サザエのお裾分け

聖書を字義通り&文脈に沿って学び、理解したことの中からのお裾分け。内容は鵜呑みにせず、必ずご自分で聖書を開いて確認してくださいね。聖書理解の助けになれば幸いです。† 栄光在主 †

イザヤ書14章 〜バビロンの王とは誰か〜

先日のバイスタで「イザヤ14章は “バビロンの王” と “堕落時のサタン” との『二重預言』ではないのか?」という質問を受けました。

聖書は本当に『二重預言』という形式をとっているのでしょうか?

よく『二重預言』だと言われるマタイ24:14~21、ルカ21:20~23は『しるし』が異なる二つの事柄をそれぞれが預言しているのであって、二重預言ではありません。

 

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今回は、イザヤ14章が『二重預言』かどうかを検証してみたいと思います。

 

イザヤ14:1ーまことに、主はヤコブをあわれみ、再びイスラエルを選び、彼らを自分たちの土地にいこわせる。在留異国人も彼らに連なり、ヤコブの家に加わる。

 

患難時代の終わりに起こる『ハルマゲドンの戦い』の際に、世界の首都となっていたバビロンの崩壊が起こります。 

 

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 と、同時にキリストの地上再臨の三日前からイスラエルの民族的回心が起こります。 

イスラエルの回復のためには、イスラエルの根絶を狙うバビロンが崩壊している必要があります。その上で、神は『イスラエルはみな救われるーローマ11:26』の約束を守り、アブラハムに約束された地に彼らを帰還させます。

 

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*在留異国人の彼らに連なり、ヤコブの家に加わる…異邦人たちは、ユダヤ人たちが『約束の地』に帰還するのを助けます。

 

イザヤ14:2ー国々の民は彼らを迎え、彼らの所に導き入れる。イスラエルの家は主の土地でこの異国人を奴隷、女奴隷として所有し、自分たちをとりこにした者をとりこにし、自分たちをしいたげた者を支配するようになる。

 

患難時代にユダヤ人たちを迫害し、虐げていた異邦人たちがユダヤ人のしもべとなります。 

 

イザヤ14:3ー主が、あなたの痛み、あなたへの激しい怒りを除き、あなたに負わせた過酷な労役を解いてあなたをいこわせる日に、

 

3節から『再記述の法則』によって、バビロンの崩壊について再び記されています。 

*あなたをいこわせる日にイスラエルを虐げてきたバビロンが取り除かれるので、ユダヤ人たちは『メシア的王国/千年王国』で憩うことができるのです。

 

イザヤ14:4ーあなたは、バビロンの王について、このようなあざけりの歌を歌って言う。

 「しいたげる者はどのようにして果てたのか。

 横暴はどのようにして終わったのか。

 

*バビロンの王…反キリスト。

彼が支配した患難時代の後半三年半の『反キリストの王国』が終わったということ。

 

イザヤ14:5ー主が悪者の杖と、支配者の笏とを折られたのだ。

*杖と、支配者の笏とを折られた…支配権が失われた、の意。 

 

イザヤ14:6ー彼は憤って、国々の民を打ち、絶え間なく打ち、

 怒って、国々を容赦なくしいたげて

 支配したのだが。

 

反キリストがどのように患難時代後半を支配していたのかということ。

 

 

イザヤ14:7ー全地は安らかにいこい、

 喜びの歌声をあげている。 

イザヤ14:8ーもみの木も、レバノンの杉も、

 あなたのことを喜んで、言う。

 『あなたが倒れ伏したので、

 もう、私たちを切る者は上って来ない。』

 

7〜8節は、バビロンの崩壊を喜び、高揚の歌が歌われることの預言。 

 

 

イザヤ14:9ー下界のよみは、

 あなたの来るのを迎えようとざわめき、

 死者の霊たち、

 地のすべての指導者たちを

 揺り起こし、

 国々のすべての王を、

 その王座から立ち上がらせる。

 

*下界のよみ…ヘブル語:シオール=旧約時代には『すべての死者が行く場所』とされていた。(ギリシャ語:ハデス)

 

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よみに下った反キリストを見た死者たちが驚き、ざわめく様子。

*死者…ヘブル語:影。

よみに存在する影のようにされた者たちが、突如暗闇から出現するが、再び影に戻り、無活動の状態に戻って行くというニュアンスがあります。

 

イザヤ14:10ー彼らはみな、あなたに告げて言う。

 『あなたもまた、私たちのように弱くされ、

 私たちに似た者になってしまった。』

 

死者たちは驚きのあまり影から出現して、このように語り、再び影に戻っていくということ。 

 

