サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

テトスへの手紙 2章

テトスへの手紙の受取人である『テトス』という人物に関しては、パウロの他の書簡から少し知ることができます。

パウロは『異邦人の使徒』でしたから、パウロ書簡の宛先はすべて異邦人の教会、または異邦人信者個人です。

 

テトスは『ギリシャ人』であり、パウロの伝道により信仰へと導かれ、パウロの同労者でした。そして、パウロからクレテの教会を指導するように命じられました。

ガラテヤ2:3ーしかし、私といっしょにいたテトスでさえ、ギリシャ人であったのに、割礼を強いられませんでした。

 

テトス1:4同じ信仰による真実のわが子テトスへ。父なる神および私たちの救い主なるキリスト・イエスから恵と平安がありますように。

 

Ⅱコリント8:23テトスについて言えば、彼は私の仲間で、あなたがたの間での私の同労者です。兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光です。

 

テトス1:5ー私があなたをクレテに残したのは、あなたが残っている仕事の整理をし、また、私が指図したように、町ごとに長老たちを任命するためでした。

 

 

テトス2:1ーしかし、あなたは健全な教えにふさわしいことを話しなさい。

パウロはテトスに、クレテの教会においていくつかの注意点を与えています。

 

*健全な教え…キリストに対する正しい教え。

テトス1:9~10ー教えにかなった信頼すべきみことばを、しっかりと守っていなければなりません。それは健全な教えをもって励ましたり、反対するする人たちを正したりすることができるためです。

実は、反抗的な者、空論に走る者、人を惑わす者が多くいます。特に、割礼を受けた人々がそうです。

 

『あなた(がた)』や『私(たち)』をすべて今の時代のクリスチャンに当てはめるのではなく、書かれた当時の時代背景や誰が誰に対して語っているのかなど、文脈に沿って 、字義通りに理解していくことが必要です。

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テトス2:2ー老人たちには、自制し、謹厳で、慎み深くし、信仰と愛と忍耐とにおいて健全であるように。

パウロはクレテの教会の信者たちの年齢や性別に合わせてグループに分け、それぞれに的確に指示を出しています。

 

*老人たち…原語:『長老たち』と同じ言葉。

*自制し、謹厳で、慎み深くし、愛と忍耐において健全であるようにテトス1:6~10の『長老たち』と同じ資質が求められています。

 

信仰生活が長くなるということは、霊的成長が伴うものです。

パウロはエペソの教会にも『霊的に成長するように』と励ましています。

エペソ4:13~15ーついに、私たちがみな、信仰の一致と神の御子に関する知識の一致とに達し、完全におとなになって、キリストの満ち満ちた身たけにまで達するためです。

それあ、私たちがもはや、子どもではなくて、人の悪巧みや、人を欺く悪賢い策略により、教えの風邪に吹き回されたり、波にもてあそばれたりすることがなく、

むしろ、愛をもって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達することができるためなのです。

 

テトス2:3ー同じように、年をとった婦人たちには、神に仕えている者らしく敬虔にふるまい、悪口を言わず、大酒のとりこにならず、良いことを教える者であるように。

*年をとった婦人たち… 教会において年をとった婦人たちは『良いことを教える者』であり、若い婦人たちの模範となるべきです。

*神に仕える…『熱心に教会の雑務をこなすこと』だけを意味するのではなく、キリストのみことばを学び、みことばに聞き従うことです。

ヨハネ14:23~24ーイエスは彼に答えられた。「わたしを愛する人は、わたしのことばを守ります。そうすれば、わたしの父はその人を愛し、私たちはその人のところに来て、その人とともに住みます。

わたしを愛さない人は、わたしのことばを守りません。あなたがたが聞いていることばは、わたしのものではなく、わたしを遣わした父のことばなのです。

 

パウロは『キリストの使徒』として、このイエスのことば(教え)を託されました。

 

*悪口を言わず…これも1テモテ3:11にある『婦人執事』に求められる資質の一つです。 ことばで失敗することが多いのです。

ヤコブ3:2ー私たちはみな、多くの点で失敗をするものです。もし、ことばで失敗をしない人がいたら、その人は、からだ全体もりっぱに制御できる完全な人です。

 

テトス2:4ーそうすれば、彼女たちは、若い婦人たちに向かって、夫を愛し、子どもを愛し、

*夫を愛し、子どもを愛し…年とった婦人たちは、妻として夫を愛し、子どもを愛し、家庭を守ってきた者として、良き先輩として模範となる必要があります。

 

テトス2:5ー慎み深く、貞潔で、家事に励み、優しく、自分の夫に従順であるようにと、さとすことができるのです。それは、神のことばがそしられるようなことのないためです。

*若い婦人…若いからといって外部の人たちからそしられたりしないように、『慎み深く、貞潔で、家事に励み、優しく、自分の夫に従順であるように』と勧めています。

*自分の夫に従順であるように創世記3:16bーしかも、あなたは夫を恋い慕うが、

彼は、あなたを支配することになる。 

とあるように、罪ある者となった女性は『夫の助け手として造られた本来の目的から外れ、夫に反抗し、夫を支配しようとします。そのような女性たちに対し、神に立ち返った女性として本来の神の創造の目的を果たしなさいと、聖書は繰り返し命じています。

 

エペソ5:22ー妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。

コロサイ3:18ー妻たちよ。主にある者にふさわしく、夫の従いなさい。

 

