サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

買い戻しの権利を持つイエス・キリスト

よく「私たちは自分では払いきれないほどの借金があり、その借金をすべてイエス様が身代わりとなって支払ってくださったのです。それが十字架上でのイエス様の言葉『テテレスタイ/完了した』ということです。」と言われます。 

osusowake.hatenablog.com

 

しかし、私たちはいつ自分たちがそのような借金をしたのかよくわからないと思われている方も多いのではないでしょうか?

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人類史上最初の人アダムは、直接神によって地のちりから肉体が創造され、その鼻から『いのちの息』を吹き込まれました。それにより、アダムは『神の子』となりました。

ルカ3:38ーエノスの子、セツの子、アダムの子、このアダムは神の子である。

 

しかし、エデンの園で蛇にそそのかされ、妻エバとともに神に禁じられていた『善悪の知識の木の実』を食べた時に、神よりも蛇(サタン)の言葉を信用したのです。

この出来事により、人は神よりもサタンの言葉を重んじ、自己中心という神から離れた存在となりました。つまり、神の所有の民から迷い出てしまったのです。

以来、神はご自分に似せて造られた人間を再びご自分の所有の民としようと、高価な代価を用意されました。

 

イスラエルの律法には、ルツ記にあるように『買い戻し』という制度がありました。

 

レビ記25:25~28もし、あなたの兄弟が貧しくなり、その所有地を売ったなら、買い戻しの権利のある親類が来て、兄弟の売ったものを買い戻さなければならない。

その者に買い戻しの権利のある親類がいないときは、その者の暮らし向きが良くなり、それを買い戻す余裕ができたなら、

売ってからの年数を計算し、なお残る分を買い主に返し、自分の所有地に帰る。

 

民数記27:8~11あなたはイスラエル人に告げて言わなければならない。

人が死に、その人に男の子がないときは、あなたがたはその相続地を娘に渡しなさい。
もし娘もないときには、その相続地を彼の兄弟たちに与えなさい。
もし兄弟たちもいないときには、その相続地を彼の父の兄弟たちに与えなさい。
もしその父に兄弟がないときには、その相続地を彼の氏族の中で、彼に一番近い血縁の者に与え、それを受け継がせなさい。
これを、モーセに命じられたとおり、イスラエル人のための定まったおきてとしなさい。」
 
また、この土地の買い戻しに伴い『レビラート婚』という子孫によって名を残すことも定められていました。レビ記25:25~28, 申命記25:5~10
 
ガラテヤ3:24ーこうして、律法は私たちをキリストへ導くための養育係となりました。私たちが信仰によって義と認められるためなのです。
 
 
ガラテヤ3:24に『律法はキリストに導く養育係』とあるように、律法によって決められた『買い戻しの権利』を持つ人には、三つの条件がありました。
 
⑴ 血縁関係にある者…他人には『買い戻す権利』はありません。
⑵ 買い戻すための財力があること…代価を払うことができなければ、買い戻すことはできません。
⑶ 代価を払い、買い戻そうという意志があること…他の人は強制することはできません。
 
神はどのように私たちを買い戻してくださったのでしょうか?
 
『神の子』として造られたアダムの罪を買い戻すには、同じく『神の子』として御子イエスを『人の子』として与えてくださいました。
 
ヨハネ4:24神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません。
 
神は『霊』なので、死ぬことはありません。御子イエスの受肉はまさに『死ぬ』ためだったのです。
 
⑴血縁関係にある者…御子イエスの場合、ユダヤ人としてユダ族のダビデの血を引く母マリヤによって、ユダヤ人としてお生まれになりましたから、ユダヤ人の親族としてユダヤ人を買い戻す権利を有しています。
では、異邦人に対してはどうでしょうか?
マタイ1章の系図には、養父であるヨセフの系図が記されていますが、妻マリヤと共通するダビデまでに四人の異邦人女性の名前が記されています。
マタイ1:3~6ータマル、ラハブ、ルツ、ウリヤの妻(バテ・シェバ)
これにより、エスは私たち異邦人とも遠い親族だと証明されるのです。
 
⑵ 買い戻すための財力があること…貧しい大工の子として育ち、公生涯では「枕する所もない」と言われたイエス様に、全人類を買い戻すための財力はどこにあったのでしょう?
マタイ8:20ーすると、イエスは彼に言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣があるが、人の子には枕する所もありません。」
 
エス様は『神の小羊』としてのご自分の血によって、十字架の上で代価を払ってくださったのです。
ヨハネ1:29ーその翌日、ヨハネは自分のほうにイエスが来られるのを見て言った。「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。
 
ヘブル13:12ーですから、イエスも、ご自分の血によって民を聖なるものとするために、門の外で苦しみを受けられました。
 
⑶ 代価を払い、買い戻そうという意志があること…イエス様が十字架にかかる前の晩、ゲッセマネの園で血のような汗を流してまで「この杯を取り除いてください」という祈りを捧げたのは、十字架上での肉体の苦しみから逃れたかったからでしょうか?

 

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エス様はそれよりも前にはっきりと、ご自分の意思表示をされています。

ヨハネ10:18ーだれもわたしからいのちを取った者はいません。わたしが自分からいのちを捨てるのです。わたしには、それを捨てる権威があり、それをもう一度得る権威があります。わたしはこの命令をわたしの父から受けたのです。

 

これらのことにより、イエスは申し分のない『神の小羊』であり、私たちの『贖い主』であるということが証明されるのです。

律法を知らない異邦人は、様々な違った角度から主の十字架を語りますが、イエスは律法を成就するために来たということを考えると、律法が要求する『買い戻しの権利』をユダヤ人だけでなく、異邦人に対してもすべて満たしていることがわかります。

 

アダムによって人類に入り込んできた『罪』の結果から贖い出すことができるのは、神のひとり子である御子イエスの十字架で流される『神の小羊』の血しかありません。

このことを理解し、心からの感謝を持って信仰の歩みができますように。