何がマタイ24章を理解するのを難しくしているのでしょう?
それは時系列通りに書かれていないためでしょう。
そのため、マタイ24章だけから理解しようとすると、難解箇所になってしまうのです。
聖書の全体像がわかると、何節〜何節が『患難時代前のこと』なのか、『患難時代前半の3年半のこと』なのか、『患難期中期のこと』なのか、『患難時代後半の3年半のこと』なのか判断できると思います。
9〜14節は、患難時代前半の3年半の出来事について語られています。
終末の出来事の流れとしては、
①まず、花婿なるキリストのお迎えとしての携挙。
この時、教会時代の信者ーメシアニックジューと異邦人信者ーが天に挙げられます。それがヨハネ14:2~3の成就です。
携挙に与る幸いな者の条件は、バプテスマを受けているかいないか、良い行いをしてきたかどうか、教会で礼拝をきちんと守ってきたか、伝道してきたかどうか…このようなことにかかっているのではなく、その人の信仰がパウロが最も大切なこととして宣べ伝えた『キリストの福音の三要素』を本当に信じているかどうかにかかります。
ヨハネ14:2~3ーわたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。
わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたを、わたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです。
主イエスは現在、天におられますよね。その主が「また来て、わたしのもとに迎える」と言われ、さらに『わたしがいる所』にキリストの花嫁である『私たちをおらせる』ためだと言われます。
もし携挙が患難時代後期だとしたら、主イエスが備えてくださった『場所/住まい』は何のためでしょう?
すぐに地上再臨で天から降りて来なければならないなら、何のために私たちを迎えに来るのでしょうか?短期間の滞在であるなら『住まい』は必要ありませんよね。
ヨハネ14:2~3は、1テサロニケ4:16~17の『空中再臨/携挙』と同じことであり、黙示録3:10でフィラデルフィアの教会に約束された『全世界に来ようとしている試練/七年間の患難時代』から私たちを救い出し、守るためです。
携挙により、地上にはキリストの福音の三要素を信じなかった不信者だけが残されます。残された人々は何が起こったのかわからず、様々な憶測がなされるでしょう。なにしろ、世界中の信者が一瞬にして天に挙げられるのですから…。
そこにイスラエルの中から14万4千人の世界中に散っているユダヤ人でキリストを信じるものたちが起こされます。彼らは、患難時代の初穂となります。
この14万4千人のユダヤ人信者によって福音が語られ、患難時代前半に世界大のリバイバルが起こることになります。
しかし、すでに教会時代は携挙によって終わっていますから、御霊の内住はなく、旧約時代の聖霊の働きに戻ります。
さらに、世界の宗教は統一された宗教となっており、それに同意しない『一神教の聖書の神』を信じる『患難時代の聖徒たち』は、宗教的バビロンである世界統一宗教によって迫害され、殉教していくことになります。黙示録17:1~6
マタイ24:9ーそのとき、人々は、あなたがたを苦しいめに会わせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。
*そのとき…患難時代前半
*殺します…黙示録6:4ーすると、別の、火のように赤い馬が出て来た。これに乗っている者は、地上から平和を奪い取ることが許された。人々が、互いに殺し合うようになるためであった。また、彼に大きな剣が与えられた。
黙示録6:9ー小羊が第五の封印を解いたとき、私は、神のことばと、自分たちが立てたあかしとのために殺された人々のたましいが祭壇の下にいるのを見た。
黙示録17:6ーそして、私はこの女が、聖徒たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た。私はこの女を見たとき、非常に驚いた。
*この女…患難時代の聖徒たちを迫害し、殺す、宗教的バビロン/世界統一宗教 。
マタイ24:10ーまた、そのときは、人々が大ぜいつまずき、互いに裏切り、憎み合います。
