サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

ルツ記 4章

ルツ記4:1ー門…町の防衛のためだけでなく、その町の力、権威をも表わすものでした。朝に開かれ人々は門を通って畑に行き、夕方には閉じられました。また町の門のところは広場になっていて、町の権力者たちが集まって来て、会議の場になったり、裁判の場になったり、市場になったりしました。

 

cf 箴言31:23ー夫は町囲みの人々によく知られ、

土地の長老たちとともに座に着く。

 

ボアズも町の有力者のひとりでしたから(ルツ記2:1)、ルツのプロポーズに応えるべくその町の門の所へ行きました。

それは『買い戻しの権利』上、ボアズよりもさらに近い親族がいたので、そこに行けば会えると思ったからです。

 

そこで公に法的な手続きをするためであり、またどのような結果になろうとも証人を立てることにより、事実に反する風評が立たないようにするという配慮からでもありました。

 

すると、ちょうど…ルツ記のキーワードの一つ。ここにも神様の『時』があります。朝畑に出て行く人はこの門を通るわけですから、ボアズはその人も来ることを予測できたとは思いますが、そのタイミングが『ちょうど』だったのです。

 

ルツ記4:2ーボアズは彼に声をかけ、町の長老10人をそこに招きました。10人の長老たちの評決によって、レビラート婚が正式なものとなったからです。(ユダヤ法では、成人男子10人が定数として必要でした。)

 

長老…町の役職。『老人』という意味ではありません。

 

キリストの型であるボアズよりも先に、律法(十戒)の型である『10人の長老』が先に来ているのです。

 

ルツ記4:3ー買い戻しの権利…レビ記25:25ーもし、あなたの兄弟が貧しくなり、その所有地を売ったなら、買い戻しの権利のある親類が来て、兄弟の売ったものを買い戻さなければならない。

(その金額の算出方法は、ヨベルの年が基準となっていました。レビ記25:27~28。

 

ルツ記4:4ーここでは『買い戻す』『買い戻さない』『買い戻し』と、何度も『ガーアル』という言葉のやりとりが、第一の『買い戻しの権利のある人(ゴエール)』とボアズとの間に行なわれています。

 

第一のゴエールは「私が “ガーアル” しましょう。」と即答しています。かなりの有力者だったということでしょう。

するとボアズはすかさず、モアブ人ルツとの『レビラート婚』を持ち出しています。

 

ルツ記4:5レビラート婚の義務を伝えているわけです。民数記27:8~11によれば、レビラート婚で生まれた子どもに『相続地』を渡さなければなりません。

 

ルツ記4:6ー土地を買い戻すということは、第一のゴエールの人にとって、モアブ人の嫁ルツまでをも引き取ることになり、さらに生まれた息子にその土地をすべて(買い戻した土地だけでなく、自分の所有地も)相続させることになります。

 

そのうえ、ルツはモアブ人でしたから、いろいろと問題もあったわけです。

cf 申命記23:3ーアモン人とモアブ人は主の集会に加わってはならない。その十代目の子孫でさえ、決して主の集会に入ることはできない。(創世記49:10)

 

 

ルツ記4:6ー第一のゴエールの人は尻込みをして、買い戻しの権利を辞退しました。つまりもろもろの律法の規定により、この人はルツを贖うことはできなかったのです。

 

*つまり、それは『律法による行ないでは、贖いをすることはできない』ということを示しているのです。

 

しかしボアズはあえてそれをしたのです。

自分の財産も相続地もすべて投げ打って、イスラエルの神を信じて姑ナオミとともに、モアブの地からイスラエルにやって来たルツを救うために『買い戻して』くれたのです。ここにキリストと同じ『自己犠牲の愛』を見るのです。

 

ヘブル7:19ー律法は何事も全うしなかったのです。ー他方で、さらにすぐれた希望が導き入れられました。私たちはこれによって神に近づくのです。

 

*律法によっては、救いはありません!

