サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

旧約聖書を土台に新約聖書を読み解く 〜ヨハネ8:39~41〜

ヨハネ福音書8章31節からは、イエス様とユダヤ人たちの論争の様子が記されています。さらっと読み進んでしまう箇所ですが、意味を深く理解するためには旧約聖書を土台に読み解く必要があります。

 

30〜31節前半には『イエスがこれらのことを話しておられると、多くの者がイエスを信じた。そこでイエスは、その信じたユダヤ人たちに言われた。とあります。

 

教会でも「キリストを信じれば救われ、永遠のいのちが与えられます。」と言われますが、イエス・キリストを『このように信じるのか?』が重要ですね。

 

エス様も31節もしあなたがたが、わたしのことばにとどまるなら、あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。と言われていますが、四福音書のイエス様のことばだけを『わたしのことば』だと理解しているのなら、それは間違いです。

なぜなら、聖書66巻全てが『神のことば』であり、『神のことば = 神の御子キリスト・イエス』だからです。

 

ヨハネ1:1~3ー初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。

この方は、初めに神とともにおられた。

すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。

 

創世記1章の神の創造のみわざは、すべて『神のことば』によって行なわれています。

その『ことば』こそ、神のひとり子として受肉されたイエス・キリストです。

 

ヨハネ1:14ーことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとからこられたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。

 

 

 

ヨハネ8:39ー彼らは答えて言った。「私たちの父はアブラハムです。」イエスは彼らに言われた。「あなたがたがアブラハムの子どもなら、アブラハムのわざを行いなさい。

 

ユダヤ人たちは現在でも『私たちの父はアブラハムだ』と信じています。

血統的には、アブラハムーイサクーヤコブの三人を父祖に持つ人々が『ユダヤ人』ですから、ここで主は「アブラハムの子ども(子孫)なら、アブラハムのわざを行いなさい。」と言われています。

 

では『アブラハムのわざ』とは何でしょう?

そこまで考えて聖書を読み解いていますか?

 

創世記18章で、割礼を受けて間もないアブラハム『三人の人』が現れました。

 

創世記18:1~2はマムレの樫の木のそばで、アブラハムに現われた。彼は日の暑いころ、天幕の入口にすわっていた。

彼が目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼は、見るなり、彼らを迎えるために天幕の入口から走って行き、地にひれ伏して礼をした。

 

この『三人』は、アブラハムのところにとどまったひとりが受肉前のキリスト、ロトのところに向かったふたりは御使いです。

アブラハムと会話している人は『』となっていることに注意!創世記18:10, 13, 17, 20, 22, 26, 33

※一方、ロトのところに向かったふたりは、創世記19:1で『御使い』と記されています。

 

アブラハムはこの時、割礼の傷がまだ痛むにもかかわらず、受肉前のキリストを受け入れてもてなしています。創世記18:6~8

これが『アブラハムのわざ』です。

 

ヨハネ8:40ーところが今あなたがたは、神から聞いた真理をあなたがたに話しているこのわたしを、殺そうとしています。アブラハムはそのようなことはしなかったのです。

 

しかし、イエスのことばを聞いて『信じた』はずのユダヤ人たちは、神から聞いた真理を話している『イエスを殺そうとしている』と言われました。

 

ヨハネ8:41ーあなたがたは、あなたがたの父のわざを行っています。」彼らは言った。「私たちは不品行によって生まれた者ではありません。私たちにはひとりの父、神があります。」

 

*私たちは不品行によって生まれた者ではありません…本当にそうでしょうか?

ユダヤ人』という語源は、ヤコブの十二人の息子たちの中の四男『ユダ』から出ています。しかし、創世記38章には、その『ユダ』が息子の嫁タマルとの姦淫の結果生まれた民です。そのことを忘れて、『自分たちはアブラハムの子孫だ』と誇っていました。

 

創世記38:14ーそれでタマルは、やもめの服を脱ぎ、ベールをかぶり、着替えをして、ティムナへの道にあるエナイムの入口にすわっていた。それはシェラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知っていたからである。

 

*やもめの服を脱ぎ…当時の『ハムラビ法典』によれば、兄が子を残さずに亡くなった場合、弟が兄嫁をめとり、兄に子を残すことが定められていました。(レビラート婚)これは後に、モーセの律法にも採用されています。申命記25:5~10

カナン人タマルは元々、ユダの長男エルの嫁でしたが、エルが神を怒らせたためは彼を殺しました。創世記38:6

レビラート婚に基づき、ユダはタマルを次男のオナンに嫁がせましたが、『生まれる子が自分のものとならないのを知っていたので、兄に子孫を与えないために、兄嫁のところにはいると、地に流していた。』創世記38:9

(『オナン』は自慰行為を意味する『オナニー』の語源となっています。)

この結果、オナンも神の怒りに触れ、殺されました。

 

