ヨシュア記24:1ーヨシュアはイスラエルの全部族をシェケムに集め、イスラエルの長老たち、そのかしらたち、さばきつかさたち、つかさたちを呼び寄せた。彼らが神の前に立ったとき、
*シェケム…ヨシュア記8:30~35で、出エジプトをした時に二十歳未満だった者たちと荒野で生まれた次世代たちが、約束の地に入る前にモーセ契約を再確認した場所が『シェケム』でした。
モーセの律法の最初の十の戒め『十戒』は、聖書では二箇所に書かれています。
まず、出エジプトをした世代(二十歳以上だった世代)に語ったのが、出エジプト記20章。
そして、次世代の当時二十歳未満だった者たちと四十年間の荒野の旅の間に生まれた者たちに語ったのが、申命記5章です。(※その違いは、申命記5:15)
申命記11:29ーあなたが、入って行って、所有しようとしている地に、あなたの神、主があなたを導き入れたなら、あなたはゲリジム山には祝福を、エバル山にはのろいを置かなければならない。
ヨシュア記8:30~35ーそれからヨシュアは、エバル山に、イスラエルの神、主のために、一つの祭壇を築いた。
それは、主のしもべモーセがイスラエルの人々に命じたとおりであり、モーセの律法の書にしるされているとおりに、鉄の道具を当てない自然のままの石の祭壇であった。彼らはその上で、主に全焼のいけにえをささげ、和解のいけにえをささげた。
その所で、ヨシュアは、モーセが書いた律法の写しをイスラエルの人々の前で、石の上に書いた。
全イスラエルは、その長老たち、つかさたち、さばきつかさたちとともに、それに在留異国人もこの国に生まれた者も同様に、主の契約の箱をかつぐレビ人の祭司たちの前で、箱のこちら側と向こう側とに分かれ、その半分はゲリジム山の前に、あとの半分はエバル山の前に立った。それは、主のしもべモーセが先に命じたように、イスラエルの民を祝福するためであった。
それから後、ヨシュアは律法の書にしるされているとおりに、祝福とのろいについての律法のことばを、ことごとく読み上げた。
モーセが命じたすべてのことばの中で、ヨシュアがイスラエルの全集会、および女と子どもたち、ならびに彼らの間に来る在留異国人の前で読み上げなかったことばは、一つもなかった。
ヨシュア記24:2ーヨシュアはすべての民に言った。「イスラエルの神、主はこう仰せられる。『あなたがたの先祖たち、アブラハムの父で、ナホルの父でもあるテラは、昔、ユーフラテス川の向こうに住んでおり、ほかの神々に仕えていた。
*ユーフラテス川の向こうに住んでおり… 『ヘブル人』とは、ユーフラテス川を越えて来た『川向こうから来た人々』という意味であり、ユダヤ人たちが異邦人に対し、自分たちのことを指して使います。
ヨシュア記24:3ーわたしは、あなたがたの先祖アブラハムを、ユーフラテス川の向こうから連れて来て、カナンの全土を歩かせ、彼の子孫を増し、彼にイサクを与えた。
ここで語られていることは、『アブラハム契約』のことですね。
契約概念がない場合は理解するのが難しいかもしれません。
ヨシュア記24:4ーついで、わたしは、イサクにヤコブとエサウを与え、エサウにはセイルの山地を与えて、それを所有させた。ヤコブと彼の子らはエジプトに下った。
創世記の歴史を振り返りつつ、『アブラハム契約』をだれが引き継いだかが重要なポイントです。
*セイルの山地…現在の南ヨルダン『エドム』の地。
創世記36:8ーそれでエサウはセイルの山地に住みついたのである。エサウとはすなわちエドムである。
ヨシュア記24:5ーそれからわたしは、モーセとアロンを遣わし、エジプトに災害を下した。わたしがその真ん中で行ったとおりである。その後、あなたがたを連れ出した。
ここからは、出エジプト記の回想。
*モーセ…預言者/イスラエルのリーダー
*アロン…モーセの兄/初代大祭司
*モーセとアロン…父アムラム、母ヨケベデの間に生まれた兄(アロン)弟(モーセ)。ほかに、ミリヤムという女預言者の姉がいる。①ミリヤム、②アロン、③モーセの順。
出エジプト記15:20ーアロンの姉、女預言者ミリヤムはタンバリンを手に取り、女たちもタンバリンを持って、踊りながら彼女について出て来た。
民数記26:59ーアムラムの妻の名はヨケベデで、レビの娘であった。彼女はエジプトでレビに生まれた者であって、アムラムにアロンとモーセとその姉妹ミリヤムを産んだ。
