愛し、私を捨ててテサロニケに行ってしまい、また、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに行ったからです。
 
 
25  イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊とともにありますように。
 
パウロは、主人であるピレモンに損害を与え、逃亡してきたオネシモに福音を伝え、神の家族となるように導き育てました。そして今、ピレモンとオネシモを主人と奴隷としてだけではなく、神の家族、主にある兄弟として受け入れるようにと和解を懇願する手紙を記しました。ピレモンとオネシモとの仲介者になっています。
 
キリスト・イエスは、神と罪の奴隷であった私たちの、また、ユダヤ人信者と異邦人信者との和解のための仲介者となってくださいました。
パウロはこのキリストに倣っているのです。
 
そして、パウロは書簡の中で次のように勧めています。
 
1コリント4:16ーですから、私はあなたがたに勧めます。どうか、私にならう者となってください。

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