 

ルツ記4:7ー当時の習慣では、取引を終えるにあたり『履物』を脱いで渡すという習慣がありました。

 

それはまた、レビラート婚においては、その申し出を断わられたやもめになった妻が断ったゴエールのくつを脱がせ、彼の顔につばきをし、義務を果たさない者としてのはずかしめを与えたのです。

 

cf 申命記25:8~10ー町の長老たちは彼を呼び寄せ、彼に告げなさい。もし、彼が、「私は彼女をめとりたくない。」と言い張るなら、

その兄弟のやもめになった妻は、長老たちの目の前で、彼に近寄り、彼の足からくつを脱がせ、彼の顔につばきをして、彼に答えて言わなければならない。「兄弟の家を立てない男は、このようにされる。」

彼の名は、イスラエルの中で、「くつを脱がされた者の家」と呼ばれる。

 

そして後にイスラエル人は、御父が彼らの贖いのために『買い戻し』の代価である御子イエスの顔につばきをしたのです。そしてローマ人が十字架につけるためにイエスの履物を脱がせ、着物といっしょに分け合うことに同意していたのです。cf マタイ26:67、27:35。

 

つまり、彼らはイエスの贖い(ゴエール)を「いらない。」と拒み、自らの救いを律法の行ないに頼ることにしたのです。今、イエスが『救い主』だと分かっているのに、イエスを拒むという選択をしている人も同じように、イエスの顔につばきをし履物を脱がせ、イエスを侮辱しているのです。

 

これは神が一番悲しまれることですよ。

素直に神の愛を受け入れましょ。恵みの時は、そういつまでも続くわけではないのですから…。

 

ルツ記4:8ー第一のゴエールの人は「あなたがお買いなさい。」と言って、ボアズに自分の履物を渡し、取引が完了したことを証明しました。

 

ルツ記4:9ーボアズは晴れて10人の長老たちとの前で、またそこに集まっていた人々の前でルツとのレビラート婚が成立したことを宣言しました。

 

ルツ記4:10ボアズが欲しかったのはエリメレクの『畑』ではなく、モアブの地からイスラエルの神に保護を求めてやって来た『ルツ』でした。

 

一方、第一のゴエールの人が求めたのは、『ルツ』ではなく『畑』でした。ボアズはルツを得るために、『畑』全体を買い戻したのです。

 

cf マタイ13:44ー天の御国は、畑に隠された宝のようなものです。人はその宝を見つけると、それを隠しておいて、大喜びで帰り、持ち物を全部売り払ってその畑を買います。

 

これはイエスが話された譬えですが、ここはルツ記と重なってきます。ボアズにとってルツは『宝』のような存在だったのです。

第一のゴエールと法的に話をするのに、ボアズはルツをナオミの所に帰(宝を隠)しています。

*律法によれば、第一のゴエールの人がレビラート婚を断り、はきものを脱いだときに、ルツは彼の顔につばきをするはずでした。

そしてエリメレクの土地(畑)ごと、ルツを買い戻したのです。

 

同じようにキリストも御子であられるお方なのに、人間の世界ごと贖い、ご自分を信じるものをご自分の『宝』とされたのです。

 

御父にとってイスラエルは『宝の民』でした。

cf 申命記14:2ーあなたは、あなたの神、主の聖なる民である。主は、地の面のすべての国々の民のうちから、あなたを選んでご自分の宝の民とされた。

 

ルツ記4:11ー門にいた町の人々と長老たちは、ボアズとルツの結婚の証人となりました。その手続きについては、エレミヤ書32:10~14にあります。

 

ユダヤ人にとって、アブラハムの妻サラ、ヤコブの妻ラケルとレアは『ユダヤ民族の母』として特別視されています。ラケルとレアも共に国境を越えて、イスラエルに入って来た姉妹です。

 

エフラテ(緑豊かな土地、の意。ベツレヘムの旧名)、ベツレヘム…ユダ族の相続地ベツレヘムを指します。cf ミカ書5:2。

 