ヨシュア記24:6ーわたしが、あなたがたの先祖たちをエジプトから連れ出し、あなたがたが海に来たとき、エジプト人は、戦車と騎兵とをもってあなたがたの先祖たちのあとを追い、葦の海まで来た。
*葦の海…紅海
ヨシュア記24:7ーあなたがたが主に叫び求めたので、主はあなたがたとエジプト人との間に暗やみを置き、海に彼らを襲いかからせ、彼らをおおわれた。あなたがたは、わたしがエジプトで行ったことをその目で見てから、長い間、荒野に住んだ。
*あなたがたが…直訳:彼らが 『神の初子イスラエル民族』として扱っておられる。
*エジプト人との間に暗やみを置き…イスラエルの民が紅海を無事渡り切るまでの神の守り。
出エジプト記14:19~20ーついでイスラエルの陣営の前を進んでいた*神の使いは、移って、彼らの後を進んだ。それで、雲の柱は彼らの前から移って、彼らのうしろに立ち、
エジプトの陣営とイスラエルの陣営との間にはいった。それは真暗な雲であったので、夜を迷い込ませ、一晩中、一方が他方に近づくことはなかった。
*神の使い…受肉前のメシア
ヨシュア記24:8ーそれからわたしはヨルダン川の向こう側に住んでいたエモリ人の地に、あなたがたを導き入れた。彼らはあなたがたと戦ったが、わたしは彼らをあなたがたの手に渡したので、あなたがたはその地を占領した。わたしが、あなたがたの前から彼らを根絶やしにしたからである。
ヨシュア記24:9ーそれから、モアブの王ツィポルの子バラクが立って、イスラエルと戦い、ベオルの子バラムに人をやって彼を呼び寄せ、あなたがたをのろわせようとした。
ヨシュア記24:10ーわたしはバラムに聞こうとしなかった。彼は、かえって、あなたがたを祝福し、わたしはあなたがたを彼の手から救い出した。
*ベオルの子バラム…イスラエルの民がモアブ国境近くまで来ており、今まさに神の約束の地カナンに入ろうという時に、モアブの王バラクはイスラエルの民を敵とみなし、反ユダヤ主義を採用した行動を起こしました。モアブの王バラクは、古代世界では名の知れた預言者バラムを呼び寄せ、巨額の金を積み、ユダヤ人を呪って欲しいと依頼しましたが、バラムは口を開く度に、神がその口を支配してイスラエルを祝福することばを発しました。民数記22~24章参照
ヨシュア記24:11ーあなたがたはヨルダン川を渡ってエリコに来た。エリコの者たちや、エモリ人、ペリジ人、カナン人、ヘテ人、ギルガシ人、ヒビ人、エブス人があなたがたと戦ったが、わたしは彼らを、あなたがたの手に渡した。
『アブラハム契約』の土地の約束の成就。最終的な成就は千年王国にて。
創世記15:18~21ーその日、主はアブラムと契約を結んで仰せられた。
「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。
エジプトの川から、
あの大川、ユーフラテス川まで。
ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、
ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、
エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人を。」
ヨシュア記24:12ーわたしは、あなたがたの前にくまばちを送ったので、くまばちがエモリ人のふたりの王をあなたがたの前から追い払った。あなたがたの剣にもよらず、またあなたがたの弓にもよらなかった。
*くまばち…別訳:『落胆』『疫病』 イスラエルの民に対する恐怖心
出エジプト記23:27~28ーわたしは、わたしへの恐れをあなたの先に遣わし、あなたがそこにはいって行く民のすべてをかき乱し、あなたのすべての敵があなたに背を見せるようにしよう。
わたしは、また、くまばちをあなたの先に遣わそう。これがヒビ人、カナン人、ヘテ人を、あなたの前から追い払おう。
ヨシュア記24:13ーわたしは、あなたがたが得るのに労しなかった地と、あなたがたが建てなかった町々を、あなたがたに与えたので、あなたがたはそこに住み、自分で植えなかったぶどう畑とオリーブ畑で食べている。』
*自分で植えなかったぶどう畑とオリーブ畑で食べている… ヨシュア記5:12ー彼らがその地の産物を食べた翌日から、マナの降ることはやみ、イスラエル人には、もうマナはなかった。それで、彼らはその年のうちにカナンの地で収穫した者を食べた。