イザヤ14:11ーあなたの誇り、あなたの琴の音はよみに落とされ、

 あなたの下には、うじが敷かれ、

 虫けらが、あなたのおおいとなる。

 

患難時代後半に天下を取り、贅沢品の上を歩いていた反キリストが、よみではうじや虫けらの上を歩くようになるということ。

 

 

9〜11節で反キリストがよみに下ることが預言され、12〜15節では『反キリストを操るサタン』の堕落時について記されています。

イザヤ14:12ー暁の子、明けの明星よ。

 どうしてあなたは天から落ちたのか。

 国々を打ち破った者よ。

 どうしてあなたは地に切り倒されたのか。

 

*暁の子、明けの明星…ヘブル語:ヘレル/morning star, day star の意。

ラテン語で “day star” のことを『ルシファ』と呼ぶため、サタンを指して『ルシファ』が用いられることが多い。

『星』が象徴的に用いられる場合、例外無しに『天使』を指します。

『落ちる』という場合は堕天使、『下りる』という場合は聖なる天使というように、堕天使かどうかは文脈で判断します。

 

イザヤ14:13ーあなたは心の中で言った。

 『私は天に上ろう。

 神の星々のはるか上に私の王座を上げ、

 北の果てにある会合の山にすわろう。

 

13~14節はサタンの堕落の原因:英訳では、五つの “I WILL” (〜してやろう)という意思表示が用いられています。

①私は天に上ろう…最も高い地位に就いてやろう、の意。

②神の星々のはるか上に私の王座を上げ…『星々』とは、天使たちのこと。天使長ミカエルの地位を狙おう、の意。

③北の果てにある会合の山にすわろうユダヤ人に対する神のご計画を知ったサタンが、メシア的王国におけるイスラエルの地位を奪おう、の意。

 

イザヤ14:14ー密雲の頂に上り、

 いと高き方のようになろう。』

 

④蜜雲の頂に上り…『雲』が象徴的に用いられているときは、『シャカイナ・グローリー』を指す。

⑤いと高き方のようになろう…神のように天と地の所有者になろう、の意。

 

ここまでは、サタンの堕落時(過去)に起きたこと。

 

これら五つの “I WILL” は、反キリストが患難時代中期に宣言する内容。

ダニエル7:25ー彼は、いと高き方に逆らうことばを吐き、

 いと高き方の聖徒たちを滅ぼし尽くそうとする。

 彼は時と法則を変えようとし、

 聖徒たちは、ひと時とふた時と半時の間、

 彼の手にゆだねられる。

 

ダニエル11:36ーこの王は、思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高め、大いなるものとし、神の神に向かってあきれ果てるようなことを語り、憤りが終わるまで栄える。定められていることが、なされるからである。

 

黙示録13:6ーそこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。

 

イザヤ14:15ーしかし、あなたはよみに落とされ、

 穴の底に落とされる。

 

15節は将来、サタンにも反キリストにも起きることを預言しています。

反キリストは、患難時代の中期に短時間『よみ/アビス』に落とされ、すぐに復活してきますが、サタンは千年王国が始まる前に『よみ/アビス』に閉じ込められ、千年間そこで過ごします。 

 

 

イザヤ14:16ーあなたを見る者は、あなたを見つめ、

 あなたを見きわめる。

 『この者が、地を震わせ、王国を震え上がらせ、

 

16~20節は、患難時代の終わりに反キリストの死体がどのように扱われるかについて記されています。 

*あなたを見る者…患難時代中期に地上に住んでいる者たち。

反キリストの死体を見た人々の驚きの表現。

 

イザヤ14:17ー世界を荒野のようにし、町々を絶滅し、

 捕虜たちを家に帰さなかった者なのか。』

 

16b~17節の人々の質問から、その驚きが伺えます。 

 

イザヤ14:18ーすべての国の王たちはみな、

 おのおの自分の墓で、尊ばれて眠っている。

 

18~20節は、反キリストの死体が埋葬されないことを強調しています。

しかし、反キリスト以外のすべての王たちは、尊ばれて眠っています。 

 

イザヤ14:19ーしかし、あなたは、忌みきらわれる若枝のように

 墓の外に投げ出された。

 剣で刺し殺されて墓穴に下る者でおおわれ、

 踏みつけられるしかばねのようだ。

 

*墓の外に投げ出された…反キリストは自らの墓を用意していましたが、そこに納められることはなく、墓の外に投げ出されることになります。

 

剣で刺し殺されて墓穴に下る者でおおわれ、踏みつけられるしかばねのようだ…反キリストの死体は、ユダヤ人たちを根絶しようと自らが所有していた軍隊の死体で覆われることになります。