ベツレヘムで名をあげなさい…私たちの救い主イエスは、ボアズとルツの子孫として、ベツレヘムで誕生されました。

 

ここではもう『モアブ人』とは言われていません。ボアズの裾によって覆われ、ボアズの家系に入ったことの表れです。

私たちもまた恵みにより信仰によって、ただの『異邦人』ではなく、天に国籍を持ち『神の家に入る花嫁』として『神の家族』となりました。

 

ルツ記4:12ータマル…創世記38章。異邦人カナン人。舅ユダによってペレツとゼラフという双子を産んだ未亡人。ボアズはペレツの子孫でした。

 

ルツ記4:13ー彼女のところにはいった…晴れて夫婦となり、男の子をみごもりました。cf 創世記16:4、38章。

 

主は彼女をみごもらせた…『主が妊娠を与えた』の意。主の祝福。

 

ルツ記4:14イスラエルで、その名が伝えられ…ベツレヘムだけでなく、イスラエル全土で広く伝えられるように、の意。

 

きょう…新しいゴエールが与えられるという預言的表現。

ボアズの三十代目の子孫として『贖い主』であるイエスが誕生してきます。

 

ルツ記4:15ーあなたを元気づけ…ナオミに対し『人生を回復させる』という意味。将来的には子孫として誕生するイエスによって『人生は回復させられる』のです。

 

老後…直訳:白髪になる、年老いる、の意。

 

七人の息子にもまさるあなたの嫁…モアブの地で夫と二人の息子を亡くしたナオミに残された嫁のルツが、七人の息子(七は完全数)にもまさる嫁だということ。

子孫にダビデ王、ソロモン、イエス・キリストが誕生します。

ルツは『教会』の型。

 

ルツ記4:16ーナオミはその生まれた子を、養育し、喜びを得たのです。(本来はボアズはナオミをレビラート婚でめとるべきでしたが、年老いていたため嫁のルツをめとったのです。しかし生まれた子は、ナオミによって養い育てられたということです。)

 

ルツ記4:17ー近所の女たちによってその子は『オベデ』と名付けました。本来は、親がつけるものですが、ここでは近所の女たちが喜んでその子を『オベデ』と呼び始めたのが、そのままその子の名となったのです。

 

オベデ…礼拝する者、仕える者、しもべ、の意。系図にのみ登場。

 

*花婿であるキリストの型『ボアズ』とボアズの花嫁となった教会の型である『ルツ』との間に誕生した『オベデ』が、『礼拝する者、仕える者』という意味だというのは、とても興味深いですね。

 

エッサイ…富を所有する、の意。この名が出て来るときは『ダビデ』と併記されています。またイエスの称号も『エッサイの根』『ダビデの子』ともなっています。cf 詩篇72篇。

 

 ルツ記4:18ーペレツ…破る、割り込む、批判する、の意。罪深い家系をもっていました。cf 創世記38章。

ヘツロン…壁に囲まれた、の意。

 

ルツ記4:19ーラム…高められた、の意。

アミナダブ…私の親族は寛容である、の意。

 

ルツ記4:20ーナフション…魔術師、魅了する、小さな蛇、の意。

ナフションの妹は、モーセの兄アロンの妻。

cf 出エジプト記6:23ーアロンは、アミナダブの娘でナフションの妹であるエリシェバを妻にめとり、彼女はナダブとアビフ、エルアザルとイタマルを産んだ。

*ナダブとアビブは、神により殺されてます。レビ記10:1~2。

 

 ルツ記4:21ーサルモン…外套、の意。妻はエリコの売春婦、カナン人ラハブ。cf マタイ1:5。

 

そしてその子が、ボアズ…力ある者、の意。その子がオベデ…礼拝者、奉仕者

 

 ルツ記4:22ーエッサイ…【主】は存在する、富を所有する、の意。

 

ダビデ…愛される者、の意。