サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

ヘブル人への手紙 11:8~10 〜族長たちの信仰『アブラハム』〜

『信仰の父』と言われるアブラハムは、幾つもの点で信仰生活のすぐれた『例』を示しています。

神は、このアブラハムと契約を結ばれました。それが『アブラハム契約』であり、片務契約なので神だけが約束を守る責任を負っています。

アブラハム契約』の条項は、三つー①子孫、②土地、③祝福です。

 

この契約はまた、聖書全体の骨子となる重要な契約でもあるので、まだよくわからないという方は、これを機にぜひ学んでみてくださいね。

 

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ヘブル11:8ー信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました。

 

*これに従いギリシャ語では、行動が同時に起こったことを意味する現在分詞が使われているので、アブラハムが召しを受けると『直ちに』従ったことを意味しています。 

つまり、『神がまだ話されている間に、アブラハムはすぐに従うために立ち上がっていた』の意。

 

 アブラハムの信仰による、神のみことばに対する迅速な応答と行動が示されました。

 

しかし、アブラハムが最初にカルデヤの地ウル(後のハラン)を出たとき、彼は『どこに行くのか』を知りませんでした。ただ彼が知っていたのは『神が行くようにと、彼に話された』ことだけでした。

 

創世記12:1~3ー主はアブラムに仰せられた。  

「あなたは、

あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、  

わたしが示す地へ行きなさい。

そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、  

あなたを祝福し、  

あなたの名を大いなるものとしよう。  

あなたの名は祝福となる。

あなたを祝福する者をわたしは祝福し、  

あなたをのろう者をわたしはのろう。  

地上のすべての民族は、  

あなたによって祝福される。」

 

目的地がわからないまま、最初の一歩を踏み出すだけの信仰がすでにアブラハムにはあったということですね。

そして、彼は神が止まるように言われるまで歩き続けたのです。

 

アブラハム信仰の巡礼を示しています。

 

 

9~10節で、アブラハムが示したもう一つの信仰は『他国人になること』によってです。 

 

ヘブル11:9ー信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに天幕生活をしました。

 

*他国人のようにしてアブラハムは神により相続財産として与えられた地に、所有者としてではなく『他国人』として来ました。彼は『約束の地』で寄留者のようにして天幕に住んだのです。

 

*住むギリシャ語では『仮設住宅に寄留者として住む』ことを意味します。

アブラハムは『約束の地』に入ってから死ぬまでの残りの人生を『天幕』に住んでいました。

 

*同じ約束をともに相続するアブラハムには全部で八人の息子たちがいましたが、『アブラハム契約』を相続したのは、約束の子イサクでした。創世記16:16, 21:5, 25:1~2

イサクには双子の息子がいましたが、『アブラハム契約』を相続したのはヤコブでした。創世記25:26

これが、契約の神をあらわすアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』が意味することです。 

 

アブラハム契約』を相続したイサクとヤコブも、相続地にいながら寄留者として天幕生活していたのです。

 

なぜ、そう出来たのでしょう?

アブラハム契約』の成就にどれほどの時間がかかろうとも…たとえそれが、自分が墓に葬られ、将来の復活を越えて果たされるという意味だとしても、神が約束されたとおり、いつか必ず『約束の地を所有する』とアブラハムは信仰によって確信していたからです。

 

 

ヘブル11:10ー彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。

 

*堅い基礎の上に建てられた都…『天のエルサレム』のこと。

天のエルサレムに関して、ヘブル書の中であと3回言及されていますが、多くの情報は与えられていません。

 

ヘブル11:16ーしかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。事実、神は彼らのために都を用意しておられました。

 

ヘブル12:22ーしかし、あなたがたは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の御使いたちの大祝会に近づいているのです。

 

ヘブル13:14ー私たちは、この地上に永遠の都を持っているのではなく、むしろ後に来ようとしている都を求めているのです。

 

*天のエルサレム黙示録21:1~22:5で若干詳細が記されています。 

 

アブラハムが信じた『天のエルサレム』は、彼の最終的な目的地『約束の地』でした。

誤解しないように気をつけなくてはいけないことは、『天のエルサレム』は約束の地『カナン』の代わりではなく、それに加えて与えられるものだということ!

 

『約束の地カナン』をアブラハムたちが受け継ぐのは、肉体の復活後『メシア的王国/千年王国』で実現します。その後、永遠の秩序である『天のエルサレム』を受け継ぐということです。

 

これが、アブラハムの忍耐の秘訣でした。

信仰の忍耐の良い例として、アブラハムの生涯から学ぶことが可能です。