 

イザヤ14:20ーあなたは墓の中で彼らとともになることはない。

 あなたは自分の国を滅ぼし、

 自分の民を虐殺したからだ。

 悪を行う者どもの子孫については

 永久に語られない。

 

*自分の国を滅ぼし、自分の民を虐殺したから…反キリストの死体が埋葬されない理由。より明確な理由は、黙示録19:20。

 

黙示録19:20ーすると、獣は捕らえられた。また、獣の前でしるしを行い、それによって獣の刻印を受けた人々と獣の像を拝む人々とを惑わしたあのにせ預言者も、彼といっしょに捕らえられた。そして、このふたりは、硫黄の燃えている火の池に生きたままで投げ込まれた。

 

 Ⅱテサロニケ2:8ーその時になると、不法の人が現れますが、主は御口の息をもって彼を殺し、来臨の輝きをもって滅ぼしてしまわれます。

 

イザヤ14:21ー先祖の咎のゆえに、

 彼の子らのために、ほふり場を備えよ。

 彼らが立って地を占領し、

 世界の面を彼らの町々で満たさないためだ。」

 

21~23節は結果です。 

①反キリストの王国の王家の滅亡。

 

イザヤ14:22ー「わたしは彼らに向かって立ち上がる。――万軍の主の御告げ――わたしはバビロンからその名と、残りの者、および、後に生まれる子孫とを断ち滅ぼす。――主の御告げ――

 

②患難時代の世界の首都バビロンの人口、生き残った者、子孫の滅亡。 

 

イザヤ14:23ーわたしはこれを針ねずみの領地、水のある沢とし、滅びのほうきで一掃する。――万軍の主の御告げ――」

 

③反キリストの都バビロンの領土の滅亡。 

エデンの園』の回復と言われる千年王国において、二つの荒廃した地があります。その一つが『バビロン』で、もう一つの『ボツラ』と同じように 悪霊たちが閉じ込められる場所として煙が立ち上る地となります。

エレミヤ50:39~40ーそれゆえ、そこには荒野の獣が山犬とともに住み、だちょうがそこに住む。もう、いつまでも人は住まず、代々にわたって、住む人はない。

神がソドムと、ゴモラと、その近隣を滅ぼされたように、ーーの御告げーーそこには人が住まず、そこには人の子が宿らない。

 

エレミヤ51:41~43ああ、バビロンは攻め取られ、

全地の栄誉となっていた者は捕らえられた。

ああ、バビロンは国々の間で恐怖となった。

海がバビロンの上にのしかかり、その波のざわめきにそれはおおわれた。

その町々は荒れ果て、

地は砂漠と荒れた地となり、だれも住まず、

人の子が通りもしない地となる。

 

バビロンの荒廃は完全であり、ソドムとゴモラのような人の住めない地、人の子が通りもしない地となります。

 

イザヤ14:24ー万軍の主は誓って仰せられた。

 「必ず、わたしの考えたとおりに事は成り、

 わたしの計ったとおりに成就する。

 

24節からは、アッシリヤの崩壊について記されています。

*万軍の主は誓って… 神ご自身が誓われています。神はご自身より上の存在をお持ちではないため、自らを指して誓われます。

ポイントは、『神が約束された事は、必ずそのようになる』ということ。

 

イザヤ14:25ーわたしはアッシリヤをわたしの国で打ち破り、

 わたしの山で踏みつける。

 アッシリヤのくびきは彼らの上から除かれ、

 その重荷は彼らの肩から除かれる。

 

*わたしはアッシリヤをわたしの国で打ち破り…約束された内容。

 『わたしの国』…新共同訳:わたしの領土で。アッシリヤに地ではなく、『イスラエルの地』でという意味。

 

イザヤ10:5ーああ。

アッシリヤ、わたしの怒りの杖。(新共同訳:神の手の中にある憤りの杖)

彼らの手にあるわたしの憤りのむち。

 

『怒り/憤りの杖』が、イスラエルの地でこれから折られようとしています。その成就が、イザヤ37:36にあります。

 

イザヤ37:36の使いが出て行って、アッシリヤの陣営で、十八万五千人を打ち殺した。人々が翌朝早く起きて見ると、なんと、彼らはみな、死体となっていた。

 

ここでイザヤが言及しているのは、アッシリヤの王セナケリブ(BC705~681年)が国を治めていた時のアッシリヤです。アッシリヤがイスラエルの地で崩壊する結果、くびきと重荷がが取り除かれるということ。

 

イザヤ14:26ーこれが、全地に対して立てられたはかりごと、

 これが、万国に対して伸ばされた御手。

 

