サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

詩篇126篇

聖書66卷のちょうど真ん中にあるのが『詩篇』です。

旧約聖書では、創世記〜申命記までの律法の書(モーセ五書)と預言書の間にあり、律法の書と預言書を詩的にまとめた書であることから、旧約聖書全体をカバーするものとして、新約聖書にも詩篇だけはおまけに付いていることがあります。

 

詩篇を理解する時に、律法的なのか預言的なのか、律法ならばどのような背景で書かれたのか、預言ならばいつ成就したのか(するのか)を考えながら理解する必要があると思います。

 

そして、解釈する時に必要となってくるのがヘブル語の文法です。

旧約聖書は、古典的ヘブル語で書かれているため、英語のような『過去・現在・未来』という時制はなく、『完了時制』と『不完了時制』の二つだけです。

文脈から読み解くことも大事です。

 

チェーン式新改訳聖書の注解をはじめ多くの注解書は、詩篇126篇を過去の『バビロン捕囚からの帰還』に当てはめて解釈していますが、ここで用いられているヘブル語本文は『不完了時制』が使われています。

 

 

詩篇126:1 *シオンの捕われ人を帰されたとき、

私たちは夢を見ている者のようであった。

 

* シオンの繁栄を元どおりにされたとき(新改訳第3版)

 

 チェーン式新改訳聖書の注解では

“126篇 捕囚民の帰還を求める祈り

1 神が一部の捕囚民を解放されたことは、余りに偉大な出来事であり、すぐには信じられなかった。

* シオンの捕われ人ーアッシリヤとバビロンによって捕囚の地に連れて行かれたイスラエル人。” とあります。

 

しかし、ここの『捕われ人』とは、エレミヤや主が預言しているとおり『地上再臨の主を見出すイスラエルの民』のことです。

 

エレミヤ書29:14ーわたしはあなたがたに見つけられる。ーーの御告げ。ーーわたしは、あなたがたの捕われ人を帰らせ、わたしがあなたがたを追い散らした先のすべての国々と、すべての場所から、あなたがたを集める。ーー主の御告げ。ーーわたしはあなたがたを引いて行った先から、あなたがたをもとの所へ帰らせる。

 

ここも注解書では『バビロン捕囚からの帰還』に当てはめて解説していますが、『すべての国々』とあることからバビロン捕囚ではないことがわかります。

 

*あなたがたに見つけられるイスラエルの民が再びメシアを見つけるのは、患難時代の終わりに民族的回心をした時に起こるキリストの地上再臨の時です。

主もそのことを預言されています。

 

マタイ23:39ーあなたがたに告げます。『祝福あれ。主の御名によって来られる方に。』とあなたがたが言うときまで、あなたがたは今後決してわたしを見ることはありません。

 

詩篇126:2ーそのとき、私たちの口は笑いで満たされ、

私たちの舌は喜びの叫びで満たされた。

そのとき、国々の間で、人々は言った。

は彼らのために大いなることをなされた。」

 

*彼らイスラエルの民

 

詩篇126:3は私たちのために大いなることをなされ、

私たちは喜んだ。

 

*私たちイスラエルの民

 

2~3節はほとんどの英訳聖書は過去時制で訳出しており、多くの注解書がこれらの節を『バビロン捕囚からの帰還』として解説しています。

 

KJV:Then was our mouth filled with laughter, and our tongue with shinging: then said they among the healthen, The LORD hath done great things for them.

The LORD hath done great things for us;whereof we are glad.

 

NASB:Then our mouth was filled with laughter

Ane our tongue with jouful shouting;

Then they said among the nations,

“The LORD has done great things for them.”

The LORD has done great things for us;

We are glad.

 

NIV:Our mouths were filled with laughter,

our tongues with songs of joy.

Then it was said among the nations,

“The LORD has done great things for them.”

The LORD has done great things for us,

and we are filled with joy.

