ユダ1ー著者…イエス・キリストのしもべでありー著者も、イエスを『キリスト』だと信じる信者。
ヤコブの兄弟であるユダーヤコブは『ヤコブの手紙』の著者であり、イエスの異父兄弟(イエスの母マリヤと養父ヨセフとの子)であり、『ユダの手紙』の著者と兄弟です。
cf マタイ13:55ーこの人は大工の息子ではありませんか。彼の母親はマリヤで、彼の兄弟は、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではありませんか。
cf マルコ6:3ーこの人は大工ではありませんか。マリヤの子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではありませんか。その妹たちも、私たちとここに住んでいるではありませんか。」こうして彼らはイエスにつまずいた。
宛先…イエス・キリストのために守られている…キリストの再臨による御国への招きのために、
召された方々へー信仰によりこの世から呼び出された人々。
著者のところに『ヤコブの兄弟』と書かれていることから、受取人たちはヤコブのことを知っている人たちだったと考えられる。
ユダ2ー挨拶…神のあわれみとキリストにある平安と愛があるように。
ユダ3ー主題。
当初、ユダは『救いについて』手紙を書こうとして、あらゆる努力をしていましたが、事情が変わり、『信仰のために戦うよう励ます手紙』を書く必要が出ました。
ユダ4ーその理由:ある人々によって『異端の教え』がひそかに教会の中に忍び込んで来たため。
彼らは『神の恵みを放縦に変えて、イエス・キリストを否定する人たち』だと、ユダは述べています。
放縦…何の規律もなく、勝手きままに振舞うこと。
*まさに自己中心的な生き方です。彼らは、耳に心地よいことだけを語ります。
ユダはこのような人々のことを『(神の)さばきに会うと昔から前持ってしるされている人々で、不敬虔な者』だと言っています。
*彼らがもたらした『異端的教え』は、Ⅱペテロの手紙に見られるものとよく似ていました。
cf Ⅱ ペテロ2:1ーしかし、イスラエルの中には、にせ預言者も出ました。同じように、あなたがたの中にも、にせ教師が現われるようになります。彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを買い取ってくださった主を否定するようなことさえして、自分たちの身にすみやかな滅びを招いています。
*現代では、おそらく『にせ牧師』『にせ宣教師』『にせ預言者』などでしょう。
*だれが『にせ牧師』であり、『にせ宣教師』であり、『にせ教師』なのか…?
どのように見分けたらよいのでしょうか?
異端的教えの特徴
http://osusowake.hatenablog.com/entry/2014/06/05/130244
はっきりとした異端は、見分けるのが簡単です。
しかし、問題は、普通のキリスト教会の中にひそかに入り込んでいる『にせ牧師』であり、『にせ宣教師』であり、『にせ教師』なのです。
キリストを語っていても『地獄否定』をしたり、『セカンドチャンス』を唱えるようなところは、聖書の教えと一致してはいません。
彼らはまるで『教会ごっこ』を楽しむように、会衆の耳に心地よい事を語り、「神の立てた権威に従いなさい。」と支配と盲従を強要し、献金を強制したりします。
著者ユダは、そのような『偽りの指導者』のことを、次のように言っています。
ユダ8ー①夢見る者であり、
②肉体を汚し、
③権威ある者を軽んじ、
④栄えある者をそしっている。
ユダ16ー⑦ぶつぶつ言う者、
⑧不平を鳴らす者、
⑨自分の欲望のままに歩む者、
⑩その口は大きなことを言い、
⑪利益のためにへつらって人をほめる者。
ユダ19ー⑫御霊を持たず、
⑬分裂を起こし、
⑭生まれつきのままの人間…つまり『救われていない人』だということです。
ユダ5〜11では、キリストのために守られている召された人々に、旧約の出来事からリマインドしています。
ユダ5ー出エジプトの出来事です。400年間奴隷生活をしていた生活から救い出され、奇蹟も体験し、天からのパン『マナ』や岩からの水で養われたのにも関わらず、神を信じなかった人々を滅ぼされました。
ユダ6ー御使いは、天にて神に仕える霊的存在です。最高位ケルビムの中の頂点だった『ケルブ』が神に反逆し『サタン』となった時に、彼に組した1/3の『墮天使たち』の領域は、サタンに許された範囲〜空中〜だけでした。
cf エペソ2:1~2ーあなたがたは自分の罪過と罪との中に死んでいた者であって、
そのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って歩んでいました。
