ホセア書11〜14章は、イスラエルに対する『悔い改めへの招きと祝福』です。
これまで偶像の神々を慕うイスラエルの民に対して、神の裁きは避けられないことをホセアは述べてきました。しかしここからは、ご自分に妻であるイスラエルに対する神の愛が伝わってきます。
ホセア11:1~3ーイスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、
わたしの子をエジプトから呼び出した。
それなのに、彼らを呼べば呼ぶほど、
彼らはいよいよ遠ざかり、
バアルたちにいけにえをささげ、
刻んだ像に香をたいた。
それでも、
わたしはエフライムに歩くことを教え、
彼らを腕に抱いた。
しかし、彼らは
わたしがいやしたのを知らなかった。
エゼキエル書16章の内容と重なっています。
ホセア11:8ーエフライムよ。わたしはどうして
あなたを引き渡すことができようか。
イスラエルよ。どうして
あなたを見捨てることができようか。
どうしてわたしはあなたを
アデマのように引き渡すことができようか。
どうしてあなたをツェボイムのように
することができようか。
わたしの心はわたしのうちで沸き返り、
わたしはあわれみで胸が熱くなっている。
*エフライム…北イスラエル王国の代表の部族。
晩年のソロモン王が犯した偶像崇拝の罪により、その息子レハブァムの代でイスラエル王国は『北イスラエル王国』と『南ユダ王国』に分裂しました。
エゼキエルは、神の妻であるイスラエルー分裂した二つの王国ーを『姉妹』にたとえています。
エゼキエル書23:4~5ーその名は、姉はオホラ、妹はオホリバで、ふたりはわたしのものとなり、息子や娘たちを産んだ。その名のオホラはサマリヤのこと、オホリバはエルサレムのことである。
オホラは、わたしのものであったのに、姦通し、その恋人、隣のアッシリヤ人を恋い慕った。
*オホラ…サマリヤ。北イスラエル王国は、アッシリヤ捕囚となり混血となっていきました。
*オホリバ…エルサレム。南ユダ王国は後にバビロン捕囚となりました。
ホセア11:3ーそれでも、
わたしはエフライムに歩くことを教え、
彼らを腕に抱いた。
しかし、彼らは
わたしがいやしたのを知らなかった。
ホセア11:8ーエフライムよ。わたしはどうして
あなたを引き渡すことができようか。
イスラエルよ。どうして
あなたを見捨てることができようか。
どうしてわたしはあなたを
アデマのように引き渡すことができようか。
どうしてあなたをツェボイムのように
することができようか。わたしの心はわたしのうちで沸き返り、
わたしはあわれみで胸が熱くなっている。
これらのみことばは神のイスラエルに対する愛で満ち溢れています。
それほどまでに神は、ご自身の選びの民であるイスラエルを愛しておられるのです。
『ユダヤ人たちが御子イエスを十字架につけて殺したので、神はイスラエルを退けられ、変わりに異邦人信者であるクリスチャンを神の子どもとし、イスラエルに対する約束をすべて異邦人信者にお譲りになった』と言われる方がいますが、神のイスラエルに対する愛は現在でも変わることなく、彼らがメシアに立ち返られるのを待っておられるのです。
歴史上、幾度となく反ユダヤ主義の政策をとる国々が出ましたが、たとえ約束の地を追われても『ユダヤ人』は絶滅することなく、常にメシアを信じる『レムナント』が起こされています。やがて、患難時代の終わりに、彼らは民族的にメシアに回心することになり、その時、キリストの地上再臨が起こります。
12章でホセアは、イサクの双子の息子のうち『ヤコブ』を例にあげ、ヤボクの渡しで神と格闘し、もものつがい(自我)を打たれてからヤコブの性質が変わったように、イスラエルもやがて神に立ち返ることを記しています。
イザヤもまた、同じことを記しています。
イザヤ10:21ー残りの者、ヤコブの残りの者は、
力ある神に立ち返る。
*力ある神…『インマヌエル』が持つ四つの意味のうちの一つ。
イザヤ7:14ーそれゆえ、主みずから、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。
イザヤ9:6ーひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。
ひとりの男の子が、私たちに与えられる。
主権はその肩にあり、
その名は「不思議な助言者、力ある神、
永遠の父、平和の君」と呼ばれる。
しかし、それは患難時代の終わりに起こる出来事であり、それまでイスラエルは神に背き、罪によって得た『富み』を誇り、神に立ち返ろうとはしません。ここに神の悲しみがあるのです。
ホセア12:8ーエフライムは言った。
「しかし、私は富む者となった。
私は自分のために財産を得た。
私のすべての勤労の実は、
罪となるような不義を私にもたらさない。」
それでも、神のイスラエルに対する愛は変わることなく、言われます。
ホセア13:9ーイスラエルよ。
わたしがあなたを滅ぼしたら、
だれがあなたを助けよう。
イスラエルを助け、なんとか救おうとされる神の原動力は、神とイスラエルとの『契約』にあります。その契約が『アブラハム契約』であり、その成就が『千年王国/メシア的王国』においてになるのです。
ホセア14:1~2ーイスラエルよ。
あなたの神、主に立ち返れ。
あなたの不義がつまずきのもとであったからだ。
あなたがたはことばを用意して、
主に立ち返り、そして言え。
「すべての不義を赦して、
良いものを受け入れてください。
私たちはくちびるの果実をささげます。
*主に立ち返れ…ホセア書6章と同じ内容をもって、神に立ち返るようにという預言者ホセアの勧め。
彼らが悔い改めて主に立ち返る時、神は彼らの背信をいやし、喜んで愛し、受け入れてくださいます。
ホセア14:4ーわたしは彼らの背信をいやし、
喜んでこれを愛する。
わたしの怒りは彼らを離れ去ったからだ。
ホセア14:8ーエフライムよ。
もう、わたしは偶像と何のかかわりもない。
わたしが答え、わたしが世話をする。
わたしは緑のもみの木のようだ。
あなたはわたしから実を得るのだ。
この神の愛は、契約の民『イスラエル』だけでなく、キリストの十字架の贖いを自分のこととして信じる新約時代の異邦人信者にもそそがれています。
ホセア14:9ー知恵ある者はだれか。
その人はこれらのことを悟るがよい。
悟りある者はだれか。
その人はそれらを知るがよい。
主の道は平らだ。
正しい者はこれを歩み、
そむく者はこれにつまずく。
神と背信のイスラエルとの関係を、預言者ホセアは自分自身の結婚生活を通して体験的に学び、私たちがどのように生きるべきかを教えてくれています。
伝道者の書12:13ー結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。
神を恐れよ。神の命令を守れ。
これが人間にとってすべてである。