サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

百人隊長のしもべの癒し 〜マタイ8:5~13〜

『百人隊長のしもべの癒し』はマタイだけでなく、ルカ7:1~10で記しています。

 

マタイ8:5ーイエスがカペナウムに入られると、ひとりの百人隊長がみもとに来て、懇願して、

 

*カペナウムガリラヤ湖のほとりにある町で、イエス様の公生涯の時代、ヘロデ・アンテパスが国主として支配していました。

バプテスマのヨハネから洗礼を受けられた後、公生涯初期の約半年程 イエスと弟子たちの数人はカペナウムに住んでいました。

 

マタイ4:13ーそしてナザレを去って、カペナウムに来て住まわれた。ゼブルンとナフタリとの境にある、湖のほとりの町である。 マタイ9:1ーイエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰られた。

 

マタイ8:14~15ーそれから、イエスは、ペテロの家に来られて、ペテロのしゅうとめが熱病で床に着いているのをご覧になった。

イエスが手にさわられると、熱がひき、彼女は起きてイエスをもてなした。

 

*百人隊長…国主ヘロデ・アンテパス(エドム人ーイサクの双子の息子エサウの子孫)に雇われたローマ軍の百人編成の部隊の長であり、異邦人です。

この百人隊長は、イエスにあることを懇願しにやってきました。

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マタイ8:6ー言った。「主よ。私のしもべが中風で、家に寝ていて、ひどく苦しんでいます。」

*中風…一般的には、脳出血による半身麻痺の後遺症のこと。 

 

 

マタイは病名を出し『ひどく苦しんでいる』と記していますが、ルカは病名を言わずに『死にかけていた』と記しています。

 

ルカ7:2ーところが、ある百人隊長に重んじられているひとりのしもべが、病気で死にかけていた。

 

 

マタイ8:7ーイエスは彼に言われた。「行って、直してあげよう。」

マタイは、イエスのもとに懇願する百人隊長にすぐに「行って、直してあげよう。」と記されていますが、ルカでは段階を踏んでいることが記されています。

 

①異邦人の百人隊長は、イエスのことを聞いた。

②ユダヤ人の長老たちをイエスのもとに送った。

→彼は『異邦人』としての身分をちゃんとわきまえている。

③しもべを助けに来てくださるように、ユダヤ人の長老たちを送って『懇願した』。

 

ルカ7:3~5ー百人隊長は、イエスのことを聞き、みもとにユダヤ人の長老たちを送って、しもべを助けに来てくださるようお願いした。

イエスのもとに来たその人たちは、熱心にお願いして言った。「この人は、あなたにそうしていただく資格のある人です。

この人は、私たちの国民を愛し、私たちのために会堂を建ててくれた人です。」

 

*「この人は、あなたにそうしていただく資格のある人です。この人は、私たちの国民を愛し、私たちのために会堂を建ててくれた人です。」…イエスが長老たちといっしょに行かれた(ルカ7:6)のは、この百人隊長に資格があるかどうかとか、彼が何かユダヤ人に良いことをしたからとかという理由からではありません。

そういうことは、人間側の主張にすぎません。

 

救いは、行いによるものではないからです。

エペソ2:8~10ーあなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。

行いによるのではありません。だれも誇ることのないためです。

私たちは神の作品であって、良い行いをするためにきりすと・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをもあらかじめ備えてくださったのです。

 

この百人隊長は異邦人でありながら、偶像の神々のところではなく、人々がイエスさまのメシアとしてのわざやその教えを話しているのを聞いて、まことの神であるイエスさまのところに来たのです。

 

ローマ10:11ー聖書はこう言っています。「彼に信頼する者は、失望させられることがない。」

 

この人は、私たちの国民を愛し、私たちのために会堂を建ててくれた…『私たちの国民』とは、イスラエルの民、ユダヤ人のことであり、『会堂』はユダヤ教シナゴーグのことです。ここに『アブラハム契約』が垣間見れますね。

創世記12:3あなたを祝福する者をわたしは祝福し、

あなたをのろう者をわたしはのろう。

地上のすべての民族は、

あなたによって祝福される。

 

 

その結果、イエスは彼の願いに応えて、イエスさまの方から「行って、直してあげよう。」と言われたのです。

 

 

マタイ8:8ーしかし、百人隊長は答えて言った。「主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。ただ、おことばを下さい。そうすれば、私のしもべは直ります。

 

