ゲッセマネの園で捕えられた時、イスカリオテ・ユダだけでなく、弟子たちはみなイエスを見捨てて、逃げてしまいました。cf マタイ26:56
その後、一晩中イエスは裁判のためにたらい回しにされました。
(1) カヤパのしゅうと名誉大祭司アンナスによる尋問…ヨハネ18:12~24
(2) 大祭司カヤパ、ユダヤ人議会による裁判…マタイ26:57~75、マルコ14:53~72、ルカ22:54~71、ヨハネ18:15~18,25~27
(3) 夜明け前の公式法廷…マタイ27:1、ルカ22:66~71
(4) 第一回 ピラトによる取り調べ…ルカ23:1~7
(5) ヘロデ・アンテパスの尋問…ルカ23:6~12
(6) 第二回 ピラトによる公式裁判…マタイ27:15~26、マルコ15:6~15、ルカ23:13~25、ヨハネ18:39~19:16
アンナスによる尋問、大祭司カヤパによる裁判は、ユダヤ法に基づく裁判ではありますが、ユダヤ法によれば『鶏が鳴く前の裁判は無効』でした。
マタイ26:57ーイエスを捕まえた現場は、どのような雰囲気だったと思いますか?
彼らはどのような気持ちで、イエスを大祭司カヤパのもとへ連れて行ったと思いますか?
そこには誰が集まっていましたか?
彼らの目的は何ですか?
cf マタイ26:3~4ーそのころ、祭司長、民の長老たちは、カヤパという大祭司の家の庭に集まり、
イエスをだまして捕え、殺そうと相談した。
なぜ、そのような思いになったのでしょう?
マタイ26:58ーこの時、ペテロはどうしていますか?なぜ彼はリスクを犯してまでも、このような行動をとったと思いますか?
マタイ26:59ー全議会…サンヘドリン。71人で形成されるユダヤの最高議会。
最高議会が『偽証』を求めることに対しどう思いますか?
マタイ26:60ー『偽証』という罪がもたらす結果は何でしょう?
cf 黙示録21:8ーしかし、おくびょう者、不信仰の者、憎むべき者、人を殺す者、不品行の者、魔術を行なう者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者どもの受ける分は、火と硫黄との燃える池の中にある。これが第二の死である。
マタイ26:61ーふたりの証人は、律法によれば有効でした。
cf 申命記17:6ーふたりの証人または三人の証人の証言によって、死刑に処さなければならない。ひとりの証言で死刑にしてはならない。
では、彼らふたりの証言は正しかったでしょうか?
cf ヨハネ2:19ーイエスは彼らに答えて言われた。「この神殿をこわしてみなさい。わたしは、三日でそれを建てよう。」
マタイ26:62ーイエスは彼らの証言に対し、どのように弁明されていますか?
マタイ26:63ー「私は、生ける神によって、あなたに命じます。あなたは神の子キリストなのか、どうか。その答えを言いなさい。」…『神の子キリスト』かどうかといいことは、イエスご自身が『生ける神』であると言うかどうかという非常に重要な内容を含む質問です。
肯定すれば、彼らの『イエスを殺す』というもくろみは決定的なものとなります。
マタイ26:64ーイエスの答えはどのようなものでしたか?
*「あなたの言うとおりです。」…『あなた自身が言った。』という言い方で、『あなた自身が十分分かっていることである。』という、意。
イエスは更に返答に付け加えられましたが、ご自分について何と言われていますか?
cf 詩篇110:1ー主は、私の主に仰せられる。
「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、
わたしの右の座に着いていよ。」
cf ダニエル7:13ー私がまた、夜の幻を見ていると、
見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、
年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。
イエスが言われたことによると、やがてイエスはどのような方として大祭司やサンヘドリンの議員たちの前に立つことになりますか?
イエスは事実を語られたと思いますか?それとも大嘘つき、または気がふれている人だと思いますか?
マタイ26:65ー大祭司カヤパはイエスの答えを聞いて、どのような反応を示しましたか?
衣を引き裂いて…悲嘆と痛恨をあらわす行為。
なぜ彼は、イエスのことばを受け入れることができなかったのでしょう?
マタイ26:66ーユダヤの最高議会であるサンヘドリンの議員たちは、どのような結論を出しましたか?
マタイ26:67ー彼らはイエスに何をしていますか?最高議会の議員たちがこのような行動をとることについて、どのように思いますか?
顔につばきをかけ…cf イザヤ50:6ー打つ者に私の背中をまかせ、
ひげを抜く者に私の頬をまかせ、
侮辱されても、つばきをかけられても、
私の顔を隠さなかった。
こぶしでなぐりつけ、平手で打って…cf イザヤ52:14ー多くの者があなたを見て驚いたように、
ーその顔だちは、
そこなわれて人のようではなく、
その姿も人の子らとは違っていた。ー
このようなことまで預言されていたことに対しどう思いますか?
マタイ26:68ーイエスを嘲笑している彼らの態度に、彼らのどのような心が現われていますか?
cf イザヤ43:7ー彼は痛めつけられた。
彼は苦しんだが、口を開かない。
ほふり場に引かれて行く小羊のように、
毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、
彼は口を開かない。
イエスについての預言が、ひとつずつ成就していく様子を見てどう思いますか?
*イエスが十字架にかかるAD30年の過越の祭りの頃、ほんの少しの期間だけローマ政府により、ユダヤ人たちから『死刑執行権』が剥奪されていました。(姦淫の現場で捕まえられた女には『石打ちの刑』を迫り、ステパノの殉教も『石打ちの刑』でした。)
いくら彼らが「死刑に当たる。」と叫んで、求刑しても執行権がなかったのです。
そのため、この後イエスはローマの総督ピラトのもとへ連れて行きました。それはローマ法による『死刑』を執行するためでした。
cf ヨハネ18:31ーそこでピラトは彼らに言った。「あなたがたがこの人を引き取り、自分たちの律法に従ってさばきなさい。」ユダヤ人たちは彼に言った。「私たちには、だれを死刑にすることも許されてはいません。」
ここに神様の『時』を感じずにはいられません。神の小羊としての十字架の贖いは、こうしてこの年の『過越の祭り』の時に、神と人、ユダヤ人と異邦人の和解の象徴である『十字架』という方法でなされたのです。