宗教的バビロンである『世界統一宗教』の中にも「キリストも信じている」と言う人がいることでしょう。しかし、もしその人が本当にパウロが宣べ伝えたキリストの福音を信じているのなら、キリストにつまずくことはないはずですし、愛の教えに従おうとするはずです。
世界統一宗教の教えは、どの宗教でも行き着く先は同じ、何を信じるにしても『信仰』が大事と、誰でも、何でも受け入れる一見愛のある教えのように思えますが、唯一真の神であるキリスト・イエスだけを信じる患難時代の聖徒たちを迫害します。
携挙で聖霊は信者とともに天に帰られますので、患難時代の聖徒たちには聖霊の内住はありません。中には、世界統一宗教の教えの方が真理に思えたり、迫害が怖くてキリストにつまずき、世界統一宗教に寝返る人も出てくるかもしれない時代です。
マタイ24:11ーまた、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。
*にせ預言者…ゼカリヤ書13:2~6ーその日、ー万軍の主の御告げ。ー わたしは偶像の名をこの国から断ち滅ぼす。その名はもう覚えられない。わたしはまた、その預言者たちと汚れの霊をこの国から除く。
なお預言する者があれば、彼を生んだ父と母とが彼に向かって言うであろう。「あなたは生きていてはならない。主の名を使ってうそを告げたから。」と。彼を生んだ父と母が、彼の預言しているときに、彼を刺し殺そう。
その日、その預言者たちはみな、預言するときに見るその幻で恥を見よう。彼らはもう人を欺くための毛衣を着なくなる。
また、彼は、「私は預言者ではない。私は土地を耕す者だ。若い時から土地を持っている。」と言う。
だれかが彼に、「あなたの両腕の間にあるこの打ち傷は何か。」と聞くなら、彼は、「私の愛人の家で打たれた傷です。」と言おう。
マタイ24:12ー不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。
*不法がはびこる…Ⅱテサロニケ2:6~7ー あなたがたが知っているとおり、彼がその定められた時に現われるようにと、いま引き止めているものがあるのです。
不法の秘密はすでに働いています。しかし今は引き止める者があって、自分が取り除かれる時まで引き止めているのです。
*彼…反キリスト
*いま引き止めているもの(者)…『聖霊』だと考える人のいますが、聖霊の働きの中に『悪を押さえつける』という働きはありません。もしあったなら、聖霊の内住のある信者はみな罪を犯さなくなるはずですが、実際には私たちの自由意志に任されている分野であり、選択を誤れば、信者であっても罪を犯します。
『いま引き止めているもの(者)』とは、ノアの洪水以降に誕生した『人間による政府』です。
人間による政府は、患難時代前のある段階で『世界統一政府』となり、その下に世界は『十の王国』に分かれて十人の王たちが立てられ、患難時代中期まで存在します。
しかし、ダニエルの預言によれば、患難時代中期の起こる戦いで三人の王たちが反キリストに倒されたとき、『いま引き止めるもの(者)』がなくなり、患難時代後半の3年半は反キリストの独裁の世界となるのです。
ダニエル書2章と7章、黙示録17章は『異邦人のタイムテーブル』です。
ダニエル書7:23ー彼はこう言った。
『第四の獣は地に起こる第四の国。
これは、ほかのすべての国と異なり、
全土を食い尽くし、
これを踏みつけ、かみ砕く。
*彼…御使い
*全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く…患難時代前に、世界統一政府を形成。
ダニエル書7:24ー十本の角は、この国から立つ十人の王。
彼らのあとに、もうひとりの王が立つ。
彼は先の者たちと異なり、
三人の王を打ち倒す。
*十人の王…世界統一政府の下で十の王国となり、それぞれ王が立つ。
*もうひとりの王…反キリスト
*三人の王を打ち倒す…反キリストが十人の王たちと戦い(つまり、世界戦争)、三人の王たちを倒す。この時、反キリストも一度殺されるが、すぐにアビス(底知れぬ所)から復活して来るため、残された七人の王たちは恐れて自らの王としての権威を反キリストに差し出すと、人間による政府の期間が終わる。
ダニエル書7:25ー彼はいと高き方に逆らうことばを吐き、
いと高き方の聖徒たちを滅ぼし尽くそうとする。
彼は時と、法則を変えようとし、
聖徒たちは、ひと時とふた時と半時の間、
彼の手にゆだねられる。