 

1~3節は、患難時代にエドム人の地『ボツラ』からだけでなく、世界中に離散していたイスラエルの民(ユダヤ人たち)を、神が約束の地イスラエルに戻したことについて神を賛美している時に噴き出して来る感謝の祈りをあらわしています。

 

イザヤ書11:11~12ーその日、主は再び御手を伸ばし、

ご自分の民の残りを買い取られる。

残っている者をアッシリヤ、エジプト、

パテロス、クシュ、エラム

シヌアル、ハマテ、海の島々から買い取られる。

主は、国々のために旗を揚げ、

イスラエルの散らされた者を取り集め、

ユダの追い散らされた者を

地の四隅から集められる。 

 

イザヤ書27:12~13ーその日、

はユーフラテス川からエジプトの川までの

穀物の穂を打ち落とされる。

イスラエルの子らよ。

あなたがたは、ひとりひとり拾い上げられる。

その日、大きな角笛が鳴り渡り、

アッシリヤの地に失われていた者や、

エジプトの地に散らされていた者たちが来て、

エルサレムの聖なる山で、を礼拝する。

 

エレミヤ書31:8~10見よ。わたしは彼らを北の国から連れ出し、

地の果てから彼らを集める。

その中には目の見えない者も足のなえた者も、

妊婦も産婦も共にいる。

彼らは大集団をなして、ここに帰る。

彼らは泣きながらやって来る。

わたしは彼らを、慰めながら連れ戻る。

わたしは彼らを、水の流れのほとりに導き、

彼らは平らな道を歩いて、つまずかない。

わたしはイスラエルの父となろう。

エフライムはわたしの長子だから。」

諸国の民よ。のことばを聞け。

遠くの島々に告げ知らせて言え。

イスラエルを散らした者がこれを集め、

牧者が群れを飼うように、これを守る」と。

 

 

エゼキエル書36:24ーわたしはあなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く。

 

詩篇126:4よ。ネゲブの流れのように、

* 私たちの捕われ人を帰らせてください。

 

* 私たちの繁栄を元どおりにしてください。(新改訳第3版)

 

 ヘブル語の『完了時制』では、ある活動が完了したと捉えて『過去形』で訳出され、

『預言的完了形』では、活動はまだ起こっていないため『未来形』で訳出されます。

 

『不完了時制』では、ある活動は不完全だとみなされるため、こちらも『未来形』で訳出されます。 

 

*ネゲブの流れ…ユダの地ヘブロンの南方の『乾いた地を灌漑するのに十分な水を、ワジ(水無し川)が与え続ける』という約束です。

 

イザヤ書43:19~20ー見よ。わたしは新しい事をする。

今、もうそれが起ころうとしている。

あなたがたは、それを知らないのか。

確かに、わたしは荒野に道を、

荒地に川を設ける。

野の獣、ジャッカルや、だちょうも、

わたしをあがめる。

わたしが荒地に水をわき出させ、

荒地に川を流し、

わたしの民、わたしの選んだ者に飲ませるからだ。

 

*私たちの捕われ人を帰らせてください(繁栄を元どおりにしてください)…詩篇126篇の作者はここで、『未来のことを祈って』いますから、過去のバビロン捕囚から切り離して考えるべきです。

つまり、将来の『メシア的王国(千年王国)』のことを扱っていると解釈すべきです。

 

 

詩篇126:5ー涙とともに種を蒔く者は、

喜び叫びながら刈り取ろう。

 

*種…人々が救われるために信ずべき『福音の種 』。

この種をパウロたちが宣べ伝えた福音とは異なる『ほかの福音』にしてしまうと、御霊の内住のない、無駄な信仰生活になってしまいます。

 

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詩篇126:6ー種入れをかかえ、泣きながら出て行く者は、

束をかかえ、喜び叫びながら帰って来る。

 

5~6節は字義通り、種を蒔く者はその恩恵を受け取ることになるという一般原則にあてはめ、霊的な意味で人々が信ずべき『福音の種』を受け取り、信仰の芽を出すのを見るのは、種を蒔いた者にとって大きな喜びとなるということを伝えています。

 

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