ヘブル書の著書が記す五つの比較のうち二つ目は、『信者たちにはより優れた祭司がいる』ということです。イエスの祭司職は、アロンの位に優る『メルキゼデクの位』に基づきます。
〜祭司に必要な四つの条件〜
ヘブル5:1ー大祭司はみな、人々の中から選ばれ、神に仕える事がらについて人々に代わる者として、任命を受けたのです。それは、罪のために、ささげ物といけにえとをささげるためです。
①大祭司はみな、人々の中から選ばれ…祭司は、神に対して人間の代表をするため、人間である必要がありました。御使いでは無効であり、神でさえこの役割りを担うことはできないため、神の子が祭司となるために人間となられたのです。
*大祭司はみな…すべての祭司制度に適用されます。
*人に代わる者として、任命を受けた…祭司は、人間を代表します。
②罪のためにささげ物といけにえとをささげるため…大祭司は『ささげ物といけにえとをささげるため』の祭司制度で、その役割りを演じなければなりません。
*いけにえ…血の犠牲のこと。
*ささげ物…『いけにえ』とともにささげられる穀物のこと。 すべての祭司は、祭司制度の秩序の中で機能します。
ヘブル5:2ー彼は、自分自身も弱さを身にまとっているので、無知な迷っている人々を思いやることができるのです。
③無知な迷っている人々を思いやることができる…祭司は思いやりの心を持ち、人々の代表者として、人々が経験することを祭司も経験していなければなりません。それにより『思いやること』ができるのです。
イエスは、すべての人類が経験する試練に苦しみました。
*思いやる…ギリシャ語:『荒々しい態度を取ることなく耐える』『他の人々を優しく節度を持って扱う』、 バランスを保つために『何か間に入る』『関わる』の意。
つまり、彼は無知な迷っている人々に、バランスをもたらすことができる必要があるということです。
*無知…罪の源。無知のゆえに様々な罪があります。
*迷っている…罪による結果。
大祭司は、この無知な人々と迷っている人々を思いやり、バランスをとらなければならないのです。彼は弱さや罪のために憐れみ深いというわけではなく、共通の体験を持っているからこそ憐れみ深いのです。
ヘブル5:3ーそしてまた、その弱さのゆえに、民のためだけでなく、自分のためにも、罪のためのささげ物をしなければなりません。
*自分のためにも、罪のためのささげ物をしなければなりません…人間の祭司にある、一つだけ不利な点。彼らは民のためにささげ物をささげる前に、自分自身が清められたため、まず自らの罪のためにささげ物をささげる必要がありました。
これが、地上のレビ的祭司です。
しかし、天上の大祭司には罪がなく、常に清いお方です。
ヘブル5:4ーまただれでも、この名誉は自分で得るのではなく、アロンのように神に召されて受けるのです。
④神に召されて受ける…神に対して祭司は人間を代表するため、神によって任命されなくてはなりません。祭司は誰も、自分でその職につくように選択することはできません。
*アロンのように…アロンは祭司になるようにと、神に召されました。
出エジプト記28:1ーあなたは、イスラエル人の中から、あなたの兄弟アロンとその子、すなわち、アロンとその子のナダブとアビフ、エルアザルとイタマルを、あなたのそばに近づけ、祭司としてわたしに仕えさせよ。
神の認定なしに祭司になろうとする者は誰でも、神に拒否されました。
民数記16:1~15…コラはアロンに反逆を企てましたが、神は地が彼を飲み込むようにして彼を殺されました。
1サムエル13:5~14…サウル王は、サムエルが到着するのを待ちきれずに、祭司職を取りいけにえを捧げようとしました。その結果、神はサウルの王権を取り去り、代わりに主からの悪い霊を送られました。そして、ダビデを代わりに王として認定されました。
Ⅱ 歴代誌26:16~23…ウジヤ王は祭司ではなく、自分ではその権利がないのに、香を焚こうとして、神によってレプラで打たれました。
*だれでも、この名誉は自分で得るのではなく…否定形
*神に召されて受ける…肯定形
*アロンのように…例
①〜④が、祭司となるための条件です。
イエスが祭司となるためには、この『四つの条件』をすべて満たさなくてはなりませんでした。