聖なる者として造られた御使いが天のおるべき所を捨て、神に反逆し、さらに『空中の権威』という許された範囲を捨て、人間の姿を取って降りて来て『ネフィリム』を生み出した、創世記6章の御使いたち(神の子ら)を、暗やみの下『ギリシャ語:タータラス』に閉じ込められたのです。cf Ⅱ ペテロ2:4~5
cf Ⅱ ペテロ2:4ー神は、罪を犯した御使いたちを、容赦せず、地獄に引き渡し、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めてしまわれました。
ユダ7ー不品行の罪を行なったみせしめ。
cf ローマ1:26~28ーこういうわけで、神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡されました。すなわち、女は自然の用を不自然なものに代え、
同じように、男も、女の自然な用を捨てて男どうしで情欲に燃え、男が男と恥ずべきことを行うようになり、こうしてその誤りに対する当然の報いを自分の身に受けているのです。
また、彼らが神を知ろうとしたがらないので、神は彼らを良くない思いに引き渡され、そのため彼らは、してはならないことをするようになりました。
cf Ⅱ ペテロ2:6ーまた、ソドムとゴモラの町を破滅に定めて灰にし、以後の不敬虔な者へのみせしめとされました。
*同性婚を認めるようになった今の世界は、まさにこの『ソドムとゴモラ』への逆戻りです。このような世界に、神の裁きが下るのです。
ユダ9ー偽典:『モーセの昇天』からの引用。*チェーン式新改訳聖書注解より
“モーセが死んだ時、ミカエルはその死体を埋葬するよう神から遣わされたが、悪魔は、モーセが人を殺したことがあるので(出エジプト記2:12)自分に引き渡すよう主張して、両者の間に争いがあった。”という記事に基づく。
ユダ10ーわきまえのない動物のように、本能によって知るような事がらの中で…自己中心という罪の性質の中で。
『偽りの指導者たち』はイエスを『救い主』だとは信じていないので、救われてはいないため、自分の罪の中で滅びる人たちなのです。
ユダ11ーカインの道…不信仰。神を信じ、神を畏れていた弟アベルをねたみによって殺したのと同じように、偽りの指導者たちは、真の信者に対し敵意を持っている。
バラムの迷い…バラムは不義の報酬を得るために、バラクに雇われました。
cf 民数記22:17ー私はあなたを手厚くもてなします。またあなたが私に言いつけられることは何でもします。どうぞ来て、私のためにこの民をのろってください。
コラのようにそむいて…正しい権威にそむいて、の意。
cf 民数記16:1~3ーレビの子ケハテの子であるイツハルの子コラは、ルベンの子孫であるエリアブの子ダタンとアビラム、およびペレテの子オンと共謀して、
会衆の上に立つ人たちで、会合を選び出された名のある者たち二百五十人のイスラエル人とともに、モーセに立ち向かった。
彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らい、彼らに言った。「あなたがたは分を越えている。全会衆残らず聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、なぜ、あなたがたは、主の集会の上に立つのか。」
ユダ12ー愛餐…信者がともに集まって、主を中心にした食事と交わり。
cf 使徒2:46ーそして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
cf 1コリント11:20~21ーしかし、そういうわけで、あなたがたはいっしょに集まっても、それは主の晩餐を食べるためではありません。
食事のとき、めいめい我先にと自分の食事を済ませるので、空腹な者もおれば、酔っている者もいるというしまつです。
『偽りの指導者たち』は救われていないので、神を畏れることもなく、自己中心なので、自分さえ良ければいいという価値観で生きています。
そのような生き方をユダはいくつかのたとえで表わしています。
①自分だけを養っている者、
②風に吹き飛ばされる、水のない雲、
③実を結ばない、枯れに枯れて、根こそぎにされた秋の木、
ユダ13ー④自分の恥のあわをわき立たせる海の荒波、
⑤さまよう星。
そして彼らの行き着く先は、『まっ暗なやみ』だと言っています。『まっ暗なやみ』とは、地獄、または『燃える火と硫黄との池』の永遠の滅びです。
ユダ14ーエノクも彼らについて預言し…儀典:『第一エノク書1:9』からの引用。
