黙示録5:1ーまた、私は、御座にすわっておられる方の右の手に巻き物があるのを見た。それは内側にも外側にも文字が書きしるされ、七つの封印で封じられていた。
*巻き物…ビブリオン、聖書のこと。
昔は羊皮紙の巻き物でした。聖書は今でもその名残りで「1巻〜66巻」と「巻」で数えます。
*内側も外側もぎっしりと文字が書きしるされ…言いたい事、伝えたい事がたくさんあるということ。
*七つの封印…『七』は完全数
完全に封印されていたということ。
その中に書かれていることが、神さまの啓示の内容です。
黙示録5:2ーまた私は、ひとりの強い御使いが、大声でふれ広めて、「巻き物を開いて、封印を解くのにふさわしい者はだれか」と言っているのを見た。
*大声…緊急時/重大な知らせ
*巻き物を開いて、封印を解くのにふさわしい者はだれか…ふさわしくない者は開くことができません。
黙示録5:3ーしかし、天にも、地にも、地の下にも、だれひとりその巻き物を開くことのできる者はなく、見ることのできる者もいなかった。
*天にも…御使いたちの中にも
*地にも…人間たちの中にも
*地の下にも…『死んだ人々』という意味ではなく、『地中生物のいる所』の意。
黙示録5:4ー巻き物を開くのにも、見るのにも、ふさわしい者がだれも見つからなかったので、私は激しく泣いていた。
*私…著者ヨハネ
*激しく泣いた…その理由は、ヨハネは神のみことばを理解したいという強い欲求があったから。
ダニエルもまた、神の啓示の意味を理解したくて、病気になりました。
ダニエル書8:27ー私、ダニエルは幾日かの間、病気になったままでいた。その後、起きて王の事務をとった。しかし、私はこの幻のことで驚きすくんでいた。それを悟れなかったのである。
私たちは使徒ヨハネやダニエルのようなみことばを理解したいという強い渇きを持っているでしょうか?
黙示録5:5ーすると、長老のひとりが、私に言った。「泣いてはいけない。見なさい。ユダ族から出た獅子、ダビデの根が勝利を得たので、その巻き物を開いて、七つの封印を解くことができます。」
5~6節でキリストの二面性が記されています。
*ユダ族のしし…勝利の王としての再臨のキリスト
創世記49:8~12ーユダよ。兄弟たちはあなたをたたえ、
あなたの手は敵のうなじの上にあり、
あなたの父の子らはあなたを伏し拝む。
ユダは獅子の子。
わが子よ。あなたが獲物によって成長する。
雄獅子のように、また雌獅子のように、
彼はうずくまり、身を伏せる。
誰がこれを起こすことができようか。
王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。
ついにはシロが来て、
国々の民は彼に従う。
彼はそのロバをぶどうの木につなぐ。
彼はその着物を、ぶどう酒で洗い、
その衣をぶどうの血で洗う。
その目はぶどう酒によって曇り、
その歯は乳によって白い。
イスラエル人たちは、初臨の『神の小羊』としてのメシアを見落としてしまいました。
だからキリストのエルサレム入城の際「王様、万歳」と迎えたのです。
ヨハネ12:13ーしゅろの木の枝を取って、出迎えのために出て行った。そして大声で叫んだ。
「ホサナ。
祝福あれ。
主の御名によって来られる方に。
イスラエルの王に。」
黙示録5:6ーさらに私は、御座--そこには、四つの生き物がいる--と、長老たちとの間に、ほふられたと見える小羊が立っているのを見た。これに七つの角と七つの目があった。その目は、全世界に遣わされた神の七つの御霊である。
*ほふられたと見える小羊…受難のしもべとしての初臨のキリスト
*ほふられたと見える…『死んで復活した』という意。
死んで復活されたイエスのみ、巻き物を解くことができるお方です。
キリストは、四つの生き物がいる御座と長老たちの間に立っていました。そこには、聖霊のご臨在がありました。
*七つの角…『角』は力の象徴
ダニエル8:3~4ー私が目を上げて見ると、なんと一頭の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって、この二本の角は長かったが、一つはほかの角よりも長かった。その長いほうは、あとに出て来たのであった。
私はその雄羊が、西や、北や、南のほうは突き進んでいるのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。
*七つの目…神の七つの御霊
イザヤ11:2ーその上に、主の霊がとどまる。
それは知恵と悟りの霊、
はかりごとと能力の霊、
主を知る知識と主を恐れる霊である。
黙示録5:7ー小羊は近づいて、御座にすわる方の右の手から、巻き物を受け取った。
*御座にすわる方…御父
黙示録5:8ー彼が巻き物を受け取ったとき、四つの生き物と二十四人の長老は、おのおの、立琴と、香のいっぱい入った金の鉢とを持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒たちの祈りである。
*四つの生き物…セラフィム(御使い)
*二十四人の長老…携挙された教会代表
*香…聖徒たちの祈り
*小羊…キリスト・イエス
黙示録5:9ー彼らは、新しい歌を歌って言った。「あなたは、巻き物を受け取って、その封印を解くのにふさわしい方です。あなたは、ほふられて、その血により、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から、神のために人々を贖い、
*あらゆる部族、国語、民族、国民の中から…『民族、国民の中から』ということから、万民救済論ではないことがわかります。
ヘブル書の著者も万民救済論を述べてはいません。
ヘブル9:28ーキリストも、多くの人の罪を負うために一度、ご自身をささげられましたが、二度目は、罪を負うためではなく、彼を待ち望んでいる人々の救いのために来られるのです。
*多くの人の罪をお悔や負うため…全人類ではなく、『キリストの福音を信じる多くの人』のこと。
*彼を待ち望んでいる人々の救いのため…キリストの空中再臨(携挙)の時に、からだの贖いが完成します。栄化
