11~12節は、アブラハムの妻サラの信仰について記されています。
ヘブル11:11ー信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約束してくださった方を真実な方と考えたからです。
*約束してくださった方を真実な方と考えた…この内容は、サラが『不信仰から笑った』とする創世記の記述と矛盾するように思えます。
創世記18:12ーそれでサラは心の中で笑ってこう言った。「老いぼれてしまったこの私に、何の楽しみがあろう。それに主人も年寄りで。」
この時、サラが『心の中で笑った』のは、彼女の信仰がまだ練られてなかったからでした。
*子を宿す…ギリシャ語:『精子を預けておくこと』を意味。配役は女性(ここでは、サラ)ですが、実際は男性(ここでは、アブラハム)の行為です。
これは、著者が記している『信仰』が、サラの信仰ではなく、夫である『アブラハムの信仰』に言及していることを意味します。 サラに子を宿す力を与えたのはアブラハムの信仰であり、その点においてサラは『信仰によって、アブラハムと一つとなった』のです。
ここの強調点は、サラ自身にはこの信仰がなく、アブラハムにその信仰があったということ。 アブラハムとの結合により子を宿したのですから、『子を宿す』は動詞として『結合が与えられた』という意味でとる必要があります。
*その年を過ぎた身であるのに…『既に、更年期を過ぎていた』の意。つまり、出産適齢期を過ぎていたということ。
*約束してくださった方を真実な方と考えた…イサクが誕生した時に、サラは神が『約束されたことを守られた』ということを (経験により) 知ったのです。 サラ自身が母親になるという信仰は持っていなかったように思えますが、アブラハムに女奴隷ハガルを与えたことも『アブラハムが息子を持つ』という神の約束を信じていたことを示しているのです。
創世記16章で、女奴隷ハガルを与えた後、18章では二つのメッセージと共に神の顕現がありました。
①サラ自身が男の子を生む…サラは、この知らせを聞いた時、不信仰にも心の中で笑いました。創世記18:12
創世記18:10ーするとひとりが言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずあなたのところに戻って来ます。そのとき、あなたの妻サラには、男の子ができている。」サラはその人のうしろの天幕の入口で、聞いていた。
②ソドムとゴモラは滅ぼされる…これは、すぐに成就しました。
創世記18:20ーそこで主は仰せられた。「ソドムとゴモラの叫びは非常に大きく、また彼らの罪はきわめて重い。
創世記19:24~25ーそのとき、主はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の主のところから降らせ、
これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた。
このことがすぐに成就したということは、最初の宣言①も成就するという信仰をサラに与えました。
ヘブル11:12ーそこで、ひとりの、しかも死んだも同様のアブラハムから、天の星のように、また海べの数えきれない砂のように数多い子孫が生まれたのです。
*そこで…12節は、結果を述べています。
アブラハムの信仰の結果は、死んだも同様の(すでに繁殖力のない、の意)アブラハムから、『天の星のように、海べの砂のように』数多い子孫が生まれました。
創世記22:17ーわたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。
この約束どおり、アブラハムはユダヤ人国家の父となっただけでなく、現在のアラブ諸国を形成するいくつかの国々の父となりました。(*日ユ同祖論ではありません)