『異邦人の時』と聞くと、多くのクリスチャンが『恵みの時代』のこと、『異邦人が救われる教会時代』だと考えています。
しかし、『異邦人の時』と『異邦人の完成のなる時』は違います。
*異邦人の完成のなる時…これが『教会時代』です。
ローマ11:25ー兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていただきたい。それは、あなたがたが自分で自分を賢いと思うことがないようにするためです。その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、
『教会時代』はペンテコステで始まり、生きているすべての真の信仰を持ったクリスチャンが挙げられる『携挙』をもって終わります。
神様が定めたすべての異邦人の救いの数が満ちた時、『携挙』は起きます。
*恵みの時代…救い主イエス・キリストの初臨〜地上再臨までが『恵みの時代』です。キリストを信じる『信仰による救い』の恵みがある期間を指します。従って、次に来る『七年間の患難時代』にも、前半は『異邦人の大リバイバル』、後半は『イスラエルのレムナントの救い』がありますから、『恵みの時代』と言えるわけです。(ただし、患難時代は “命がけの信仰” が求められますが…💦)
*異邦人の時…一方、『異邦人の時』というのは、異邦人中心に考えるのではなく『エルサレム』中心に考えると分かり易いです。つまり、『エルサレム』が誰に支配されているのか?…本来の神の選びの民である『ユダヤ人』に支配されているのか、『異邦人』によって支配されているのか、ということです。
主イエスは、次のように教えられました。
ルカ21:24ー人々は、剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれ、異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。
では、この『異邦人の時』というのは、いつ始まったのでしょうか?
初めて『エルサレム』を踏み荒らしたのは、BC586年バビロンの王ネブカデネザルによる第三回バビロン捕囚の時でした。この時から『異邦人の時』が始まったのです。
Ⅱ列王記25:7~9ー彼らはゼデキヤの子らを彼の目の前で虐殺した。王はゼデキヤの両目をえぐり出し、彼を聖堂の足かせにつないで、バビロンへ連れて行った。
第五の月の七日ーそれは、バビロンの王ネブカデネザル王の第十九年であった。ーバビロンの王の家来、侍従長ネグザルアダンがエルサレムに来て、
主の宮と王宮とエルサレムのすべての家を焼き、そのおもだった建物をことごとく火で焼いた。
バビロニア帝国がメド・ペルシャ連合帝国に倒された後、ユダヤ人たちは約束の地に帰還命令が出され、『エルサレムの都』と『神殿』の再建命令が出されました。その時の王が旧約の異邦人で唯一、油そそがれたペルシャの王『クロス』です。しかし、エルサレムは政治的には、ペルシャ帝国の支配下に置かれました。
イザヤ書44:28~45:1aーわたしはクロスに向かっては、「わたしの牧者、
わたしの望む事をみな成し遂げる。」と言う。
エルサレムに向かっては、
『再建される。
神殿は、その基が据えられる。』と言う。」
主は、油そそがれた者クロスに、
こう仰せられた。
ペルシャ帝国が衰退し、代わりにアレキサンドロス大王率いるギリシャ帝国に、エルサレムの支配は移されました。アレキサンドロス大王が病気で亡くなると、ギリシャ帝国は『ギリシャ』『小アジア』『シリヤ』『エジプト』に四分割されました。
シリヤの『アンティオコス・エピファネス四世』はユダヤ人根絶を図り、バビロン捕囚後に再建した『第二神殿』での礼拝を禁じ、代わりに豚を捧げるための偶像を設置して、神の神殿を汚し、ユダヤ人たちに偶像崇拝を強要し、従わない者は拷問し、聖書の写本を焼き払いました。このようなわけで、アンティオコス・エピファネス四世は『反キリストの型』と言われています。
これは、旧約聖書と新約聖書のちょうど中間時代に起きました。ですから、この時もエルサレムは、異邦人によって踏み荒らされていたのです。
この時、民の中から立ち上がり、神殿を奪還し、宮をきよめたのが『ユダ・マカベア』です。(詳しく知りたい方は、外典:マカバイ記上・下をお読みください。)
それを記念したのが、『ハヌカの祭り(宮きよめ)』です。
異邦人の庭 ⑵ 〜ハヌカの祭り・ゼルバベル神殿〜 - サザエのお裾分け
この後、百年間はユダヤ独立時代を迎えますが、エルサレムは再び異邦人の国、ローマ帝国の支配下に置かれます。
イエス様の時代のイスラエルの王は、ユダヤ人ではなくエドム人でした。
さらにAD70年にはメシアを拒んだ罪により、神殿は崩壊し、エルサレムは焼き払われ、遂には『イスラエル』という国そのものを失い、ユダヤ人は離散の民となりました。
1948年にイスラエルは建国され、1967年にはエルサレムの旧市街を奪還したものの、現在でもそこにはイスラム教の岩のドームが建っています。
やがて患難時代前半には、第一、第二神殿があった旧市街に『第三神殿』が建ち、エルサレムは再びユダヤ人の支配下に置かれますが、患難時代後半は『反キリスト』によって、至聖所に反キリストの『獣の像』が設置され、異邦人に踏み荒らされることになります。
『異邦人の時』は、キリストの地上再臨により反キリストが滅ぼされるまで続きます。
時代的には『恵みの時』と重なりますが、始まりはBC586年であり、恵みの時代より長いのです。