*いと高き方…全知全能なる神
*いと高き方の聖徒たち…患難時代の信者。教会時代の信者は、携挙ですでに天に上げられているので、滅ぼされることはありません。患難時代になってからイエスを信じる者たちのこと。
*ひと時とふた時と半時…7年間の患難時代の後半の3年半。
反キリストは、患難時代の後半の3年半の間、世界統一政府のトップとして君臨し、更に、中期で起こった十人の王たちとの戦争で一度死んで復活したことから、自分こそが神だとして、エルサレムにある第三神殿に自分の『獣の像』を設置し、人々に拝ませます。その命令に従わない者、つまり患難時代の聖徒たち、およびこの時点ではまだ回心していないユダヤ人たちは、偶像崇拝を拒否するため殺されます。
*第一の獣…獅子ーバビロニア帝国
*第二の獣…熊ーメド・ペルシャ連合帝国
*第三の獣…ひょうーギリシャ帝国
*第四の獣…ローマ帝国 (第二段階:東西分裂の段階、第三段階:世界統一政府の段階、第四段階:十の王国の段階、第五段階:反キリスト似寄る統治の段階)
黙示録13:14~15ーまた、あの獣の前で行なうことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
*獣…反キリスト
*息を吹き込んで…サタンは神の真似をします。覚えていますか?アダムが『生きもの』となった時のことを…。
創世記2:7ーその後、神である主は、土地のちりでひとを形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで、人は、生きものとなった。
*神が吹き込まれるのは『いのちの息』、サタンが吹き込むのはただの『息』、いのちはありません。
マタイ24:13ーしかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。
*最後まで…七年間の患難時代の終わりまで 。患難時代の終わりに、ユダヤ人の生き残った者=レムナントたちは、イエスをメシアとして受け入れ、民族的救いを経験します。その時の彼らの祈り(詩篇118:25~26, マタイ23:39)に応えて、キリストの地上再臨が起こります。
詩篇118:25~26ーああ、主よ。どうぞ救ってください。
ああ、主よ。どうぞ栄えさせてください。
主の御名によって来る人に、祝福があるように。
私たちは主の家から、あなたがたを祝福した。
*主よ。救ってください…ヘブル語:ホサナ
マタイ23:39ーあなたがたに告げます。『祝福あれ。主の御名によって来られる方に。』とあなたがたが言うときまで、あなたがたは今後決してわたしを見ることはありません。」
*あなたがた…ユダヤ人たち
マタイ24:14ーこの御国の福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます。
*全世界に宣べ伝えられて…患難時代に福音が全世界に宣べ伝えられるのは、144,000人のユダヤ人たち(患難時代の信者の初穂)です。
患難時代前半に彼らによって、多くの異邦人たちが救われるようになりますが、迫害の時代でもあるため、命がけの信仰となります。
*それから終わりが来ます…患難時代中期で異邦人の救われる機会は終わり、後半の3年半の終わり(最後の三日間)にイスラエルのレムナントが救われた時に、キリストの地上再臨となり、その時、反キリストの統治は終わりを迎えます。
その後は、キリストが王の王となる専制君主国『メシア的王国/千年王国』となります。
患難時代中期には、反キリストの『獣の像』が建てられ、拝むように強制されます。
その命令に従い、拝む者たちにはその額か右手に、反キリストの名前を表わす数字『666』の刻印が押されます。その刻印を受けた者は、それ以降、たとえ肉体が生きていてもイエスを信じる機会を永久に失うことになるため、その直前には御使いをも用いて神はずべての人に福音を伝えてくださるのです。
黙示録14:6~7ーまた私は、もうひとりの御使いが中天を飛ぶのを見た。彼は、地上に住む人々、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音を携えていた。
彼は大声で言った。「神を恐れ、神をあがめよ。神のさばきの時が来たからである。天と地と海と水の源を創造した方を拝め。」
*中天…第一の天(鳥が飛ぶ高さ)
*永遠の福音…キリストの福音(三要素)