このあたりのことはマタイよりルカの方が詳細に記しています。

ルカ7:6~7ーイエスは彼らといっしょに行かれた。そして、百人隊長の家からあまり遠くない所に来られたとき、百人隊長は友人たちを使いに出して、イエスに伝えた。

「主よ。わざわざおいでくださいませんように。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。 

ですから、私のほうから伺うことさえ失礼と存じました。ただ、おことばをいただかせてください。そうすれば、わたしのしもべは必ずいやされます。

 

*私のほうから伺うことさえ失礼と存じました…百人隊長の謙遜な人柄が伺えます。だから、彼は今度は家から友人たちを使いに出したのです。

 

主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません…人間は誰一人として、イエスを迎え入れる『資格』など無い罪人ですが、罪を認め、悔い改めて、イエスのもとに立ち返る者のところに、主自らが『入って来てくださる』のです。

 

ヨハネ14:23ーイエスは彼に答えられた。「だれでもわたしを愛する人は、わたしのことばを守ります。そうすれば、わたしの父はその人を愛し、わたしたちはその人のところに来て、その人とともに住みます。

 

 

マタイ8:9ーと申しますのは、私も権威の下にある者ですが、私自身の下にも兵士たちがいまして、そのひとりに『行け』と言えば行きますし、別の者に『来い』と言えば来ます。また、しもべに『これをせよ』と言えば、そのとおりにいたします。」

 

*権威の下にある…百人隊長の上には、千人隊長など上官がいた。 

 

百人隊長が持っていたのは、「行け」「来い」「これをせよ」、そしておそらく戦いになれば「死ぬまで戦え」と命じる『権威』でしょう。

しかし、部下に対し「生きよ」という権威は持ち合わせてはいなかったのです。

その『権威』を持っておられるのは、イエス様ただおひとりだけです。それを彼は認めていたのです。

 

 

マタイ8:10ーイエスは、これを聞いて驚かれ、ついて来た人たちにこう言われた。「まことに、あなたがたに告げます。わたしはイスラエルのうちのだれにも、このような信仰を見たことがありません。

 

*イエスは、これを聞いて驚かれ… ここでは、異邦人の百人隊長の信仰に驚かれています。

『驚かれ』と訳されていることばは、新約聖書の中でもう一箇所使われています。

そこでは、故郷ナザレの人々の不信仰を驚かれています。

 

マルコ6:1~ 6ーイエスはそこを去って、郷里に行かれた。弟子たちもついて行った。

〜中略〜 イエスは彼らの不信仰を驚かれた。

 

 

マタイ8:11ーあなたがたに言いますが、たくさんの人が東からも西からも来て、天の御国で、アブラハム、イサク、ヤコブといっしょに食卓に着きます。

 

*あなたがた…イエについて来た人々(ユダヤ人) 

*天の御国…『メシア的王国/千年王国』のこと

患難時代の迫害で離散し、生き延びたユダヤ人信者(レムナント)たちが、イスラエルに帰還します。そして復活した旧約時代の義人たちと食卓に着くのです。

イザヤ49:12ー見よ。ある者は遠くから来る。

また、ある者は北から西から、

また、ある者はシニムの地から来る。

*シニムの地…おそらくイスラエルの南、エジプトのどこか。

 

マタイ8:12ーしかし、御国の子らは外の暗やみに放り出され、そこで泣いて歯ぎしりするのです。」

 

*御国の子ら…自らを『神の選びの民』として、メシアを信じない不信仰なユダヤ人たち

*外の暗やみ…『メシア的王国』の外。そこは『ハデス』という苦しみの場所で、『大いなる白い御座の裁き』を待つ所。世の光であるメシアを信じない者たちは、罪の暗やみの世界に送られることになるのです。

 

 

マタイ8:13ーそれから、イエスは百人隊長に言われた。「さあ行きなさい。あなたの信じたとおりになるように。」すると、ちょうどその時、そのしもべはいやされた。

 

主の宣言

①あなたは信じた…「イエスの権威あるおことばにより、しもべは癒される」と信じた。

②さあ行きなさい…百人隊長の代理として使いに来た友人たちに対する命令。

③そのようになれ…「百人隊長が信じたとおりになるように」

 

*ちょうどその時…イエスが「あなたの信じたとおりになるように。」と言われた時、この百人隊長のしもべはいやされたのです。

ここに彼の信仰が本物であったことがわかります。

 

私たちもこの百人隊長のように、神の選びの民であるユダヤ人を愛し、彼らの救いとイスラエルのために祝福を祈る者となれますように。

 

ローマ15:27ー彼らは確かに喜んでそれをしたのですが、同時にまた、その人々にたいしてはその義務があるのです。異邦人は霊的なことでは、その人々からもらいものをしたのですから、物質的な物をもって彼らに奉仕すべきです。

*その人々…ユダヤ人信者