黙示録5:10ー私たちの神のために、この人々を王国とし、祭司とされました。彼らは地上を治めるのです。」
*この人々を王国とし…王国の住民とし、の意。
*祭司…旧約時代の祭司は、イスラエルのレビ族からのみ。
大祭司はレビ族のアロンの家系の世襲制でした。
患難時代前半に機能する第三神殿での祭司もレビ族からです。
家系図が無くても、イスラエル人の苗字からレビ人やアロンの家系であることはわかるため問題ありません。
御国の時代である千年王国におけり祭司は、患難時代終わりのイスラエルの民族的回心により御霊が与えられるイスラエル人です。
ヨエル2:28~29ーその後、わたしは、わたしの霊をすべての人に注ぐ。
あなたがたの息子や娘は預言し、
年寄りは夢を見、若い男は幻を見る。
その日、わたしは、しもべにも、はしためにも、
わたしの霊を注ぐ。
万民祭司論を説く人がいますが、出エジプト記19:5~6も1ペテロ2:9も異邦人にではなく、イスラエル人に対するみことばです。
出エジプト記19:5~6ー今、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたは全ての国々の民の中にあって、わたしの宝となる。全世界はわたしのものであるから。
あなた方はわたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。
これが、イスラエル人にあなたの語るべきことばである。」
1ペテロ2:9ーしかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなた方が宣べ伝えるためなのです。
続く10節の『あなたがた』をユダヤ人信者のみではなく、異邦人信者も含めてペテロは語っていると説く人もいるようですが、1ペテロ1:1からこの書簡の受取人は、イスラエル国外に散っているユダヤ人信者であることは明確です。ペテロはその受取人たちに対して『あなたがた』と述べています。そのため、12節で「異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい」と国外に離散しているユダヤ人信者たちに命じているのです。
1ペテロ1:1ーイエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ビテニヤに散って寄留している、選ばれた人々、すなわち、
千年王国における異邦人の中からは、全員ではなく、神が『ある者を選んで』キリストの御座の裁きの時に任命されます。
イザヤ66:21ーわたしは彼らの中からある者を選んで祭司とし、レビ人とする」と主は仰せられる。
置換神学の立場だと、『イスラエル=教会、異邦人信者』として解釈するため、『あなたがた』を文脈から理解しようとせず、すべて自分たちに当てはめて理解しようとするため、『万民祭司論』支持になるのだと思います。
しかし、聖書はイスラエルと教会、ユダヤ人と異邦人、信者と不信者を明確に区別して記しています。文脈から読み解くことが重要です。
黙示録5:11ーまた私は見た。私は、御座と生き物と長老たちとの回りに、多くの御使いたちの声を聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍であった。
*万の幾万倍、千の幾千倍…無数
患難時代中期の第六のラッパの裁きで、その時の世界人口の1/3を殺すために解き放たれる悪霊(堕天使)たちの数が2億だと記されています。
黙示録9:13~16ー第六の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、私は神の御前にある金の祭壇の四隅から出る声を聞いた。
その声がラッパを持っている第六の御使いに言った。「大川ユーフラテスのほとりにつながれている四人の御使いを解き放せ。」
すると、定められた時、日、月、年のために用意されていた四人の御使いが、人類の三分の一を殺すために解き放された。
騎兵の軍勢の数は二億であった。私はその数を聞いた。
また、サタンとなったケルブが神に反逆した時に、自分に引き寄せで堕天使となった数が、被造物なる御使い全体の1/3であったことから、聖なる御使いの数は少なくとも4億以上いることがわかります。
黙示録12:4ーその尾は、天の星の三分の一を引き寄せると、それらを地上に投げた。また、竜は子を産もうとしている女の前に立っていた。彼女が子を産んだとき、その子を食い尽くすためであった。
それほどの数の大集団の御使いたちが、四つの生き物と長老たちの声に呼応し賛美を始めました。
黙示録5:12ー彼らは大声で言った。「ほふられた小羊は、力と、富と、知恵と、勢いと、誉れと、栄光と、賛美を受けるにふさわしい方です。」
*ほふられた小羊…過越の小羊、世の罪を取り除く神の小羊として十字架でほふられ、罪の無い者として葬られ、三日目によみがえられた神の御子イエスのこと。
*力と、富と、知恵と、勢いと、誉れと、栄光と、賛美を受けるにふさわしい方… ♪ Majesty ♪ の歌詞は、ここからとったものですね。
みことばに曲をつけた賛美は、素晴らしいと思います。
しかし、教会でよく歌われる曲の中には歌詞が、非聖書的、人間の感情に頼ったものもあるので吟味が必要です。
黙示録5:13ーまた私は、天と地と、地の下と、海の上のあらゆる造られたもの、およびその中にある生き物がこう言うのを聞いた。「御座にすわる方と、小羊とに、賛美と誉れと栄光と力が永遠にあるように。」
*天…被造物の天体がある第二の天
*地…地上のすべての被造物
*地の下…地下鉱物、物質、生き物を指す。
『地の下』を『陰府にいる死んだ人々』とするのは文脈を無視した解釈になるので要注意。
御使いたちの賛美に呼応して、被造物全体が賛美し始めました。
黙示録5:14ーまた、四つの生き物はアーメンと言い、長老たちはひれ伏して拝んだ。
再び四つの生き物と長老たちに戻り、礼拝を始めるというローテーションです。
こうして、神の被造物すべてが小羊であるイエスを賛美するようになります。