マタイ5:38ー『目には目で。歯には歯で。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。
『目には目で。歯には歯で。』というみことばは、よく復讐の基準として誤用されています。
元のみことばは、モーセの律法の中にあります。
出エジプト記21:24ー目には目。歯には歯。手には手。足には足。
レビ記24:20ー骨折には骨折。目には目。歯には歯。人に傷を負わせたように人は自分もそうされなければならない。
どちらも際限のない復讐を歯止めさせる目的の律法であり、償いを教えるものです。
*あなたがたは聞いています…当時の宗教指導者たちによる『口伝律法/言い伝え』のこと。
『書かれています』であれば、モーセの律法の『記述律法』ですが、それを過大解釈したものが『口伝律法』です。
マタイ5:39ーしかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向ってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。
*わたしはあなたがたに言います…神の御子、主イエスによる律法の正しい解釈。
神の御前では、人は平等であることを教える平和的解釈法。
*右の頬を打つ…当時の口伝律法では、『奴隷を打つ時、手の平で打つと、手が汚れる』と教えられていました。
通常、利き手である右手の平で相手を打つと、相手の左頬を打つことになります。
『右の頬を打つ』ということは、主人と奴隷という立場で右手の甲を使って打ったことを意味します。
*左の頬を向けなさい…イエスさまの教え通りに相手の左頬を打とうとすると、右手の平を使わざるをえません。そうすると。それまでの『主人と奴隷』という関係から『対等』の関係に変わることを意味します。
それは、打つ側にとってとても屈辱的なことになります。
マタイの福音書5章〜7章の『山上の垂訓』は、イエスさまの初臨時代のユダヤ人たちに対する教えです。まだ、十字架の贖い前の旧約時代(モーセの律法が有効だった時代)に、人間による口伝律法に苦しめられていたユダヤ人たちに、律法の正しい解釈を教えられたものです。
私たちはモーセの律法を与えられていない異邦人であり、律法が適用される当時のイスラエル在住異国人でもなく、時代背景もよくわかっていない異邦人信者です。
この箇所を私的復讐の根拠としたり、意味もわからずにただ忍耐したりするのではなく、みことばの真理を探求していきたいですね。