*はかりごと…神は、全地に対してご計画を持っておられます。

 

*万国に対して伸ばされた御手…それは『裁き』であり、イザヤが預言した後に最初に打たれた国がアッシリヤです。

 

イザヤ14:27ー万軍の主が立てられたことを、

 だれが破りえよう。

 御手が伸ばされた。

 だれがそれを戻しえよう。」

 

*だれが破りえよう…神がご計画されたことを破棄できる者はいない。

 

 *だれがそれを戻しえよう…裁きにむけて伸ばされた御手を差戻す者もいません。

 

28~31節は、ペリシテの崩壊について語られています。

イザヤ14:28ーアハズ王が死んだ年、この宣告があった。

 

*アハズ王が死んだ年…BC727年にこの預言は与えられました。また、この年はアッシリヤの王ティグラテ・ピレセル3世が死んだ年でもあります。 

 

イザヤ14:29「喜ぶな、ペリシテの全土よ。

 おまえを打った杖が折られたからと言って。

 蛇の子孫からまむしが出、

 その子は飛びかける燃える蛇となるからだ。

 

*ペリシテの全土よ…もれなく、の意。来たるペリシテに対する裁き。 

当時、ペリシテは『アシュケロン』『アシュドデ』『ガザ』『エクロン』『ガテ』の五つの町、五人の王によって統合された国でした。

つまり、神の裁きはこれらすべての町々に望むということです。

 

*おまえを打った杖ダビデの家、つまり、ダビデの家はアッシリヤによって打たれ、そのことをペリシテ人たちは喜んでいた。

しかし、そのことを29節後半の理由で「喜ぶな」と言われています。

 

*蛇…アハズ王のこと。『まむし』や『燃える蛇』に比べ、穏やか。

アハズ王が占領していた ペリシテの地は失われました。

Ⅱ歴代誌28:18ペリシテ人は、ユダの低地およびネゲブにある町々に突入し、ベテ・シェメシュとアヤロンとゲデロテ、およびソコとそれに属する村落、ティムナとそれに属する村落と取って、そこに住んだ。

 

*まむし…アハズ王の子、ヒゼキヤ王のこと。(まむしには、毒性がある)

父アハズ王の治世で失われたペリシテの地のほとんどが、ヒゼキヤ王の時代に回復しました。

Ⅱ列王記18:8ー彼はペリシテを打ってガザにまで至り、見張りのやぐらから城壁のある町に至るその領土を打ち破った。

 

*燃える蛇…メシア(死に至る)

メシアの統治によって、ペリシテの地は完全にイスラエルの占領下となり、ペリシテの存在は抹消されます。

千年王国においてイスラエルのものとなる神がアブラハムに約束された地は、こうして成就します。

 

30~31節は、裁きの結果です。

イザヤ14:30ー寄るべのない者たちの初子は養われ、

 貧しい者は安らかに伏す。

 しかし、わたしは、おまえの子孫を

 飢えで、死なせる。

 おまえの残りの者は殺される。

イザヤ14:31ー門よ、泣きわめけ。町よ、叫べ。

 ペリシテの全土は、震えおののけ。

 北から煙が上がり、

 その編隊から抜ける者がないからだ。

 

*寄るべのない者たちの初子は養われ千年王国において、神の『初子』であるイスラエル には食べ物と安全が用意されます。

出エジプト記4:22ーそのとき、あなたはパロに言わなければならない。

はこう仰せられる。『イスラエルはわたしの子。わたしの初子である。

 

*おまえの子孫…ペリシテには、飢えと死が用意されます。

 

  

イザヤ14:32ー異邦の使者たちに何と答えようか。

 『主はシオンの礎を据えられた。

 主の民の悩む者たちは、これに身を避ける。』」

32節は『シオンの選び』についてです。

 

*異邦の使者たちに何と答えようか…ペリシテの使者たちにどう答えるか、ということ。

異邦=the nation(単数形)

使者たち=彼らはイスラエルに対し、アッシリヤがエルサレムを略奪する計画を破壊しようと同盟を求めました。

アッシリヤは、46の主要なユダの町々を略奪することに成功しましたが、エルサレムを奪うことはできませんでした。

 

イザヤのペリシテに対する回答は「主はシオンの礎を据えられた」ということになります。

 

このように、イザヤは患難時代後半の3年半を統治する反キリストをバビロンの王として、そして反キリストの背後にいるサタンの堕落、また、千年王国におけるキリストの勝利を預言しているのであって『二重預言』ではありません。

 

『二重預言』という異邦人による私的解釈に注意しましょう!