*シェラが成人したのに、自分がその妻にされない…タマルは義父であるユダがレビラート婚に従わないことを知り、遊女を装って義父によって子を残そうとしました。

 

創世記38:15ーユダは、彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたので遊女だと思い、

 

*遊女カナン人の祭儀では、豊穣を願って儀式的な性交が行なわれていました。

 

創世記38:16ー道ばたの彼女のところに行き、「さあ、あなたのところに入ろう」と言った。彼はその女が自分の嫁だとは知らなかったからである。彼女は、「私のところにお入りになれば、何を私に下さいますか」と言った。

 

*何を私に下さいますか…遊女としての代金を求めています。

 

創世記38:17ー彼が、「群れの中から子やぎを送ろう」と言うと、彼女は、「それを送ってくださるまで、何かおしるしを下されば」と言った。

 

創世記38:18ーそれで彼が、「しるしとして何をあげようか」と言うと、「あなたの印形とひもと、あなたが手にしている杖」と答えた。そこで彼はそれを与えて、彼女のところに入った。こうしてタマルは彼によってみごもった。

 

*しるし…ユダが約束した子やぎが届くまでの保証

 

*印形…軟かい粘土の上に転がして刻印する中空の円筒印章で、縦に穴を開けて紐を通し、それを首にかけておくのが地位のある人の習わしでした。

 

*杖…身分を証明するものとしての大きな意味を持つ。

 

つまり、タマルは姦淫の相手がユダである徹底的証拠を手にしたということ。

 

創世記 38:19ー彼女は立ち去って、そのベールをはずし、またやもめの服を着た。

 

*またやもめも服を着た…義父ユダによって子孫を残すという目的を達成したため、またやもめとしての生活に戻ったということ。

 

創世記38:20ーユダは、彼女の手からしるしを取り戻そうと、アドラム人の友人に託して、子やぎを送ったが、彼はその女を見つけることができなかった。

 

*アドラム人の友人に託した…ユダ自身の行為が公になることを隠そうとする行為。

 

創世記38:21ーその友人は、そこの人々に尋ねて、「エナイムの道ばたにいた遊女はどこにいますか」と言うと、彼らは、「ここには遊女はいたことがない」と答えた。

 

創世記38:22ーそれで彼はユダのところに帰って来て言った。「あの女は見つかりませんでした。あそこの人たちも、ここには遊女はいたことがない、と言いました。」

 

創世記38:23ーユダは言った。「われわれが笑いぐさにならないために、あの女にそのまま取らせておこう。私はこのとおり、この子やぎを送ったのに、あなたがあの女を見つけなかったのだから。」

 

*笑いぐさにならないため…タマルにわたした『しるし』を取り戻せないことは重要な意味を持っていました。

 

創世記38:24ー約三か月して、ユダに、「あなたの嫁のタマルが売春をし、そのうえ、お聞きください、その売春によってみごもっているのです」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」

 

*あの女を引き出して、焼き殺せモーセの律法では、姦淫の罪を犯した者は男女とも石打の刑に処すように命じられています。申命記22:22, レビ記20:10

ここではまだ律法前の時代なので、家長としてのユダが『焼き殺す』ように命じています。しかし、ユダは自分自身も遊女と交わったことは黙秘しています。

 

創世記38:25ー彼女が引き出されたとき、彼女はしゅうとのところに使いをやり、「これらの品々の持ち主によって、私はみごもったのです」と言わせた。そしてまた彼女は言った。「これらの印形とひもと杖とが、だれのものかをお調べください。」

 

ここで、タマルが誰の子を宿しているのかが明らかにされます。

 

創世記38:26ーユダはこれを見定めて言った。「あの女は私よりも正しい。私が彼女にわが子シェラを与えなかったことによるものだ。」それで彼は再び彼女を知ろうとはしなかった。

 

*あの女は私よりも正しい…ユダの罪の自覚と告白

 

*シェラを与えなかったことによる…ユダは三つの罪を犯していました。

①レビラーと婚に従わず、三男のシェラが成人してもタマルに与えなかったこと。

カナン人の遊女と淫行したこと

③自分の罪を黙秘したまま、タマルの罪だけを裁こうをしたこと。

 

 

聖書のみことばよりも、口伝律法を重要視していたユダヤ人たちと同様に、

聖書の一部を否定したり、聖書に書かれていることよりも人の教えを重要視する信仰がクリスチャンを名乗る人々の中にも見られます。

もう一度、主イエスの教えに目をとめましょう。

 

ヨハネ8:31bもしあなたがたが、わたしのことばにとどまるなら、あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。

 

後記:タマルは月が満ちて、双子を産みました。弟のペレツ(新約聖書では、パレス)がメシアの家系へと続きます。ルツ記4:12, マタイ1:3, ルカ3:33