主は千万の聖徒を引き連れて来られる…キリストの地上再臨の時には、教会時代に亡くなった者たち、携挙の恵みに与った者たちを『花嫁』として、千年王国という婚宴のために引き連れて来られます。
その婚宴に招かれる者たちが、旧約時代の聖徒たちと患難時代の殉教者たち、そして患難期を生き延びた羊組たちです。
cf 黙示録19:14ー天にある軍勢は真っ白な、きよい麻布を着て、白い馬に乗って彼につき従った。
また御使いたちも従って来ます。
ユダ15ーcf マタイ16:27ー人の子は父の栄光を帯びて、御使いたちとともに、やがて来ようとしているのです。その時には、*おのおのその行ないに応じて報いをします。
cf Ⅱ テサロニケ1:7b~8ーそのことは、主イエスが、炎の中に、力ある御使いたちを従えて天から現われるときに起こります。
そのとき主は、神を知らない人々や、*私たちの主イエスの福音に従わない人々に報復されます。
*マタイ25章の羊と山羊のさばき
ユダ17ー著者ユダは、使徒たちの伝道の言葉を思い出すようにと勧めています。
ユダ18ーcf マタイ24:11ーまた、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。
cf マタイ24:24ーにせキリスト、にせ預言者たちが現われて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。
ユダ20ー愛する人よ…キリストを信じ、神の子となった人々に対する呼びかけ。
ユダは神の家族に勧めます。
①自分の持っている最も聖い信仰の上に自分自身を築き上げ…キリスト・イエスという信仰の土台の上に、みことばに従順になるように、の意。
②聖霊によって祈り…キリスト・イエスを信じる者には、聖霊の内住があります。
ユダ21ー③神の愛のうちに自分自身を保ち…キリストは信じる者を『孤児にはしない。』と約束されました。その愛のうちにとどまるべきです。
cf ヨハネ14:18ーわたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしません。
④主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。…『携挙』を待ち望みなさい、の意。
ユダ22ー疑いを抱く人々…ギリシャ語:ディアクリノー。『区別する』『自分自身を分ける』『切り離す者』の意。
ここは二種類の意味があります。
⑴偽りの教会からの分離した者…異端信仰からの脱却。
⑵自ら『本物の教会』から切り離して行った者…誹謗中傷したり、されたりして去っていった者。
これらの人々をあわれむように勧めています。
ユダ23ー火の中からつかみ出して救い…憐れむだけではなく、『燃える火と硫黄との池』に向かって歩んでいる人々であるという自覚をもち、とにかく『救い出しなさい。』ということ。
*“またある人々を、恐れを感じながらあわれみ”…写本によっては、入ってないものがあります。
下着さえも忌みきらいなさい…cf レビ記13:52ー羊毛製であるにしても、亜麻製であるにしても、衣服、あるいは織物でも、編物でも、それがまたどんな皮製品でも、その患部のある物は焼く。これは悪性のツァラアトであるから、火で焼かなければならない。
*罪の性質は、ツァラアトのようにしつこくつきまといます。徹底して自己中心という罪の性質から、キリスト・イエスにある聖さに与る者となるように、との勧め。
ユダ24〜25ー祝祷のことば。
*信仰的につまずかないように守られるには、聖書のみことばに慣れ親しむことです。
本物の神の命令、戒め、祝福等は、聖書のみことばに書かれているからです。本物を知っていれば、それと一致しないことはみなまやかしだとわかります。
もし、聖書の教えと違うことを教えている教会(組織)だとはっきりわかったのなら、そこから分離すべきです。
cf Ⅱコリント6:17~18ーそれゆえ、彼らの中から出て行き、
彼らと分離せよ、と主は言われる。
汚れたものに触れないようにせよ。
そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れ、
わたしはあなたがたの父となり、
あなたがたはわたしの息子、娘となる、
と全能者の主が言われる。」
*イエスを『救い主』と信じたらそれで終わりなのではなく、キリストの花嫁として相応しく整えられる必要があります。私たちの霊的実家である『教会』で、花嫁修業をすべきです。みことばによって、その教会の教えが聖書的かどうか吟味しながら、霊的成長していくのが『救われた者』としての務めです。
cf 使徒17:11bー非常に熱心にみことばを聞き、はたしてそのとおりかどうかと毎日聖書を調べた。