テトス2:6ー同じように、若い人々には、思慮深くあるように勧めなさい。

*若い人々… 『思慮深くあるように』とだけ勧めています。

若さゆえに、後先考えずに羽目を外したり、周りに流されやすいからでしょう。主にあっては、何事も思慮深くある必要があります。それが、自分自身をも、周りの人々をも守ることになるからです。

 

テトス2:7ーまた、すべての点で自分自身が良いわざの模範となり、教えにおいては純正で、威厳を保ち、

7〜8節は、パウロからクレテの教会の指導的立場となるテトス自身に対する勧めです。 指導者自身が『良いわざの模範となり』、『(キリストのことばの)教えにおいては純正で、威厳を保ち』、

 

テトス2:8ー非難すべきところのない、健全なことばを用いなさい。そうすれば、敵対する者も、私たちについて、何も悪いことが言えなくなって、恥じ入ることになるでしょう。

指導者は『健全なことばを用いる』必要が あります。そうでないと、良い証しとはならないからです。

 

テトス2:9ー奴隷には、すべての点で自分の主人に従って、満足を与え、口答えせず、

*奴隷には… 現在の教会に直接適用することは、ほとんどないと思いますが、初代教会当時は多くの奴隷たちが教会にもいました。

パウロは、主にあってはギリシャ人もユダヤ人も、自由人も奴隷も区別はないと記しています。

コロサイ3:11ーそこには、ギリシャ人とユダヤ人、割礼の有無、未開人、スクテヤ人、奴隷と自由人というような区別ありません。キリストがすべてであり、すべてのうちにおられるのです。

そのことを踏まえた上で、当時の『奴隷』という身分において 『すべての点で自分の主人に従って、満足を与え、口答えせず、

 

テトス2:10ー盗みをせず、努めて真実を表すように勧めなさい。それは、彼らがあらゆることで、私たちの救い主である神の教えを飾るようになるためです。

 盗みをせず、努めて真実を表すように』と勧めているのです。

 

救い主である神の教えを飾るようになるため…奴隷たちが主人たちに従順であることの目的

 

テトス2:11ーというのは、すべての人を救う神の恵みが現れ、

*神の恵みが現れ…キリストの初臨。

エペソ2:8~9ーあなたがたは、恵みのゆえに 、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。

行いによるのではありません。だれも誇ることのないためです。

 

神の小羊としてのイエスの十字架の贖いは、その死と葬り、復活を『信じるすべての者』を永遠の火の池から救い出してくださいます。

 

テトス2:12ー私たちに、不敬虔とこの世の欲とを捨て、この時代にあって、慎み深く、正しく、敬虔に生活し、

*この世の欲ヨハネ2:15~16ー世をも、世にあるものをも、愛してはなりません。もしだれでも世を愛しているなら、その人のうちに御父を愛する愛はありません。

すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、暮し向きの自慢などは、御父から出たものではなく、この世から出たものだからです。

 

*この時代…すでに始まっていた『迫害の時代』。

Ⅱテモテ3:12ー確かに、キリスト・イエスにあって敬虔に生きようと願う者はみな、迫害を受けます。

 

テトス2:13ー祝福された望み、すなわち、大いなる神であり私たちの救い主であるキリスト・イエスの栄光ある現れを待ち望むようにと教えさとしたからです。

 

キリスト・イエスの栄光ある現れ…空中再臨/携挙。

携挙は、キリストの昇天以降、いつでも起こり得る時代となりました。花婿なるキリストが、御霊の内住のあるユダヤ人信者と異邦人信者とで成る『新しいひとりの人』としての花嫁を迎えに来るのが『携挙』です。

 

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 パウロ1テサロニケ4:16~18で『携挙』のことを伝え、「このことばをもって互いに慰め合いなさい」と命じています。

私たち教会時代の信者が『栄化ー復活の朽ちないからだをいただくことー』されるのは、携挙の時です。ですから、私たちはその『携挙の時を待ち望』んでいるのです。これが現在の信者の『希望』です。

 

テトス2:14ーキリストが私たちのためにご自身をささげられたのは、私たちをすべての不法から贖い出し、良いわざに熱心なご自分の民を、ご自分のためにきよめるためでした。

* きよめるため…教会時代の信者がこの『きよめ』が完成するのは、携挙の時に『栄光のからだ』にされる時です。パウロは、1コリント15:50~57で『奥義』として携挙のことを宣べたあと、コリントの信者たちを励ましています。

1コリント15:58ーですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだではないことを知っているのですから。

 

なぜなら、私たち教会時代の信者はみな、キリストの御座の裁きの場に立ち、この世での信仰生活の決算報告をし、それぞれが報いを受けるからです。

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テトス2:15ーあなたは、これらのことを十分な権威をもって話し、勧め、また、責めなさい。だれにも軽んじられてはいけません。

*十分な権威を持って話しパウロがテトスに命じたのは、人の言葉を話すのではなく、『神のみことば』を話し、人々を教えるように託したのです。それはかわることのない『真理』ですから、神の真理を語るのにふさわしく『上からの権威をもって話す 』必要があります。

*勧め…神のみことばを素直に受け入れる人々には、従順になるようにと勧め、

*責めなさい…神のことばに従おうとしない人々には叱責をする必要があります。

 

指導者として神から本当に立てられているのなら、十分な資質をも備えているのですから、自信のない話し方をするのではなく、神からの権威を持って力強くみことばを宣べ伝え、人々を教え、導く責任があるのです。

 

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