申命記6:10~13ーあなたの神、主が、あなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地にあなたを導き入れ、あなたが建てなかった、大きくてすばらしい町々、
あなたがたが満たさなかった、すべての良い物が満ちた家々、あなたが掘らなかった掘り井戸、あなたが植えなかったぶどう畑とオリーブ畑、これらをあなたに与え、あなたが食べて、満ち足りるとき、
あなたは気をつけて、あなたをエジプトの地、奴隷の家から連れ出された主を忘れないようにしなさい。
あなたの神、主を恐れなければならない。主に仕えなければならない。御名によって誓わなければならない。
ヨシュア記2:14ー今、あなたがたは主を恐れ、誠実と真実をもって主に仕えなさい。あなたがたの先祖たちが川の向こう、およびエジプトで仕えた神々を除き去り、主に仕えなさい。
*川向こう…ユーフラテス川の向こう、ウルの地でアブラハムの父テラはほかの神々に仕えていました。
*エジプトで仕えた神々…エジプトには、太陽神ラーをはじめナイル川の神々や農業神など80もの神々があったと言われています。
ヨシュア記24:15ーもしも主に仕えることがあなたがたの気に入らないなら、川の向こうにいたあなたがたの先祖たちが仕えた神々でも、今あなたがたが住んでいる地のエモリ人の神々でも、あなたがたが仕えようと思うものを、どれでも、きょう選ぶがよい。私と私の家とは、主に仕える。」
*あなたがたが仕えようと思うものを、どれでも、きょう選ぶがよい…真の神を信じるのか、偶像の神々を信じるのか、人には信仰の自由があります。
*私と私の家とは【主】に使える…ヨシュアの信仰と立ち位置
ヨシュア記24:16ーすると、民は答えて言った。「私たちが主を捨てて、ほかの神々に仕えるなど、絶対にそんなことはありません。
ヨシュア記24:17ー私たちの神、主は、私たちと私たちの先祖たちを、エジプトの地、奴隷の家から導き上られた方、私たちの目の前で、あの数々の大きなしるしを行い、私たちの行くすべての道で、私たちの通ったすべての民の中で、私たちを守られた方だからです。
ヨシュア記24:18ー主はまた、すべての民、この地に住んでいたエモリ人をも、私たちの前から追い払われました。私たちもまた、主に仕えます。主が私たちの神だからです。」
熱しやすく、冷めやすいイスラエルの民…。
指導者コンプレックスのあるイスラエルの民…。
ヨシュアの信仰に感化され、このように答えてみたものの、この後何度も主を捨て、偶像の神々に仕えることになります。
ヨシュア記24:19ーすると、ヨシュアは民に言った。「あなたがたは主に仕えることはできないであろう。主は聖なる神であり、ねたむ神である。あなたがたのそむきも、罪も赦さないからである。
*あなたがたは【主】に仕えることはできないであろう…ヨシュアはイスラエルの民の本質を見破っていたようです。
*ねたむ神…イスラエルの民は民族として『神の初子』であり『長子』であり、御父の妻です。エゼキエル16章参照
その妻が夫である神を離れ、偶像の神々に行って仕えることは霊的姦淫の罪を犯すことになり、神は嫉妬されるということ。
ヨシュア記24:20ーもしあなたがたが主を捨てて、外国の神々に仕えるなら、あなたがたをしあわせにして後も、主はもう一度あなたがたにわざわいを下し、あなたがたを滅ぼし尽くす。」
*わざわいを下し…バビロン捕囚の原因は二つ。一つは『偶像崇拝の罪』と、もう一つは『土地の安息を守らなかった罪』。だから、偶像崇拝の本拠地であるバビロンに、土地の安息を守らなかった70回分にあたる七十年の間捕囚の民となって引いて行かれました。
ヨシュア記24:21ーそれで民はヨシュアに言った。「いいえ。私たちは主に仕えます。」
ヨシュアのことばを聞いて、イスラエルの民が主に仕えるという一度目の誓い。
ヨシュア記24:22ーそれでヨシュアは民に言った。「あなたがたは、主を選んで、主に仕えるという、自分自身の証人である。」すると彼らは、「私たちは証人です」と言った。
イスラエルの民が『主に仕える』という二度目の誓い。
ヨシュア記24:23ー「今、あなたがたの中にある外国の神々を除き去り、イスラエルの神、主に心を傾けなさい。」
ヨシュアは何度も念を押しています。
