サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

遊女ラハブの信仰

 

モーセの律法の中の一つに「偽証をしてはならない」という戒めがあります。

 

出エジプト記20:16ーあなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。

申命記5:20ーあなたの隣人に対し、偽証してはならない。

 

カナン人の遊女ラハブは、いくらイスラエルの斥候二人をかくまうためとはいえ、エリコの王の使いに対して偽証しました。

それでも、後にイスラエル民族の中に入り、キリスト・イエスの先祖に名を連ねることになったということが、長いこと理解できずにいました。

 

ヨシュア記2:3~7ーエリコの王はラハブのところに人をやって言った。「あなたのところに来て、あなたの家に入った者たちを連れ出しなさい。その者たちは、この地のすべてを探るために来たのだから。」
ところが、この女はそのふたりの人をかくまって、こう言った。「その人たちは私のところに来ました。しかし、私はその人たちがどこから来たのか知りませんでした。

その人たちは、暗くなって、門が閉じられるころ、出て行きました。その人たちがどこへ行ったのか存じません。急いで彼らのあとを追ってごらんなさい。追いつけるでしょう。」

彼女はふたりを屋上に連れて行き、屋上に並べてあった亜麻の茎の中に隠していたのである。

彼らはその人たちのあとを追って、ヨルダン川の道を渡し場へ向かった。彼らがあとを追って出て行くと、門はすぐ閉じられた。

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モーセの律法が誰に与えられたものだったのか、誰が守るべき戒めだったのかを理解したときに、この疑問の答えを得ました。

 

モーセの律法は全部で613もあり、その最初の十の戒めが俗に言う『モーセ十戒』であり、出エジプトをして七週間目に与えられました。

その『第一戒』をどこから始めるかを正しく理解することが重要です。

 

出エジプト記20:2~3ー「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、である。

あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。

 

これが『第一戒』です。

つまりモーセの律法は、出エジプトをした『イスラエルの民』に与えられたものであって、カナン人やほかの異邦人に与えられたものではありません。

なぜなら、カナン人をはじめとする異邦人は『エジプトの国、奴隷の家から連れ出されてはいない』からです。

だから、遊女ラハブにイスラエルの民に対する戒めを適用することはできません。

 

むしろ、ラハブの行為は『アブラハム契約』の祝福の約束によるものでした。

ラハブはイスラエルのふたりの斥候をかくまったのですから。

 

創世記12:3あなたを祝福する者をわたしは祝福し、

あなたをのろう者をわたしはのろう。

地上のすべての民族は、

あなたによって祝福される。

 

民数記24:5ーなんと美しいことよ。

ヤコブよ、あなたの天幕は。

イスラエル、あなたの住まいは。

 

民数記24:8~9彼をエジプトから連れ出した神は、

彼にとっては野牛の角のようだ。

かれはおのれの敵の国々を食い尽くし、

彼らの骨を砕き、彼らの矢を粉々にする。

雄獅子のように、また雌獅子のように、

彼はうずくまり、身を横たえる。

だれがこれを起こすことができよう。

あなたを祝福する者は祝福され、

あなたをのろう者はのろわれる。」

 

律法の時代、イスラエルの民も異邦人も二つのことを信じれば救われました。

イスラエルの神が、唯一真の神であること。

イスラエルの神だけが、唯一真の救い主であること。

 

イザヤ書43:10~11ーあなたがたはわたしの証人、

ーーの御告げーー

わたしが選んだわたしのしもべである。

これは、あなたがたが知って、わたしを信じ、

わたしがその者であることを悟るためだ。

わたしより先に造られた神はなく、

わたしより後にもない。

わたし、このわたしが、であって、

わたしのほかに救い主はいない。

 

カナン人の遊女ラハブは、この二つを信仰告白しています。

 

ヨシュア記2:8~13ーふたりの人がまだ寝ないうちに、彼女は屋上の彼らのところに上って来て、

その人たちに言った。「主がこの地をあなたがたに与えておられること、私たちはあなたがたのことで恐怖に襲われており、この地の住民もみな、あなたがたのことで震えおののいていることを、私は知っています。
あなたがたがエジプトから出て来られたとき、主があなたがたの前で、葦の海の水をからされたこと、また、あなたがたがヨルダン川の向こう側にいたエモリ人のふたりの王シホンとオグにされたこと、彼らを聖絶したことを、私たちは聞いているからです。
私たちは、それを聞いたとき、あなたがたのために、心がしなえて、もうだれにも、勇気がなくなってしまいました。あなたがたの神、主は、上は天、下は地において神であられるからです。
どうか、私があなたがたに真実を尽くしたように、あなたがたもまた私の父の家に真実を尽くすと、今、主にかけて私に誓ってください。そして、私に確かな証拠を下さい。
私の父、母、兄弟、姉妹、また、すべて彼らに属する者を生かし、私たちのいのちを死から救い出してください。

 

このラハブの信仰告白は、新約聖書の次の聖句を思い起こさせますよね?!

使徒4:10, 12ー皆さんも、またイスラエルのすべての人々も、よく知ってください。この人が直って、あなたがたの前に立っているのは、あなたがたが十字架につけ、神が死者の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのです。

この方以外には、だれによっても救いはありません。天の下でこの御名のほかに、私たちが救われるべき名は人に与えられていないからです。」

 

使徒16:31ーふたりは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」と言った。

 

その結果、マタイ1章の養父ヨセフの系図に例外的登場する、四人の異邦人の女性の中にラハブが含まれることになりました。

 

マタイ1:5サルモンに、ラハブによってボアズが生まれ、ボアズに、ルツによってオベデが生まれ、オベデにエッサイが生まれ、

 

カナン人の遊女ラハブは、イスラエル人のユダ族サルモンと結婚し、ボアズが生まれました。
キリストの型と言われるボアズは、父親のサルモンがイスラエル人のため、聖書的には『イスラエル人』となります。

 

モアブ人ルツもまた、イスラエル人の姑ナオミに対して「あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。」信仰告白をして、イスラエルの民に加えられ、ダビデ曽祖母となりました。

 

ルツ記1:16ールツは言った。「あなたを捨て、あなたから別れて帰るように、私にしむけないでください。あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。

 

地域教会で時々語られる「旧約時代の人々は、キリストの十字架を仰ぎ見て救われ、新約時代の人々は、キリストの十字架を振り返って救われる。」というのは間違いです。

アブラハムや族長たちの時代やラハブたちの時代の人々はまだ、キリストが十字架で死ぬことを知らされてはいませんでしたから。。。

十字架の預言を初めてしたのは、預言者イザヤですから(イザヤ書53章参照)、それ以前の人々には知らされていませんでした。

 

聖書理解は、文脈と時代背景が重要です。