Ⅱ テモテ3:16ー聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのため有益です。
ルカ16:17ーしかし律法の一画が落ちるよりも、天地の滅びるほうがやさしいのです。
…とは言うものの、それは聖書の原文に於いてであって、訳文には霊感が働いて書かれたわけではないので、『誤訳』があってもおかしくはないのです。
『誤訳』になる理由はいくつかありますが、一番の理由はヘブル語の語彙と日本語の語彙の違いかもしれません。 または、旧約聖書という土台を持たない異邦人であるがゆえ…ということなのかもしれません。
今回はメシアニックジューを通して教えられた箇所、教会でも一般に知られている箇所から、私が個人的に知っている箇所をあげてみました。
【誤訳】
申命記22:5ー女は男の衣装を身に着けてはならない。また男は女の着物を着けてはならない。すべてこのようなことをする者を、あなたの神、主は忌みきらわれる。
これは教えていただくまで『誤訳』だとはわかりませんでした。邦訳の聖書すべてが誤訳している箇所であり、原語に忠実に訳することの重要性を新たにする箇所ですね。
【正訳】
申命記22:5ー男用の大きな水瓶(備品)を女奴隷にもたせて水汲みの労働をさせてはならない。そして、女用の小さな服や布団を、一人前の男奴隷にあてがってはならない。
【誤訳】
イザヤ65:20bー百歳で死ぬ者は若かったとされ、
百歳にならないで死ぬ者は、
のろわれた者とされる。
*百歳にならないで…百歳以前の何歳でも死ぬ可能性を示唆しているが、千年王国では、全員百歳まで生きる。百歳までに『メシア』を受け入れる必要がある。
【正訳】
イザヤ65:20ーそこにはもう、数日しか生きない乳飲み子も、
寿命の満ちない老人もない。
百歳で死ぬ者は若かったとされ、
百歳で死ぬ者は、
のろわれた者とされる。
【誤訳】
使徒2:38ーそこでペテロは彼らに答えた。「悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けるでしょう。
*罪を赦していただくために…バプテスマの目的が『罪の赦し』なのではありません。
*賜物として聖霊を受ける…聖霊は『(賜)物』ではありません。聖霊は『三位一体の第三位格の神 』です。
【正訳】
使徒2:38ーそこでペテロは彼らに答えた。「悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただいたのですから、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、聖霊の賜物を受けるでしょう。
*水のバプテスマは、キリスト・イエスを信じ、罪を赦していただいた者が、自分の心の内側で起こったことを表に表わすことであり、キリストの三大命令に従うものです。ですから罪が赦された結果受けるのであって、バプテスマを受ければ、罪が赦されるのではありません。
*聖霊は『賜物をくださる神』であって、賜物としてひとつだけ与えられるというものでもありません。『みなの益となるために』ひとりひとりの器にあった『賜物』を与えてくださるのです。
NIV訳:ACTS 2:38bーAnd you will receive the gift of the Holy Spirit.
cf 1コリント12:4ーさて、御霊の賜物にはいろいろの種類がありますが、御霊は同じ御霊です。
1コリント12:7~11ーしかし、みなの益となるために、おのおのに御霊の現われが与えられているのです。
ある人には御霊によって知恵のことばが与えられ、ほかの人には同じ御霊にかなう知識のことばが与えられ、
またある人には同じ御霊による信仰が与えられ、ある人には同一の御霊によって、いやしの賜物が与えられ、
ある人には奇蹟を行なう力、ある人には預言、ある人には霊を見分ける力、ある人には異言、ある人には異言を解き明かす力が与えられています。
しかし、同一の御霊がこれらすべてのことをなさるのであって、みこころのままに、おのおのにそれぞれの賜物を分け与えてくださるのです。
1コリント12:29~30ーみなが使徒でしょうか。みなが預言者でしょうか。みなが教師でしょうか。みなが奇蹟を行なう者でしょうか。
みながいやしの賜物をもっているでしょうか。みなが異言を語るでしょうか。みなが解き明かしをするでしょうか。
【誤訳】
ローマ12:2bーすなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えなさい。
*変えなさい…努力や感情を否定するなど、自力で自分を変えるのはない。
【正訳】
ローマ12:2bーすなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えていただきなさい。
*心を変えてくださるのは、神様です。
*この聖句は、新共同訳や口語訳が正しく訳出していますので、参考にしてください。
新共同訳:ローマ12:2bーむしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。
口語訳:ローマ12:2bーむしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。
【誤訳】
ガラテヤ6:16ーどうか、この基準に従って進む人々、すなわち神のイスラエルの上に、平安とあわれみがありますように。
*すなわち…『=』という意味になり『この基準に従って進む人々=神のイスラエル』になってしまう。ここは『≠』であり、二つのグループ…ユダヤ人と異邦人の意味。
【正訳】
ガラテヤ6:16ーどうか、この基準に従って進む人々、そして神のイスラエルの上に、平安とあわれみがありますように。
*この基準に従って進む人々=異邦人信者。
神のイスラエル=ユダヤ人信者。
*教会時代の異邦人信者が『神のイスラエル』『霊的イスラエル』ではありません。
【誤訳】
ヘブル9:22ーそれで、律法によれば、すべてのものは血によってきよめられる、と言ってよいでしょう。また、血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはないのです。
*『ほとんど』が抜けています。律法によれば、幾つかの物は『水』や『火』できよめられましたから『すべてのものが血できよめられる』わけではありません。
cf 民数記31:23ーすべて火に耐えるものは、火の中を通し、きよくしなければならない。しかし、それは汚れをきよめる水でなければならない。火に耐えないものはみな、水の中を通さなければならない。
*原則は『律法によれば』であり、『罪の赦しに関しては、血によってきよめられる』ため、血が流される必要がありました。
【正訳】
ヘブル9:22ーそれで、律法によれば、ほとんどすべてのものは血によってきよめられる、と言ってよいでしょう。また、血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはないのです。
【誤訳】
1ペテロ2:2bーそれによって成長し、救いを得るためです。
*この訳出もまた、行ないによって救いをえようとする誤った信仰へと導く危険性があります。何度も言っているように、救いは『恵みにより、信仰によって』です。
【正訳】
1ペテロ2:2ー生まれたばかりの乳飲み子のように、純粋な、みことばの乳を慕い求めなさい。それによって、救いの中で成長を遂げて、完全な者となるためです。
(現代訳:それによって成長し、救いが完成するのである。)
NIV:so that by you may grow up in your salvation.
【誤訳】
1ペテロ3:19ーその霊において、キリストは捕われの霊たちのところに行ってみことばを宣べられたのです。
*捕われの霊たちのところ…へブル語:タータラス。死後 裁きを待つ所の一室で、創世記6章の墮天使たちを閉じ込めておく所。
*原文には『みことばを』という言葉はない。
【正訳】
1ペテロ3:19ーその霊において、キリストはタータラスに行って宣言されました。
*『みことばを宣べ伝えられた』という訳出は『死後にも救いがある』というセカンドチャンスの思想を与えかねない。聖書が伝える救いは、肉体が生きている間だけ。cf ルカ16:19~31。
おそらく、細かい点を言ったら他にも多々あると思いますが、原文の意図することと大幅に変わってしまう聖句で知っているものだけあげてみました。