ヨシュア記24:24ー民はヨシュアに言った。「私たちは私たちの神、主に仕え、主の御声に聞き従います。」
イスラエルの民の三度目の誓い。
ヨシュア記24:25ーそれでヨシュアは、その日、民と契約を結び、シェケムで、おきてと定めを定めた。
*民と契約を結び…モーセは、神と出エジプトをした世代のイスラエルの民との契約の仲介者。ここでヨシュアは、次世代の約束の地に入るイスラエルの民との契約更新の仲介者となっています。
ヨシュア記24:6ーヨシュアは、これらのことばを神の律法の書にしるし、大きな石を取って、主の聖所にある樫の木の下に、それを立てた。
ヨシュア記24:27ーそして、ヨシュアはすべての民に言った。「見よ。この石は、私たちに証拠となる。この石は、主が私たちに語られたすべてのことばを聞いたからである。あなたがたが自分の神を否むことがないように、この石は、あなたがたに証拠となる。」
ヨシュア記24:28ーこうしてヨシュアは、民をそれぞれ自分の相続地に送り出した。
ヨシュア記24:29ーこれらのことの後、主のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。
*ヌンの子ヨシュア…もともとは『ホセア=救い』という名を親からもらっていた。
それがエフライム族の代表の斥候として選ばれたときに、モーセから『ヨシュア=主は救い』と名付けられました。
民数記13:8ーエフライム部族からはヌンの子ホセア。
民数記13:16ー以上は、モーセがその地を探らせるために遣わした者の名であった。
律法の代表者モーセは約束の地に入れず、約束の地の偵察から戻った十二人の斥候の中で、ユダ族代表のカレブと、『主は救い』という名をもらったヨシュアの二人が信仰による報告をし、出エジプト時に二十歳以上であったにもかかわらず、約束の地に入ることが許されました。
ヨシュアはモーセの後を継いでイスラエルのリーダーとなり、ヨルダン川を渡ってイスラエルの民を約束の地に導き入れました。
ここに、将来の『約束の地』であるキリストの御国『千年王国』へは、律法による行ないによる義ではなく、キリストの福音を信じる信仰による義によってという『型』があります。
ローマ9:30~33ーでは、どういうことになりますか。義を追い求めなかった異邦人は義を得ました。すなわち、信仰による義です。
しかし、イスラエルは、義の律法を追い求めながら、その律法に到達しませんでした。
なぜでしょうか。信仰によって追い求めることをしないで、行いによるかのように追い求めたからです。彼らは、つまずきの石につまずいたのです。
それは、こう書かれているとおりです。「見よ。わたしは、シオンに、つまずきの石、妨げの岩を置く。彼に信頼する者は、失望させられることがない。」
ヨシュア記24:30ー人々は彼を、エフライムの山地、ガアシュ山の北にある彼の相続の地境ティムナテ・セラフに葬った。
*エフライムの山地…ヨシュアはエフライム族出身
ヨシュア記24:31ーイスラエルは、ヨシュアの生きている間、また、ヨシュアのあとまで生き残って、主がイスラエルに行われたすべてのわざを知っていた長老たちの生きている間、主に仕えていた。
*ヨシュアのあとまで生き残って、主がイスラエルに行われたすべてのわざを知っていた長老たちの生きている間、【主】に仕えていた…ここにも『リーダーコンプレックス』が見受けられます。
ヨシュア記24:32ーイスラエル人がエジプトから携え上ったヨセフの骨は、シェケムの地に、すなわちヤコブが百ケシタでシェケムの父ハモルの子らから買い取った野の一画に、葬った。そのとき、そこはヨセフ族の相続地となっていた。
*ヨセフ族の相続地…ヨセフはルベンに代わって長子の権利を相続したので、相続地も二倍ーエジプトで生まれたヨセフの二人の息子『マナセ』と『エフライム』は、ヤコブに養子として受け入れられ、相続地が与えられました。マナセ族はヨルダン川を挟んで東と西に、西側のマナセ族に隣接してエフライム族の相続地があります。
シェケムはエフライムの地との境界線に近いマナセ族の相続地にあります。
ヨシュア記24:33ーアロンの子エルアザルは死んだ。人々は彼を、彼の子ピネハスに与えられていたエフライムの山地にあるギブアに葬った。
*アロンの子エルアザル…一方のアロンの家系はレビ族のため相続地はありません。